−前作品「天国の郵便配達人」に続き、次の作品も映画だと思いました。「悪い男」は古典「赤と黒」からヒントを得たそうですが、どのような企画ですか？

実は私がこれまで制作したドラマは、美しい話でした。ですが、これは違います。非常にはっきりした欲望に関する話です。韓国社会が謹厳ではありますが、いつかは必ずこういったドラマを作りたかったのです。見方によっては、「夫婦クリニック　愛と戦争」のような話であるとも言えます。人々の欲望、人々の羞恥心に関する話を描く予定です。

−タイトルのように悪い男である主人公コヌクが重要な人物のようです。最近では女性たちが優しい男性ではなく悪い男性に惹かれるのが当然のように思われる傾向がありますが、監督が考える悪い男はどんなものなのか気になります。

実は「サンドゥ、学校へ行こう」や「ごめん、愛してる」などの私の作品は全て悪い男の話でした。ただ以前はそれを美しく描きました。今度はもっとはっきりと表現しようと思います。もちろん私も放送業界にいますので、ある程度従わなければならない部分はあります。悪役の主人公であっても、女性たちに好かれなければ困りますので。そして「赤と黒」のジュリアン・ソレルのように、天才的に自分の魅力を活用した人物をモチーフにしました。

−キム・ナムギルをキャスティングした理由があるようですが。

「善徳女王」のピダムを演じるキム・ナムギルを見た時、感じることもできますが、型にはまったタイプではないので気に入りました。何か際どい境目でエネルギッシュな魅力を表現することができると考えました。以前の作品の男性主人公たちよりも、よりセクシャルな部分を強調した人物がコヌクです。そんなコヌクをキム・ナムギルはうまく表現してくれるだろうと思いました。恐らくキム・ナムギルでなかったとしたら、タイトルも「悪い男」ではない、他のタイトルになったでしょう。キム・ナムギルではなく、他の誰かが演じる「悪い男」は嫌でした。

−他の主人公たちもやはり意外な印象を受けました。“品切女（※is補足：ハン・ガインさんが商品のCFに出演するとその商品が品切れになることから生まれた造語。すでに結婚してしまった魅力ある女性を惜しむ意味もある。）”という印象は全くありませんが、正統派の愛のドラマで結婚した女性を主人公にすることも、以前まで中性的な印象の強かったキム・ジェウクをキャスティングしたことも、そしてコヌクと破格的なラブシーンを演じる予定のオ・ヨンスまで。

ハン・ガインの場合、初めて会った時の印象がとても良いものでした。“監督、私は女優でありたいです”と言いました。私もやはり女優ハン・ガインを求めて会いましたし、互いに足らない部分をうめていけると感じました。キム・ジェウクも同じように会った瞬間、“この人だ”という感じが湧きました。オ・ヨンスさんは常に信頼していますから。ただ、ドラマの主題を描きながら、感情を最大限にリアルに表現しなければなりませんので、それが少し心配でもあります。

−それは露出の程度での問題でしょうか？視聴者の立場では期待もあります。

そうですね、放送してみれば分かるでしょう。実のところ私は審理にかからないよう配慮しながら、最大限にロマンティックに演出することができます。露出しない状態でも、そのように撮影できる自信があるのですが、それさえドラマでは審議にかけられると言う話です。

−今までイ・ヒョンミンPDが手がけた作品とは違い、相当異質なイメージが強い作品になるようですね。ご本人も負担を感じていらっしゃるようです。あえてそのようなプレッシャーを抱きながらこういった主題を今、この段階で扱う理由は何ですか？

私はこの作品はとても現実的な話だと思います。人々が、言葉には出しませんが、皆知っている、そんなテーマです。もしかしたら、私がどこまで描くかによっては、非難を受けるかもしれません。人の欲望と羞恥心を刺激するということは、非常に強烈なことだからです。汚いと受け止めることも、あるいは自分の物語のように受け止めることもできるでしょう。既存の私の作品を愛してくださった方々は驚かれるかもしれませんが、本当にこういった物語を、以前から手がけてみたかったため、大きな期待を抱いています。