【ピダム、キム・ナムギル キャラクターの集大成】
−<暴風前夜>を先に撮影したせいか、意図的ではないにしろ、スイン(映画「暴風前夜での役柄名)とピダムは悲劇と愛のコードで微妙につながる部分があります。
私も同じように感じました。スインとピダムだけでなく、今まで私が演じてきたキャラクターはあらゆる演技それぞれの延長線上にあります。<善徳女王>を通じて私を初めて知ってくださった方々は、独特な俳優だとお考えになられたでしょうが、これまで私の作品に関心を抱き続けてくださった方々は、ピダムを演じる前も、同じような人物を演じたことがあることを、ご存じだと思います。
−ピダムはこれまでのキム・ナムギルの演技の集大成ではないですか。
<善徳女王>台本を見たある知人から、“脚本家さん、ナムギルさんと親しいの?”と聞かれるほどでした。脚本家の先生方は、これまで私が出演した映画やドラマをすべて見たそうです。演じる際、以前演じたキャラクターの面々を引き出してピダムに投影しました。ピダムを通じて、今私がお見せできるものを全てお見せしようと思ったからです。ドラマが終わっても、しばらくピダムから抜け出すのが難しいほどでした。ピダムを超えるキャラクターを演じることができなければ、俳優として埋もれてしまうこともあるだろうと心配もあります。ですが、その頃チョン・ジヌ監督とお話しながら、ハッと気がつきました。チョン・ジヌ監督が言われたのは“いくら優れた俳優と言っても、一人の人間を演じることで、そう多くのものを見せられないだろう。だが、同じキャラクターでも深みが違えば大衆はそのキャラクターを以前とは違った受け止め方をしてくれるだろう。ソル・ギョングさんが<カン・チョルジュン 公共の敵1-1>(2008年映画)で<公共の敵>(2002年映画)キャラクターそのものを演じたが、深みが違うだろう?”と。それから“変わるのもいいが、今はピダムを抜け出せないなら、無理して抜け出そうとせず、むしろその中でさらに深みへ向かえ。そうすれば人々はキム・ナムギルが変わって成熟したと感じるものだ”と仰いました。その言葉を聞いた瞬間、“ピン!”ときました。そして次回作に<나쁜
남자/ナップン ナムジャ(日本語タイトル:赤と黒)>を選びました。今まで自分がお見せした姿と大きくは違いませんが、深く入り込みながら、また別の人物が誕生すると信じています。
−ピダムの直接的な導火線となったキャラクターは<美人図>(2008年映画)のカンムでは?
<善徳女王>にキャスティングされたと聞いたとき、私も同じことを思いました。ピダムがカンムとキャラクターが似ていますから。もちろんカンムはピダムより単純ではっきりしたキャラクターですが、ジャンルが史劇ですので、より似てみえるのかもしれません。私自身もカンムを離れて演じることはできないと確信していました。
−韓国映画情報誌SCREEN2010年4月号キム・ナムギルインタビュー 一部紹介ここまで