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悪い男 第2話

 

 




悪い男 第2話
 


【ネタバレ注意!!】

先をお知りになりたくない皆様はご注意ください。

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【コヌク 救出後】

スカイダイビング中のアクシデントで軽傷を負ったヘジュは救急車で搬送されるが、コヌクは一人、自ら傷ついた右手に包帯を巻いていた。そこへチャン監督が救急箱を片手に駆け寄ってくる。

‐コヌク!どうしたんだよ!救急車呼ばなくてもいいのか?

‐俺にまで呼ぶ必要はないさ。一度や二度のことじゃないだろ

‐心配だから言ってんだぞ。どうしたんだ?ロープが切れたのか?

コヌクは心配そうに見守るヘジュのスタイリストの方へ目線を移す。

‐古くなったせいだろ

‐おい!何言ってるんだ?お前が最後にチェックしただろ?

‐なんだよ、それじゃ俺がわざとロープを切ったとでも言うのか?

‐そうじゃないさ、俺は心配で心配で・・・お前が落ちてくるときどんな思いだったか!上を向いたせいで首が痛くて痛くて、首に包帯がいるほどだ!ああ、装備をチェックしないとな。新しい道具を買うことにするぞ。とこれで俺たちはソウルに戻らなきゃならないが、お前はどうする?

‐先に戻ってくれ。少し休んでから、後で戻るよ

‐それならそこにある中華料理店に食事を用意させておいたからな

チャン監督がコヌクの手の消毒を終えて立ち上がると、ヘジュのスタイリストがコヌクに近づき、「申し訳ありません、私のせいで」と謝罪する。

‐爽快か?

‐はい?

‐これまでチェ・ヘジュに苦しめられたといっただろ?爽快か?

‐・・・・はい・・・

‐本当に二人が死ねばいいのにと思ったか?

‐いいえ、さっきは自分でも何が何だかわからなくて・・・本当です

口元を緩め、椅子から立ち上がるコヌク。

‐二人とも生きてるじゃないか

‐ありがとう

手元にある宝石箱を手にして、「これを渡してくれ」と手渡すコヌク。チェ・ヘジュに渡すことを頼まれたスタイリストの女性は「彼女が嫌いだと言ったはずです」と腹を立てるが、箱を開いてみると、そこには宝石ではなく小切手で折られた、折鶴が入れられていた。

【モネ 誕生パーティ】

家族がモネの到着を待つ中、婚約者のオム・セジンが先に現れたことで、シン女史は「具合の悪い子を置いて先に来たの?」と不快感をあらわにする。その頃、全てを知ってしまったモネは、パーティの席に行くのをためらっていた。ベンチに腰掛けうつむくモネに近づき、隣に座るコヌク。

‐何してる?

‐別に・・・。コヌクオッパ、今日スカイダイビングしたでしょう?誰と?

‐女優と

‐チェ・ヘジュ?

‐うん

‐本当に大嫌い

‐誰が?俺?

‐大人たち。あの人たちが私の誕生パーティをダメにしたの

‐誕生日なのか?

コヌクはふと周囲を見回すと、ベンチから立ち上がり、野花を摘みに行くと、両手に一輪ずつ持ち、モネの前にひざまずく。

‐何なの?

‐誕生日だって言っただろ?何歳かわからないから、二つあればいいかな?

‐こんなに安いキャンドル、初めてみたわ

‐吹かないの?

モネはコヌクの意図を察し、ふと微笑むと、花をろうそくに見立てて息を吹きかける。

‐何してる、そこで?

コヌクとモネの元に、一人の男性が現れると、モネが立ち上がり「お兄ちゃん!」と目を丸くする。コヌクを不審な目で見る男性は、モネの兄テソンだった。

‐お前誰?俺の妹と何してたんだ?

黙ったままテソンをじっと見つめるコヌクに、モネが語りかける。

‐オッパ、ごめんね。先に行くわ

ホン・テソンを前に、コヌクの脳裏には、幼いころの雨の夜の記憶が蘇っていた。


【モネ 誕生パーティの席へ】

豪華な料理を前に、モネの誕生日を祝うホン一家の姿を、ガラス越しに睨むコヌクの姿に気がつく者は誰一人いなかった。ホン会長は、久しぶりに姿を見せたテソンに、どうしてこの場にいるのかと尋ねると、シン女史が「私が呼びました」と口を挟む。あの人が婚約者かとぶしつけに問いかけるテソンに、婚約者のセジンが立ち上がり、挨拶をする。

‐父さんもひどいな。いくら相手が金持ちだからって、あんなおじさんをモネとくっつける気?こんなことしてモネが逃げ出したらどうするつもりですか?恥ずかしげもなく・・・

テソンの一言で雰囲気が一変し、シン女史の嫌味に気分を害したテソンはすぐに席を立つ。そんなテソンの後について行こうと、モネまでも席を立つと、セジンがモネの手をつかむ。

‐さわらないで!

「モネ!」と戒める姉テラを一瞥すると、モネは「本当に最悪よ。こんな誕生パーティは二度とやらないわ」と言い残し、その場を後にする。

 

【コヌク 回想】

秘書により調査されたDNA検査の結果、強引に連れてきた子供がホン会長の実子ではないとの報告を受けたホン会長は、秘書の言葉を疑いもせず、激しい雨の降る日に幼いテソンを家から冷酷に追い出してしまう。両親から引き離され、ホン・テソンとしての人生にようやく慣れ始めた少年は、突然ホン家から放り出され、行くあてもなく門の前で雨に打たれ続ける。その夜、彼の前に現れたのは、もう一人の“ホン・テソン”だった。このとき、家の中に入ろうとして秘書の男に突き飛ばされたテソンは、ガラスの棚に倒れ込み、背中に大きな傷を負ってしまう。連絡を受け、夜の道をテソンの元に急ぐ彼の育ての両親は、交通事故で二人とも命を失い、幼いテソンは天涯孤独になってしまう。

【ホン・テソン 警察署】

クァク刑事により事情徴収されることになったテソンは、アリバイを証明するため、当日一緒にいた女性を警察に呼ぶ。女性の話から、その場にソニョンがいたことも明らかになると、イ刑事はテソンを容疑者だと確信する。何一つ話さないテソンは、目の前のイ刑事を鋭い目でにらみ続ける。

‐何を見てる?結局お前のせいで死んだんだろ!

クァク班長が穏やかな口調で続ける。

‐チェ・ソニョンさんは、会社の同僚を除いては、彼女の死すら伝える人がいないんです。弔ってあげてください。

〜テソン 回想〜

ソニョンを正式に家族に紹介した日の出来事を思い出すテソン。一言も話さないシン女史や家族に「なぜ何も聞かないの?この女性について気になることはない?」と切り出すテソン。「チェ・ソニョン。彼女は俺より年上で、大学も出ている。仕事もできて真面目。(ソニョンを見つめて) 確か今は代理、だったよな?」

テソンの言葉を無視し、ホン会長は「くだらない話はやめて食事をしないさい」と冷淡に話す。彼女と結婚したいと続けるテソンの話に真剣に耳を傾ける家族は一人もいなかった。ソニョンに両親がいないことを伝えたテソンは、ソニョンは自分を生んでくれた母に似ていると続ける。テソンの言葉に「お前を産んだ母親?本当に実の母がいるの?」と胸に突き刺さるような答えを返すシン女史。テソンとソニョンを残し、家族はみな席を立ってしまう。驚き、言葉を失うソニョン。

‐見ただろ?この家で俺はこんな存在なんだよ。食べていけ。高いものだぞ。

‐テソンさん。ご家族への振る舞い、どうしてなのか理解できるけど、こんなのいけないわ。ご家族がどんな気持ちか・・・

‐家族にどう振る舞うべきか、お前に分かるのか?家族もいないくせに、余計なことは言わないでくれ。これでも俺が好きか?俺と結婚したいのか?

‐うん・・・。こんな人だから、こんな人だから、そばにいてあげたいの

ソニョンに怒りをぶつけるテソン。

‐俺にはお前なんて必要ない!この状況から空気を読めよ!俺がこの場にお前を連れてきたのはなぜだと思う?あきらめさせるためなんだよ!それが何だって?そばにいてあげたい?お前バカか?説明しないとわからないのか?

涙を浮かべてテソンを見つめるソニョンに、テソンは「二度と俺の前に現れるな」と冷酷に言い、背を向けその場を後にする。
 

【テソン ソニョンの最後の場所へ】

ソニョンが亡くなった場所へと向かったテソンは、路上に書かれた白線を消す男性に、「消さないでください」と消え入るような声で訴え、その場に崩れ落ちる。涙を流しながらソニョンの死を嘆くテソン。

【ジェイン 妹ウォニンと】

ソウルに戻ったジェインは、妹ウォニンと食事に出かけた店のテレビの報道に目をとめる。一人の女性が転落死した現場がテレビに映し出され、自分が男性をはねてしまった日時と場所とが近いことに気が付く。

‐とにかく、あの日は変な日だった

‐その男も変だったんでしょ?お姉ちゃんが車でぶつけちゃった男よ。その人服も破けてたんでしょ?その女性の死に何か関係があるんじゃない?

‐ちょっと・・・話にならないわ。その人ね、事故の日に見た男性だけど、背中に大きな傷があったのよ。

‐傷?

‐うん、でも不思議と怖くなかったな

 

【バス停 コヌクとウォニン】

バス停に向かったウォニンは、ベンチに座ると、財布を忘れてきたことに気が付き、隣に座っているコヌクに目線を移す。「おじさん、あのビルに何かあるの?」と話しかけ、さりげなくそばに近づいていく。「おじさん、1,000ウォンあります?1,000ウォンありますか?」というウォニンの言葉にまったく反応しないコヌクの目線の先にあるのは、海神グループのビルだった。待ちきれず、コヌクのポケットに手を入れたウォニンは、バス代になるお金を見つけ出し、「次にお返ししますね」と話すと、コヌクのお金を手にバスに乗り込む。

【コヌク モネの元へ】

モネの運転する車が停車した途端、コヌクが突然乗り込んでくる。

‐危ないからロックしておけ

‐コヌクオッパ!どうして分かったの?この道で通ってること

モネの問いかけには答えず、シートベルトを着けたコヌクは「信号が変わったぞ」とモネに促す。コヌクがモネに変わりハンドルを握り、二人はモネの大学までドライブを楽しむ。モネはコヌクの横顔を見つめながら、束の間の幸せに浸っていた。車が赤信号で止まったとき、ジェインの運転する車が偶然隣にやってくる。ジェインはモネと見たことのない男性が一緒にいるのを見てしまう。

【ジェイン ホン家へ】

勤め先のギャラリーの経営者であるシン女史の元へ、手に入れた仮面を手に向かうジェイン。木彫りの仮面を手にしたシン女史は、満足そうに微笑むと、「貴重なものを手に入れたわね」とジェインにねぎらいの言葉をかける。そばにいたテラがジェインに問いかける。

‐うちのモネと仲がいいみたいだけれど、どこで知り合ったのかしら?

‐シン女史から美術の勉強を教えてあげてほしいと頼まれました。

冬休みの間モネがヨーロッパに滞在した際、一緒にいてくれた人だというシン女史の言葉にうなずくテラは、ジェインを品定めするかのようにじっと観察する。モネがアトリエにいると聞いたジェインは、モネへの贈り物を届けに、アトリエに向かう。

【モネのアトリエ】

夢のような空間で過ごすモネを心からうらやましく感じるジェイン。

‐モネ、あなたはいいわね。あなたがしたいこと、手に入れたいもの、全部手に入れることができて・・・

‐でもね、したくないことも必ずしなければならない、そんなこともあるの

‐したくないこと?何なの?

‐そのうち話すね。私なんて羨まないで。お姉さんのほうがずっと羨ましいのに

‐私が羨ましいの?そうなの?私を羨ましい人もいるのね。面白いな

モネが時計に目線を移すのを見逃さなかったジェインは、帰り際にモネにこの前一緒にいた男性はオム専務ではなかったみたいだけれど、誰なの、と問いかける。

‐お兄ちゃんよ!

‐お兄ちゃん?二番目の?日本に行ったと言わなかった?

‐行かなかったのよ、日本は・・・

モネに促されアトリエを出たジェインは、ビルの入り口でモネが一緒にいた男性、シム・ゴヌクとすれ違う。ジェインは、コヌクをモネの兄ホン・テソンだと勘違いすることになる。

コヌクが向かったのは、モネのアトリエだった。モネはコヌクを待っていたのだった。コヌクが到着した直後、姉のテラと婚約者のオム氏がやってくる。慌ててコヌクを他の部屋に隠したモネは「何しに来たの」と平静を装う。動転したモネを怪しむテラは、ほかの部屋で物音がすることに気が付き、様子を見に行く。そんなテラの目の前の扉を開いたのは、コヌクだった。「また会ったね」と微笑むコヌクに、何も言えないテラ。

‐モネ、ここはハーモニカがないね。来週までにハーモニカを準備しておいて。

コヌクの言葉に、咄嗟に彼をハーモニカの先生だと嘘をつくモネ。テラは出ていくコヌクの後を追う。

【エレベーター前 コヌクとテラ】

‐どうなっているんですか?なぜあなたがモネのアトリエにいるの?

‐お聞きの通り

‐モネのハーモニカの先生だと信じろと?あなたって本当に・・・

‐まったくだ・・・確かに、信じたらバカだね

‐あなたは誰?どうしてモネの周りをうろつくの?

テラを見つめ続けるコヌク。

‐会いたかった。傷つけた人を、忘れるのは簡単じゃない

‐傷?

テラの言葉に自分の頬を指さすコヌク。

‐あのときから、会いたかった。まさか、他の意味にとったわけじゃないよな?

コヌクの無礼な態度に苛立ったテラは、またコヌクに手を上げようとするが、その手をコヌクに掴まれてしまう。

‐放して!放してよ!

‐温かいな・・・

二人の元へモネが駆けつけ、誤解しないでほしいと姉に訴え、コヌクとともにエレベーター乗り込む。「あの男、チョンスグループのオム・セジュンだろう?」というコヌクに「ええ、ごめんなさい」と答えるモネ。

‐関係ないだろう。俺たち付き合ってるわけでもないし

冷たいコヌクの言葉に肩を落とすモネ。帰り際、振り返るコヌク。

‐モネ、いい男に出会えよ。お前だけ愛してくれる、そんな男に・・・

モネが指に怪我をしていることに気づいたコヌクは、いったんモネの手を取り、口元に寄せるが、ためらうように手をはなす。

‐こんなことダメだよな。あの人に、手当してもらえ

エレベーターから降りてコヌクの後を追ってきたモネは、コヌクの胸に飛び込む。テラが降りてきたのを意識したコヌクは、彼女の目の前でモネの背中にそっと手を回す。

【ジェイン コヌクに接近】

コヌクをホン・テソンだと思い込んだジェインは、近くのコーヒーショップで彼を待ち続けていた。ビルから出てきたコヌクを見つけたジェインは、コーヒーを手に急いで外に出ると、はずむ息を整えてコヌクにわざとぶつかり、コーヒーをかけてしまう。すみません!と謝罪しながら、ホン・テソンさんですよね、と問いかけるジェインは、畳み掛けるように話し続け、自分の名刺を手渡す。ジェインが近いてくることに気づいていたコヌクは、否定もせずにジェインの話に耳を傾け、「大丈夫ですよ」と背を向けて歩き出す。

 

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