クリスマスが近づく街の一角、外車売場でウンソプ(チョ・インソン)が母のヒェリム(イ・フィフィャン)と電話で話しながら外車をねだっていた。ヒェリムはそんなウンソプをたしなめながら、夫の帰宅にあわせて念入りに化粧をしていた。
店員が誤ってウンソプの靴を 踏んでしまうと、ウンソプは苛立ち、丹念に汚れをふき取っている。一方、ヒェリムは夫のヒョンジンとウノ(チ・ジニ)が家に戻ると、ありったけの愛嬌を振りまきながら
二人を迎える。家に入る時、ふと立ち止まったウノは、庭先に植えていた木が切り取られていることに気が付く。ウノががヒェリムに理由を問うと、お父様が切ったと告げる。その夜、ウノは昔訪れた島の診療所の新聞記事を物思いに耽りながらじっと見つめていた。“治療費は卵2つ・・・”
ウノはジャズバーでバンドの公演中のウンソプを尋ねるが、ウノを見たとたん機嫌を損ねたウンソプは演奏を突然やめて楽屋に戻ってしまう。「話があってきた。家に帰ろう」と説得するが、ウンソプはウノに「絶対に帰らない」と心を閉ざす。
親愛をこめて弟の名を呼ぶウノに対して激しい嫌悪感を示すウンソプ。「音楽家になりたければ、そうすればいい」とウンソプに自分が乗って来た車のキーを渡し、「欲しがっていただろう。俺にはもう必要ない」と
、帰り際にお母さん(ヒェリム)の具合が悪いから早く家に帰って
くるように伝え、その場を去った。家に戻ったウンソプは母親に医者になるよう説得され、お兄さんであるウノよりも優秀であるように、いい子でいるように言われ、母の言葉に頷き、涙を流す。ウンソプもまた心に傷を抱えて生きている1人だった。
ウノは父のヒョンジンに「母さんに会っていい、という年(20歳)まで必死で生きてきました。
次は医者になったら会っていいといわれ...一体いつになったら会える日がくるのか、母がどこにいるのか...私は母の息子でいたい。私が探しにいきます」とメールを残し、母を探すため家を出ることを告げる。メールを読んだヒョンジンは
ウノの勝手な行動に腹を立てる。済州空港に到着してタクシーを待っていたウノの前にタクシー止まり、女性2人が降りてくる。このうちの1人がチョンウン(コ・ヒョンジョン)だった。そのタクシーに乗ろうとしたウノはチョンウンが置き忘れた箱を見つけ、急いでチョンウンを
探すがすでに彼女の姿はない。チョンウンは空港から子供を置いて島から出ようとするユンスクの腕を捕かみ、とにかにタクシーに乗せようと引っ張りながら出てきた。ウノもチョンウンの荷物を
抱え、二人を追った。荷物を渡そうとしたウノはユンスクに噛み付かれて怪我をしたチョンウンを見て驚き、治療の準備をしようとあわてていると、その間に2人はタクシーにのってその場を離れてしまう。ウノはその後、飛揚島(ピヤンド)に行く船に乗り、船内でまたチョンウンの姿を見つける。ウノは自分の母の居場所を知っている
タルホが診療をしている飛揚島診療所を尋ね、診療所で仕事を始めることになる。チョンウンはタルホの孫娘だということ、そして言葉を全く口にしないのは彼女の心の問題だと知るウノ。ウノは自分の育ってきた環境とチョンウンの状況が似ているように感じて、チョンウンが話せるよう必死に努力をする。
頑ななチョンウンの心は、ウノの母を求める心とチョンウンの心を解き放とうとする努力に動かされ始める。「本当に不安なら、声に出して泣くんだ!」と言い
、自分の母を想いながら涙を流すウノを力いっぱい叩きながら、とうとう大声で泣き出すチョンウンだった。