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春の日 韓国版第3話


ウノの実母:母さんを忘れないでいてくれてありがとう、坊や...


엄마를 안잊어버려줘 고맙다 아가... 
オンマルル   アンイジョボリョジョ   コマプタ アガ


つかの間の再会の後、永遠の別れをすることになってしまった息子ウノへ
最後の力を振り絞って伝えた言葉。

 

 
ウノを乗せた船が出発し、「行かないでってば〜〜!!」と叫んだチョンウンは、ウノに伝えたいことが心の中からどんどんあふれ出し、診療所に走って戻ってくる。タルホは突然 早口でしゃべりだしたチョンウンを見て唖然とした表情を浮かべながら心は喜びでいっぱいだった。船のチンテオッパに電話をしたいから電話番号を教えてください!と大慌てで電話帳を取り出し、船 のチンテに連絡をとるチョンウン。ウノのことが心配でたまらなかったのだ。「突然会いにいったりして、もしあなたが息子だとわからなかったらどうするの?目の前が真っ暗になっちゃうじゃない」とまくし立てるように話し続ける。ウノはチョンウンに「 僕だと分からなかったら、大きな声で言うさ...母さん!僕、来たよ〜!!ウノが来たよ〜!!」と話し、彼女を安心させる。船の上で空に向かって叫ぶウノはチョンウンの心と通じ合えたことの喜びと母に会える日が近いことへの期待に晴れ晴れとした表情を浮かべていた。「いつ帰ってくるの?」と不安そうに 尋ねるチョンウンにウノは「少しだけ、少ししたら戻るから」と笑顔で答える。彼はチョンウンを心から愛し始めていた。

 
病院ではウンソプが相変わらず戸惑いながら勤務していた。看護婦が静脈が見つからない 患者の病室にウンソプを連れて入ると、暴力団の親分が病室で横になり、周りには部下たちが じっと様子を伺っていた。長い時間をかけてウンソプがやっとの思いで静脈を探し注射を打つ様子に、部下たちがウンソプを急き立てる。親分が自分の静脈を 見つけたのはウンソプが初めてだったと感謝し、ウンソプに対して敬意を表すると、部下たちはいっせいにウンソプを「ヒョンニム!=兄貴!」と呼び始め、丁重にお辞儀をする。

 一方ウノはタルホにもらった母の住所を見て、小さなピアノ教室の前1人佇んでいた。その教室の中にいるのは...ウノの母だった。少女にピアノを教える母の姿を雪の中じっと見つめ続けるウノ。外に出てきた母はウノをじっと見つめるが、一旦家に戻ってしまう。ウノはチョンウンの電話での言葉が思い出され悲しさがこみ上げてくる。しばらくして再び外に出てきた母は、目を潤ませながらそっとウノの頬に手をあてる。二人は久しぶりの再会に涙が溢れて止まらなかった。久しぶりの母の手料理を大急ぎでほおばるウノはまるで幼い子供のよう。「ゆっくりと、食べたいだけ食べなさい」という母もまた本当に幸せそうだった。「ここに来る前に診療所では卵料理ばかり食べさせられたんだ。卵スープに、玉子焼き、、、」自然とチョンウンが思い出されるウノ。二人は手をつなぎ市場に買い物に出かけ、何年分もの空白を埋めるように話をした。特にウノのおしゃべりは止まらなかった。新しい母さんより、目の前にいる実の母親がどんなに自分にとって大切な存在かを、歩きながら、車の中で、ウノは嬉しそうに話し続ける。その夜、ウノはあることを決心し、母に伝える。「僕と一緒に住みましょう。チョンウンを覚えている?これからピヤン島で母さんとチョンウンと母さんの好きなピアノを弾いて、一緒に暮らしましょう」その言葉に返事もできず、ただただ涙が頬を伝う母だった。

 ウノは父に事情を伝え、挨拶をするため、ソウルに一旦戻ることになる。バスで出かけようとするウノを心配し、母の運転で駅に向かう二人を乗せた車が見通しの悪い雪道のカーブでコントロールを失ってしまう...。
“愛する息子よ、ごめんね...” “母さん...僕だと分かってくれてありがとう...”

 ソウルでは、
ヒョンジンがヒェリムからの電話が面倒で電話を切った直後、 再び電話のベルが鳴り、電話を受ける。電話の内容に足がすくみ、身動きひとつできなかった。交通事故患者二人(そのうちの1人は意識の無いウノ)を救急車で搬送するように話す。ソウルへ向かう救急車に連絡を受けたウンソプが乗り、ウノが昏睡状態で横になっている姿を 衝撃のあまり呆然と見つめていた。横たわるウノは何も話せず、目を開けることすらできない。「ここは患者の場所だ!お前のいる場所じゃない!」と泣き叫ぶウンソプ。

 戻らないウノを心配し、荷物を手に島を出ようとするチョンウン。タルホが引き止めるが、「もうあの頃の私には戻りたくない」とウノを探しに行くことを決心する。ウノの母のピアノ教室の前、ピアノの上に自分がウノのために編んだマフラーがあることに気がつく。教え子が母親とともに白菊の花を手に現れ、二人に事情を尋ねると、ウノの母が事故で亡くなったことを知る。その後、ウノも大怪我を負い、ソウルの病院に搬送されたことを知り、一人電車でソウルへ向かう。駅につくと財布がなくなっていることに気づき、途方にくれるチョンウンだったが、ウノに会うために寒空の下、病院に向かって歩き続ける。ようやく病室に着き、ウノの名前を見つけるチョンウン。恐る恐る部屋へ入り、横たわり意識を失った状態のウノを見てしまう。「ちょっと...起きてください...これはどういうことなの」チョンウンは突然ウノの身に起こった出来事をすぐには受け入れられず呆然としていた。添い寝をしていたウンソプが人の気配に気づき、目を覚ます。