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春の日 韓国版第6話


コ・ウンソプ(チョ・インソン):初めて聞きました、そんな言葉...

처음 들어봐요, 그런 말을..  
 チョウム
 トゥロバヨ     クロン マルル


母ヒェリムについて抱えてきた苦悩を打ち明けたウンソプ。
チョンウンに優しい言葉をかけてもらい驚いた表情で涙を浮べながら

 
 
チョンウンの手を取り白衣を脱ぎ捨てたウンソプ。チョンウンを乗せてウンソプが向かったのは湖のほとりだった。母ヒェリムの誤解のためチョンウンに辛い想いをさせてしまったことに
心を痛めるウンソプはチョンウンを強く抱きしめ「ごめん、ごめん」と涙を流す。2人は湖のほとりのベンチに座り、ウンソプは母ヒェリムが一度我を忘れると見境がなくなることをチョンウンに打ち明け始める。事情を知ったチョンウンはウンソプに対して「私は大丈夫です。辛かったでしょうね、今まで。辛かったでしょう...」とウンソプに優しい言葉をかける。驚いた表情でチョンウンを見つめるウンソプは
「初めて聞きました、そんな言葉を。こんな言葉をかけてもらったのは初めてだ」
と涙を浮かべる。チョンウンもまた、島にいる母に置き去りにされて悲しい日々を送るチョンイのことや自分も幼い頃に捨てられたからあなたの気持ちは良く分かる、と打ち明ける。それでも記憶を失くし、母を失ったことすら知らずに頑張って生きている兄のウノを思えば、母ヒェリムと話してみるべきであり、誤解を解くべきだとウンソプに話す。チョンウンの話を聞き入れずに“自分と一緒にいてほしい”と話すウンソプ。「行かないのなら、私1人で行くわ」とウンソプに背を向けるチョンウンを見つめ呆然と立ち尽くすウンソプだったが、しばらくするとチョンウンの後を追ってくる。

 チョンウンの肩をしっかりと抱き「こちらを向いて、こちらを向いて立っていて」と何度も振り返り、チョンウンが自分の方を見ていることを確認しながら車を取りに走っていくウンソプ。車でチョンウンの元に現れたウンソプは彼女がしっかりと同じ方向を向いて立っていたのを見て安心したように微笑む。

一方病院では目を覚ましたウノの簡単な検査が行われていた。院長でもあるヒョンジンは神経科医の話を聞きながらウノの様子を見ていた。明らかにウノは少年のような話し方をしていて、13歳の記憶を持って目覚めたことを理解するまでそう時間はかからなかった。自分をおじいさんだと信じるウノを複雑な表情で見つめるヒョンジン。ウノにおかゆを食べさせながら、ゆっくりと話を始める。ウノはある日のことを思い出していた。父ヒョンジンとウンソプと一緒にバスに乗った日のことを。もしかしてそのバスが事故にあったのでは、ウンソプは大怪我をしたのでは、と不安になり怯えるウノ。「これから話すことを良く聞くんだぞ」とある決心をして事情を話し始めるヒョンジン。ウンソプが元気なこと、事故はずっと後になってからだということ、そして今のウノは子供ではなく、時間が少し流れてしまっていること、失っている記憶はきっと戻ることを一度に話してしまう。きょとんとして不思議そうな表情を浮べるウノ。ヒョンジンが続けて自分は父でありおじいさんではないこと、事故のせいで記憶を失ってしまったことを話してしまう。

「お父さんだって?それならおじいさんは?」
このウノの問いかけに、おじいさんは亡くなられたと話すヒョンジン。13歳の記憶を持つウノは突然の悲しい出来事にショックを受け、泣き出してしまう。おばあさんが3年後に亡くなられたことも聞かされ、布団を被り激しく泣き出すウノ。ヒョンジンは慌てて声をかけるがウノはショックで心を閉ざしてしまう。

ウンソプは家に戻り、ヒェリムの誤解を解くために思い切って声をかける。

「母さんの誤解だよ。父さんはそんな人じゃない。そんな風に考えるのは辛いでしょう」
「誰なの?」

知りたがる母に対し、彼女は看病人だと話すが納得しない。とうとう兄さんの好きな人だから、こんな風に考えるのはもうよしてくださいと母に打ち明けるウンソプ。ヒェリムはそれなら謝らなければと突然ソファから立ち上がるが、ウンソプが止める。「でも話すことがあるのよ」

ウノが目覚めたことを知り、急いでチョンウンに知らせに行くウンソプ。2人は慌てて病院に駆けつけると、そこには布団に包まり泣きじゃくるウノの姿があった。全ての事情を知ったチョンウンは大きなショックを受けてうなだれる。ウンソプもまた切ない想いで神経科医の話に耳を傾けていた。

食事にも手をつけず、心を閉ざすウノに対し、チョンウンたちは成す術が見つからない。ウノのベッドの脇に座り、ウンソプがいきなり元気な声で話しかけた。

「コ・ウノ!面白い話をしてあげよう!」
幼い頃から仲の良かったミンジュンの話や映画の話題(中学生からいきなり大人になってしまう御伽噺のような映画の話)を持ち出し、ウノは映画の主人公のような出来事に遭遇しているようだと話す。

「そんな話、幼稚園の子供でも信じないぞ!」
うっかり顔を見せてしまうウノに、自分はウンソプだ、弟のウンソプだよ」と話してしまう。チョンウンが遮るがウノは布団から再び顔を出し、白衣の名前を確認する。その後もウンソプは「お兄さんがコ・ウンソプだっていうの?」と尋ねるウノに「何で俺がお前の兄さんなんだよ!」と腹を立てるがチョンウンに話を上手にはぐらかされる。まだ事実を話すべきではないと考えるチョンウンの配慮だった。そんなチョンウンをじっと見つめるウノ。

「このお姉さんは誰?」
自分のことを全く覚えていないウノの様子に衝撃を受けるチョンウンは目線をそらして涙をこらえようとするが、後から後から涙があふれ出てしまう。ウンソプとチョンウンは、ウノに本当のことは話さずに接していた。笑顔を作り挨拶するチョンウンにウノも笑顔を見せる。

ウンソプは傷ついたチョンウンを助手席に乗せ車で家に戻る途中、ジャズバーに立ち寄った。彼女は慣れないビールをどんどん飲み干していき、すっかり酔ってしまう。ウンソプと一緒に店にやってきたチョンウンを見かけてヒェジンが声をかけるが、酔った状態のチョンウンはろれつが回らない。そんな彼女の傍に行くこともせずにただ黙って演奏を続けるウンソプだった。ウンソプは足元もおぼつかないチョンウンをオフィステルまで送リ、ベッドに寝かせるとチョンウンが独り言のように“ウンソプさん、私にそんなことは言わないで”とウンソプに自分を好きになってはだめだとつぶやき続ける。

病院ではウノのベッドの隣に父が付き添っていた。
「パパ、こっちへ来てくれる?」と父に甘えるウノ。ヒョンジンは起き上がると、ウノに添い寝をした。父に腕枕をしてもらい幸せそうに微笑むウノは「僕、何になったの?」と話始める。

「医者になった」
「結局そうなったのか。父さんみたいに」
「凄くいい医者になったぞ」
「本当?」
「ああ、そうだ」

ウノは突然ヒョンジンの顔をじっと見つめ「父さん、年をとったね」と話す。そして母の話を聞きたがり、ひとつだけとお願いしてから自分が実の母に会えたのかと尋ねた。ヒョンジンは会えた事だけに答える。

「母さんに僕が事故に逢った事は言わないでね。心配するから」

何も知らずに母の気持ちを思いやるウノが寝息を立て始めた頃、ヒョンジンは隣で泣き続けていた。

チョンウンは自分が誰なのかをウノに話してしまうことで、ウノが何故島に来ることになったのか、そして母に会うための旅だったこと、そして母が亡くなってしまった事実を知ってしまうことが心配だった。しばらくの間は自分が誰なのかは黙っていることを心に決める。
「おじいさん、ここにはチョンウンはいないのです」島の祖父に心で語りかけるチョンウン。

退院するウノを車で家まで連れて行こうと駐車場に向かうウンソプとチョンウン。車に乗ろうとすると、突然ウノが怯えて逃げ出してしまう。大きな声を出しうずくまるウノに駆け寄るチョンウン。車にには乗らないから、心配しないで、車には乗らないからね、とウノをしっかりと抱きしめるチョンウン。3人は地下鉄で帰ることになるが、電車の中でも無邪気にふざけるウノに2人は戸惑っていた。

家に戻ったウノは庭の木が切り取られていることや、部屋にあった実母のピアノ(チョンウンのためにウンソプに頼んで島へ送ってもらったもの)も姿を消していることにショックを受けて部屋に閉じこもってしまう。継母の仕業だと勘違いしたのか、こっそり台所の油を手に取り、ヒェリムの歩く場所に塗っておくウノはまるで子供のようだった。

一方ウンソプとチョンウンは、ウノの記憶の中にいるミンジュンに会いに出かける。