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茶母
監督版 特典映像より
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茶母監督版DVD 特典映像  製作過程 】

このページでは、茶母監督版DVD特典映像に収録されている“製作過程”の一部を日本語でご紹介させていただきます。完全ではありませんが 、重要な部分をお伝えできるよう頑張りました。is勝手訳です。間違いなどに気づかれましたら、遠慮なくご指摘ください。


:::1.企画:::

〜茶母の始まり〜

−原作者:パン・ハッキ

現代人は朝鮮時代の社会生活について熟知していませんが、朝鮮時代に女刑事がいたのではないか...そんな考えがふと浮かびました。しかし私たちの知る範囲での朝鮮時代は男女が区別され、差別のようなものが激しかった社会だと言われていますね。女性が生活する建物さえも、いわゆる「内房(主婦部屋:母屋の主になる部屋で台所ととなりあっている部屋)」など室内でした。その内房で起こるいくつかの犯罪の場合、男女を区別していては捜査はできないだろうと、それで恐らく女性捜査官も必要だったと思案し、さまざまな資料を調べてみると、やはり女性の刑事が存在していました。最近刑事ドラマが面白いでしょう?そこで女性刑事の話をドラマを通じてお伝えして、民族の魂を感じさせることができたらと考え、スタートしました。

−演出:イ・ジェギュ

「茶母」製作をMBCで企画したのは、今から6年前くらいだったと思います。もう少し経っているかもしれませんが、それでパン・ハッキ先生から声がかかりました。その後、一度やってみたらどうかとのお話に、1ヶ月ほど悩んだ末....原作を読みました。原作を読み、熟考し、さまざまな資料を見むうち、やる気が出てきました。難しいことや不可能に思えることも一度やってみるかという考えがわいてきたんです。よし、やろう!と決心し、お答えしました。「茶母」を3月〜5月にはじめることになりました。しかしキャスティングが難関で、台本にも思ったより時間がかかり、本来2月から撮影を始める予定だったので、短くなってしまい、その点が少し惜しいです...

−脚本:チョン・ヒョンス

4月だったと思いますが、「茶母」のお話を聞きました。一度やってみないか、やってみろと。いつの放送なのかと伺うと、来年の夏だと仰いました。当時4月でしたから、1年半近くあるものを準備を始めるのは少しもどかしい感じでしたね。その後イ・ジェギュ監督の名前が出て、お会いして話してみましょうと、気楽に...

〜漫画からドラマができるまで〜

−演出:イ・ジェギュ

はじめにパン・ハッキ先生の原作を読んだときは、すごく面白くて、陰の描き方もとても魅力的で、古典的なのに現代的で、どんな場面においても魅力に溢れていました。楽しく読みました。人物も、当初、漫画的な人物からドラマらしい人物にするために、事件の中で人間関係をつなげていけるように設定しなければならない点もありました。実は漫画では人物の基本的な性格といいますか、それが若干破片をつなげてあるようなスタイルだったので、人物間の関係を少し現実的な方向へ変えなければならないと...フラッシュバックのように戻って、この人はこんな人生を生きてきたと、キャラクター設定の上で必要な程度がなかったんです。そんな部分をドラマ化するために脚色しました。

−脚本:チョン・ヒョンス

(原作を)一度だけ読み、その後は読みませんでした。なぜなら、既存のものに頼ることをしたくなかったからです。基本的なモチーフ、人物、チェオクやファンボ・ユン、それらを抱き、新しい基盤を作ろうと思ったからです。

−演出:イ・ジェギュ

漫画は漫画として、ドラマはドラマとしての役割があります。いくら原作があるといっても、そのままドラマに描くのは難しいです。原作のままドラマに描いてうまくいく場合もありますが、私の場合は原作を読んだ上で判断したのは、原作が持つ長所の中から私が表現できるものをひきだし、ドラマらしく少し色づけして作ってみたらどうだろうかと考えました。

−脚本:チョン・ヒョンス

最大にドラマティックなものにしようとイ・ジェギュ監督と話しながら、(原作と)別な話にするのではなく、漫画とは違う新しいものを始めてみようという話をしました。

〜「茶母」の素材〜

−演出:イ・ジェギュ

「茶母」を通じてどんな物語を作りたかったかといえば、私が簡単にお話できることではないようです。それをお話してしまうのはふさわしくないと思います。皆さんがこんなふうに考えてくれたらうれしいな、そんな程度はありますが...。現実感というか、蓋然性を感じられるように作りました。だから現実的にも起こりうる事だと、そんなことに重みをおいてはじめましたので、ドラマのような虚構を通して真実を見出すといいますか、ドラマの中に存在する虚構が蓋然性を圧迫しているというのが現実で、そのために多くのドラマが注目を集めるのは難しいですし、若干非現実的な背景になっているドラマがかなりありますね。「茶母」というドラマを制作するとき、現実的な部分と、想像の部分をバランス良く描くようにしました。〜中略〜 非現実のドラマを通して現実感や感動を表現できるような、そんなドラマを一度作ってみようと、今までとは一味違うドラマをと考えました。

〜キャラクター〜

−演出:イ・ジェギュ

チャン・ソンベクとファンボ・ユンのキャラクターは原作とは少し違っています。チャン・ソンベクは原作にはいない人物ですから当然違うのですが、ファンボ・ユンという人物...原作とは違う部分があります。追加した部分があるので違って見えるのですが、ファンボ・ユンは怒りを内に秘めながらいつ爆発するか分からないという人物で、厳格で、虐げられてきた記憶に縛られているように描きました。ソンベクは反対です。二人はそれぞれ苦難を強いられて育ちますが、ソンベクはそんなものを突破しているといいますが、自分が乗り越えるまで、目標を抱きながら行動に移す人物、そんな人物を描きました。愛に対しても同じです。ファンボ・ユンは相手が自分に好意を抱いていても、相手が歩み寄らない限り、自分から歩み寄り自分の気持ちを受け取れと先に行動するスタイルではなく、とても深く、愛する人のために心を抑えるというような、そんな愛です。ソンベクは愛情があっても、ストイックである、そんな人物だと思います。それで基本的な二人の性格を対比させて、装飾もまったく別のものにさせて、台詞のトーンも違うようにして、そんなことにも気を遣いました。さらに現代的なイメージを加えました。茶母が存在したのは朝鮮時代ですが、その人物の感情の流れは、今も感じているものと大きな違いはないだろうと思ったんです。しかしどうしようもない、その時代にしか感じることのできない部分もありますが、それは時代の違いという点だけで、その感情は十分に感じることができると考えました。

−脚本:チョン・ヒョンス

(チェオクという人物について)私の感じたのは、大きな痛み...傷を持っている...その反面、堂々と自分の命をかける大胆な姿...さらに悲しい愛を経験する、そんなイメージです。

〜道ではない道〜

−演出:イ・ジェギュ

私の妻は、私は妻に良く相談するほうなんですが、「茶母」というドラマを任され、上手くいってもいかなくても問題ではないかと、たとえば上手くいかなかったとき、あなただけでなく周囲の人にも迷惑をかけるのではと(中略)、引き受けないほうがいいのではと彼女に言われたんです。でも(笑)、その話がもっともだと思いながらも、してみたいという気持ちがしきりに浮かんでくるんです。それでしばらく考えて、引き受けると伝えました。個人的な意地のようなものでした。難しいのは分かるんですが、一度やってみようかと、そんな気持ちが機会となりました。

はじめに台本を一度書いてみると、お互い気に入らなかったんです。チョン作家も惜しいといいましたし、私も当初考えていたものとはずいぶん違う感じがしました。台本を書き直す段階は10回をこえたと思います。夜通しになることも何日もありましたね。あるシーンを書いてチョン作家に見せたら「こんなものは演出家の台本だ」と。書き直し、一晩言い争いもしました。コーヒーを飲みながらでは案が浮かばず、お茶を飲んでみたら、良いアイディアが浮かび、解決しました。

−脚本:チョン・ヒョンス

台本を書き終えたとき、本当に爽快でしたが、その反面寂しかったです。作業が終わったんですが、長い間私の心の中に生きていた三人の主人公と数え切れない人々が、心の中を去っていくという気分になり、寂しかったんです。ファンボ・ユン、チェオク、チャン・ソンベクの三人が、全て安らかに目を閉じられるようにと...

 

※以下、あまりにも膨大な内容のため、印象に残った部分のみ、かいつまんでご紹介させていただきます。

:::2.武術/アクション:::

−演出:イ・ジェギュ

私はアクションを撮影したことがなかったために、チョン監督とヤン・ギリョン監督に助けられました。ヤン監督は本当に苦労が多かったと思います。ずいぶん研究されて、現場ではとても助けられました。武術シーンの場合躍動感がしっかり演出できているか、ずいぶん時間をかけました。

−武術監督 ヤン・ギリョン

はじめからワイヤーアクションが多かったですね。ワイヤーアクションは膨大な時間を費やすんです。ですから正直ディテールまで表現できませんでした。華美にはできなかったので、雰囲気を出そうとしました。感情を伝えられるようにがんばりました。
 

:::3.HD撮影:::

−演出:イ・ジェギュ

HD放送だったので装飾の時間も2,3倍、あらゆる面で時間が2,3倍かかりました。スタッフが待つ場面が多かったですね。ワイヤーアクションに多くの時間を費やしたので1カット撮るのに30分待つような場面が非常に多かったです。準備だけでも4,5時間かかりますし...
 

:::4.色補正:::

−色補正 キム・シボム

ある人々はカメラで撮影するとき、ああ、私はこんな色を生かしたくて撮ったはずなのに、色感が生きていない...一般的な写真を撮るときもそんな感覚を受けるはずです。そのように不足している部分をこの装備が処理して十分に生かすことができ、実際の写真よりずっと美しい色が出せる、そんな役割を担っています。
 

:::5.特殊映像:::

−特殊映像 パク・ウンソク

私の目的は、視聴者にこれが合成かそうでないか分からないように、ドラマ自体を楽しめるように、ドラマから与えられる緊張感のようなもの、そのようなものを継続して表現できるよう描くことです。例えばそれが合成だと分かってしまうと、ドラマが面白くなくなってしまいます。そして感情に沿って描かれている部分を最大に生かして、後に合成だと分かったとしても、当初はそうだと分からないように...。合成のシーンは大部分が戦闘シーンなんですが、その場面での緊張感が途絶えないように、矢が飛び銃弾が飛び交うそんな場面では、明らかに合成だと分かってしまえば感情が途切れてしまうので、そんな部分では感情に沿った演出ができるように心がけました。ドラマ自体は特殊効果や合成中心では なく、ドラマの内容がまずありき、ですので、ストーリーが一層輝いて見えるように手助けできたらいいですね。

:::6.新世代史劇:::

−演出:イ・ジェギュ

「茶母」が終わり、さまざまな場で申し上げておりますが、「茶母」以外のことが考えられず、早く「茶母」から抜け出さなければならないのに...完全に抜け出すことはできませんね。今も「茶母」を愛していますし、私の人生 において忘れられない記憶ですが、早く抜け出すように努力します。