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茶母
 監督版 最終話 あらすじ


ソンベク:道ではない道? 道というものは、はじめからあるものではない

길이 아닌 길니라? 길이 라는 것이 어찌 처음부터 있단 말이오
キリ アニン ギリラ  キリ ラヌン ゴッシ オッチ チョウムプット イッタンマリオ


1人が歩き 2人が歩き

한 사람이 다니고  두 사람이 다니고
ハンサラミタニゴ トゥサラミ タニゴ


多くのものが歩いた後、 初めて道となるのだ

많이 사람이 다니면 그것이 곧 길이 되는법
マーニ サラミ タニミョン   クゴッシ  コッ  キリ  ドェヌンポプ
 

この腐った世に 新たな道を切り 拓こうと駆け抜けてきただけのことだ

이 썩은 세상에 나 또한 새로운 길을 내고자 달려왔을 뿐이요.
イソグン セーサンエ ナ  トハン セーロウン キリ   ネゴジャ タリョワッスルップニヨ

チャン・ソンベクとして生きた運命の中、抱いてきた新しい世への希望を胸に、
最期の時を迎える覚悟を決める言葉


【チュクチ、妻の墓前】

「なあ 俺来たぞ。この服どうだ?
カッコイイだろう?
お前が見たら喜んだはずなのにな...
従事官様が苦労をかけたな、お前には本当に申し訳ない、
面目ないと、そういってこの武官の服をくれたんだぞ。
よく似合うだろう?カッコイイだろう?なぁ、お前...本当にカッコイイだろう?」

亡き妻に語りかけるチュクチは、答えが返るはずもない妻の墓前で泣きじゃくる。

【左捕盗庁】

チュワンは、次の策を打ち出さないユンを待ち続け、そわそわしながらうなだれて座り込むチェオクに話しかける。
「もう従事官さまを苦しめるな
受け入れてもらえたのだ、命令だけ聞くのだぞ」

いっそのこと従事官さまの元へ飛び込んで行けと言い出すチュワンに驚いたチェオクが思わず顔を上げると、その場にチェオクの帰りを待ち望んでいたピョンテクが心配そうな面持ちで駆けつける。

「チェオク、私がどんなに心配したか分かるか?
 戻ったら武備所に来るはずが何故ここにいるのだ?
 ここにいてはだめだ。ならぬ。ファンボ従事官はどこですか?」

後でお話しましょうと落ち着いた態度で答えるチェオクに、ピョンテクの動揺は収まらない。

「私のいる武備所に戻ろう。お前がいないと死んでしまいそうだ」

そこへ今までとは全く様子の違う マ・チュクチが現れる。チェオクの腕を掴んで離さないピョンテクに、その手をさっさと離せ、二度同じ事を言わせるなと脅すチュクチ。あまりのチュクチの気迫にピョンテクはたまらずその場を逃げ出していく 。従事官様のところへおいでください、とのチュクチの言葉にチェオクとチュワンはユンの元へ急ぐ。

「どうされましたか?
殿下に訴える手段は見つかりましたか?」

答えを急かすチュワンにユンは謀反軍の隙のない様子や打つ手の無いことを伝える。何としてでも謀反を阻止しなければとの思いで焦っていたチュワンは思わずユンに以前チェオクがそうしたように、なりふり構わず国王に直訴するというのはどうかと口を滑らせてしまい、ユンを黙らせてしまう。ユンが部屋を出て行った後、チュワンの軽率な発言に腹を立てるチュクチとチュワンは言い争いを始める。3人は夜通しユンの次の案を待ち続けていた。

【スラッサン 謀反軍の砦】

ソンベクは謀反軍を前に決戦の準備を整え、軍士らの士気を高めていた。

「夜が明けてきた。
1日の始まりの朝ではなく、この地の民が数百年も待った夜明けだ。
腐った世の中を倒し、新しい世を開く夜明けだ!」

トクスらは商人を装い、着々と爆薬を仕掛け都城爆破の準備を進めていた。一方スミョンはタルピョンから精鋭軍が倭軍との衝撃の事実を知らされ愕然としていた。スミョンの迷いを消すかのようにタルピョンは 、早く行け 大義の前だ急げ、と語気を荒げ、さらにチェオクが死んではいなかった、そしてこれは大義とチャン頭領の運命が懸かっているとスミョンを追い立てる。

【左捕盗庁】

打つ手立てが見当たらないユンとチュワンの元へ調べを終えたチェオクがやってくる。謀反軍が動き出している様子はあるが、大きな証拠がつかめずに苛立ちは募るばかりだった。

【ナニ 国王の世子妃選びへ向う】

国王の世子妃選びに行く前のナニは依然として意識の戻らないセウクの前で深々と挨拶をし、守ってください、と告げるとセウクの眠る部屋を出た。外にでるとユン、チュワン、チェオクらが籠に乗り出かけるナニを見送りに来ていた。ナニはユンの元へ歩み寄り、行って参りますと伝え、チェオクにも温かい言葉をかけ世子妃選びの場へと向かう。

「チェオク、お前が戻ってくれて本当に良かった。もうどこへも行かないでおくれ」


【左捕盗庁】

調べに出ていたウォネが戻ると、以前清国の証人が武器を取引したとき、1人の官軍の武官が関わった事実を掴んだことをユンに伝える。その武官はチョン・ピルジュンの長男だとユンに聞かされたチェオクらは謀反軍の組織の大きさに愕然とする。

「今日にも決行に出るかもしれません」

ウォネの言葉にユンは証拠を探さなければとうつむくが、相手は変装した逆賊で、すでに都城の周りには多くの逆賊軍がいるはずとのチェオクらの見解にとうとうユンはある決意を固める。

「謀反が成功すればどのみち我々はこれ以上生きられぬ命だ...
方法は1つある、王宮を襲撃する」

ユンの命令を待っていた4人はユンとともにそれぞれの決意を固めるのだった。

【スラッサン 謀反軍の砦】

ソンベクは白剣を握り締め、亡き父へと革命の志を誓う。
「父上 成し遂げます。
民がこの国の王となる世の中を 今日築きます。守ってください」

タルピョンとヤン判官が、これからは君が天下を牛耳る、と言い出すとソンベクは民のために握った剣だと改めて民のための大義だと強調する。そこへスミョンが息を切らし駆けつけ、その様子がおかしいことを感じ取ったソンベクが事情を尋ねる。

「都城に攻め入る精鋭軍は...」

スミョンが事情を伝えようと口を開くと、傍にいたタルピョンは剣を抜きスミョンに振り下ろそうとするがソンベクの剣がスミョンを守った。

「精鋭軍は...倭軍です」

思いがけない事実を知らされ驚愕の表情を浮べるソンベク。自分を騙し続けてきたタルピョンへの怒りが爆発したソンベクは倭館に馬を走らせようとしたヤン判官に容赦なく斬り付け、タルピョンの首に剣を突きつける。倭軍を引き込んだ条件は済州島(チェジュド)を渡すことだったと知ったソンベクは怒りに震える。

「済州(チェジュ)の民は朝鮮の民ではないというのか?
誰のための大義だったのだ!」

剣を振り上げ今にもタルピョンを斬ろうとするソンベクを止めたのはスミョンだった。
「チャン頭領!この方は私と私の父の恩人なのです」

この言葉にとうとう剣を振り下ろせなかったソンベクは、閉じ込めておけとスミョンに話し、タルピョンを斬ることはできなかった。

【王宮襲撃】

謀反を阻止するため、事前の策として王宮へと襲撃する左捕盗庁の軍士たち。ユン、ウォネ、チュワン、チュクチ、チェオクの5人はそれぞれの命を懸けてこの戦いに挑んでゆく。自分たちは斬られても 1人の軍士も殺してはならん 、軍士たちを殿下の元へ誘導しろとのユンの命令の元、宮城へ向かっていく。


ウォネ:「飛虎隊と私が援護します。従事官様、この私は結婚もせずに死にます。責任とって下さい」

チュワン:「息子よ お前の父は腰抜けじゃない。よく見てろ、父は国の為に戦って死ぬぞ」

チュクチ:「なあお前見てるか?お前を殺した奴の首をへし折ってお前のもとへ行くぞ」

チェオク:「従事官様...果てしなく重いだけの私の夢から目をさまそうと思います。今生では従事官様が私を守ってくださいました。助かったら今度は私が従事官様 の命をお守りします」

ユン:「チェオク、縁とは出会ったときに問うものではなく、終わるとき問う様だ。ありがとう、最後まで共に過ごす縁を与えてくれて」


王宮前、剣を抜く捕盗庁軍と謀反軍との激しい戦闘 が始まる。王の元へ左捕盗庁のファンボ・ユンらが攻撃してきたとの知らせが入り、何も知らない国王は衝撃を受ける。ファンボユン従事官らが攻撃を始めた との知らせに謀反軍もまた、動かないと水の泡だとソンベクの合図を待たずに戦いの火蓋を切ることになる。

一方倭軍との取引を知ったソンベクは仲間を止めるため馬を走らせる。爆薬への点火合図を待つトクスら賊軍 の元へソンベクの合図を無視して始めろとの指示が入る。まさに爆薬へ火をつけようとしたそのとき、ソンベクがトクスらの元へと駆けつける。勝手に指示を出した武官をいきなり斬ると、ソンベクは仲間が点火した火を剣で消し始める。ソンベクの様子に驚いたトクスは理由を尋ねるが、ソンベクは悲しそうな表情を浮べて「帰ろう」と伝えるのがせいいっぱいだった。

とうとう王の元へ謀反の軍が進入する。傍で様子を見ていたピルジュンはゆっくりと国王の近くへと寄っていく。国王の護衛兵であるフンボクは自らの命を張って国王を守るが 、敵の剣が非情にもフンボクの体を貫く。最後の力を振り絞り国王の元へと戻り、最期まで守り抜こうとするのだった。ところが、虎視眈々とそのときを狙っていたピルジュンの剣に よってフンボクは倒れてしまう。呆然とする国王はようやく黒幕がピルジュンであるとこの瞬間に気が付く。「余が愚かだった。実に愚かだった...」

人質にとられた国王の前に、ユンらが現れる。国王の場所に座るピルジュンを 厳しい目で睨むファンボ・ユン。

「その席は民の苦悩を受け止める席だ。貴様の器ではできん さっさと降りろ」

「貴様(ファンボユン)を早く斬っておくべきだった。少しでも動いたら王の首が落ちるぞ剣を捨てろ」

絶体絶命と思われたそのとき、チェオクが賊軍を装いユンに剣を突きつける。チェオクだと気づいたユンとウォネは剣を捨て、チェオクに全てを託すことになるが、このときチュクチが飛び込んできてしまう。妻の命を奪ったピルジュンに剣を突きつけ、自分の命をも懸け 仇をうとうとするチュクチは誰の言うことも耳に入らない。敵の剣がチュクチの肩を斬り付けた瞬間、ユンの援護によりチェオクが投げた短刀がピルジュンの額を貫き、ピルジュンはあっけなく命を落とすのだった。あらかじめ賊軍にソンベクの居場所を聞いておいたチェオクは、戦いが終わると1人その場を後に し、ソンベクらの元へと向かう。

戦いの後、怪我を負ったチュクチを手当てするウォネの言葉には可哀想なチュクチへの思いやりが溢れていた。

「お前が助かったのは、女房の法事をちゃんとするためだ」

女房に会いたいと...泣き出すチュクチの肩に手をかけるウォネ。その場へユンがやってきてチェオクの居場所を尋ねる。ウォネは、チェオクがチャン・ソンベクを地獄まで追いかけるつもりなのでは 、と話す。逆賊を捕らえる準備を整えるよう伝えるユン。その場で国王に呼ばれたユンは今後重要な任務を任せたいとの提案と、傍で守って欲しいとの申し出を受ける。セウクが まだ意識を取り戻していないこと、セウクの功績に比べたら、自分の功など微力だと、ユンは国王の申し出を断ってしまう。

【謀反軍の砦】

タルピョンに剣を突きつける刺客カトウは裏切り者となったタルピョンの「俺の命を買ってくれないか?」との言葉にタルピョンの縄を解くことになる。一方ソンベク は、逃げ出したタルピョンを追うよりも仲間達を案じていた。

「撤収するぞ。奴にはいつでも会える。引くことも大切だ、急げ」

賊軍が去った後、砦にやってきたチェオクはソンベクの姿がすでに消えていたことに落胆し、自分の無力さに涙を流していると、隠れて様子を伺っていたタルピョンらに捕らえられてしまう 。

仲間たちの前で解散を伝えるソンベク。自身が絶望の淵にいながらも仲間には決してその胸の内を見せることはなかった。

「これは終わりではない。忘れず子供達に伝えるべきだ。
戻ってそのときを待て。誰かがまたこの皆を必ずこの場に呼び集める。トクス 残った軍資金の砂金を皆に配ってやれ」

スミョンから、砂金が全て消えたこと、チェ・ダルピョンの仕業だと聞かされたソンベクはスミョンを制止し、自分が追うことを決意する。

【左捕盗庁】

ユンが国王の申し出を断ったことで、チュワンはこれからは殿下の傍にお仕えするのが良い のではとユンに再度進言するが、セウクが目を覚ますのを待つとあくまでもユンはセウクに仕え続けることを主張する。ユンの帰りを待っていたナニは怪我を負ったユンを切ない眼差しで見つめていた。チュワンが去ると、ユンはとても大きな戦があったと穏やかに伝え、ナニに近寄りその手をそっと握り締める。ほんのつかの間ユンに見つめられるナニの表情は幸せに満ちていた。

その場へユンのかつての師匠であったスウォルが現れ、ユンへとねぎらいの言葉をかける。回復しないセウクの為にできることはないかとやってきたのだ。 師匠の温情に嬉しそうな表情を浮かべるユンだったが、その後スウォルから思いもよらぬ事実を聞かされることになる。

「来る道である寺によってきた。チェオクの父母が祀られている寺だ。あの子の兄を見つけた。位牌を祀ったのもその兄だったのだ。その兄とはチャン・ソンベクなのだ。 寺の住職が人相書きを見たそうだ」

ソンベクこそがチェオクの実の兄のチェムであるとの事実に衝撃を受けたユンは暗闇の中明かりもつけることも忘れ、部屋に戻ると、手紙が置いてあることに気づく。

 ”茶母は預かった。 助けたければ朝までに貴様の命を持って来い”

脅迫状を握り締め、チェオクの元へ向かう決心を固めたユンはナニの元を尋ねる。

「今まで、今日ほど幸せな日ははありませんでした。ありがとうございます」

嬉しそうな微笑を浮べるナニにユンは事実を伝えることはできなかった。母の住むヤンジュへ出かけると伝えると、ナニは表情を曇らせてユンの身を案じる。心配するナニに、母が病気なので早く行ってあげたいとだけ話すが、それなら薬をと席を立とうとするナニを引きとめ、後で頂きますと静かに答えるユン。「行ってまいります」とナニの部屋を出ようとするユン。

「チェオク...のことですね (最後の安息所 inst)
また、戻っていらっしゃいますよね。約束してください」

「遠い道のりになりそうです」

「私が多くを望みすぎたのですか。
例えたった1日でも妻として生きたいのです。
抱きしめてくださいませんか?
愛してると..ひとことだけ 言ってはくださいませんか?」

ユンは一度背を向けたナニの方へ振り返ると、傍に寄りそっとナニを抱きしめる。

「約束を守れなくて申し訳ありません...」

ユンが去り泣き崩れるナニだった。

【海辺】

タルピョンに捕らえられたチェオクは船の上で刺客カトウらに囲まれていた。その場へユンが馬に乗りチェオクを助けに現れる。馬を下りたユンは剣を手に持たず、タルピョン へ歩み寄る。口を塞がれているチェオクはユンの姿を見ると叫び声を上げ、傍にこないようユンへ必死で伝えようとする。

「その娘を放せ。私が一生をかけた夢だ」

貴様らを切り刻んでも気が晴れぬと話すタルピョンを前に、ユンは縛られたチェオクを愛しそうに見つめると、タルピョンの前にひざまずく。

「私を斬ってその娘を放してくれ。この世で最後の頼みだ」

当初からユンも一緒に殺してしまうつもりだったタルピョンは、あの世への道、1人では寂しいだろうとユンを斬るよう刺客らへ指示を出す。

そこへ砂金を奪ったタルピョンを追って来たソンベクが現れる。(宿命U)
刺客カトウがソンベクに向かうが、ソンベ クの怒りの剣に一振りで斬られてしまい、次々とソンベクに襲い掛かる他の刺客たちも瞬く間にソンベクに倒されてしまう。タルピョンに捕らえられたチェオク を見つめながら、ソンベクはまっすぐタルピョンに向かって歩み寄る。

「来るな!近づいたらこの女の首を切るぞ!」

「私はすでにその女を斬った。好きにしろ」


「チャン・ソンベク!」ユンはたまらずソンベクを制止する。

「ファンボ・ユン、貴様への借りは後で返す。どけ!」

「お前が愛した娘ではないか」

「剣を向ける方向が違うなら 死あるのみだ」

「あの娘の命はお前の命だ」

「どけ私の剣には数百の命がかかっているのだ」

行く手を阻むユンをソンベクは怒りで突き飛ばす。私を斬れ、といいソンベクの前から動こうとはしないユン。

「もう一度邪魔したら情けはかけん」

「数百の命ほど私にとってはあの子の命も大切なのだ」
 
怒りの収まらないソンベクに、ユンはとうとう剣を手にする。

「そうだ、そうやって剣を持て。私は死んでも反逆者で、お前はポドチョンの従事官だ」

「お願いだ 頼む、剣をおさめてくれ。あの娘は...」

ユンが真実を伝えようとしたその瞬間タルピョンが持っていた砂金箱のふたを開き、頭上に持ち上げソンベクに早くユンを斬れと煽る。

叫び声を上げユンに怒りを向けるソンベクだったが、決して自分に向かってこないユンに剣を振り下ろしはしなかった。

「私を斬れずにどうやってあの娘を助けるのだ。
愛しているのだろう?
生かしたければ私を斬れ!」

タルピョンの「手ぶらで戻るのか !」との叫び声にソンベクが振り返ったそのとき、一瞬の隙をつきユンは剣をタルピョンに向けて投げつける。ユンの剣はタルピョンの体に命中し絶命させるが、この時タルピョンが手にしていた砂金が全て海の中に落ちてしまう。

「数百の命と言った筈だ!」

民の血でもある砂金が海に落ちたことで怒りが頂点に達したソンベク。次の瞬間、民を救うためと握り締めたソンベクの白い剣はユンの体を貫いていた。

「チャン・ジェム あの娘は チェヒだ...。あの娘を 二度殺すな」

息も絶え絶えに自分の本当の名を呼び、妹の名を口にし、チェオクがそのチェヒであると打ち明けたファンボ・ユンを前に愕然とするソンベク は、とっさに剣を引き抜くと呆然と立ち尽くし、どこに向かうかも分からずに歩き出す。(悲歌 )

成すすべもなく全てを見ていたチェオクは、泣き叫びながらユンの元へ這ってくる。愛してしまった男チャン・ソンベクの剣により、幼い頃からの父であり、母であり、兄でもあったファンボ・ユンが目の前に血を流し倒れている...。

「お前と一緒に呼吸しながら生きたかったが...
お前に心を寄せてしまってからは...深い眠りにつくことができなかった。
お前は私の為にそんな思いはするな...」

「若様、 一緒に山へ戻りましょう
二度と降りてこないように...」

「私はようやく深い眠りにつくことができる」

最期の瞬間、安堵の表情に包まれながら命を落とすユン。

「若様、若様、若様!山へ帰りましょう....」


【海辺 荼毘にふされるユン】(悲歌ボーカル)

ナニ、セウク、ウォネ、チュクチ、チェオクは非業の死を遂げたユンとの別れにそれぞれの涙を流していた。

「若様、安らかにお眠り下さい。
夢の中で私などと会って目覚めたりせず、安らかにお眠り下さい。
二度と若様の眠りを邪魔しません。
でも若様は私を探してください....
長い夜の私の夢の中へ 必ず探しに来てください」

【ソンベク、仲間との別れ】

「トクス、これは終わりではない。
お前達は必ず生き残り あの腐った世を倒せ」

1人で死に向かおうとするソンベクに、一緒に戦います、みなが死んでも一緒に戦いますと泣きながら訴えるトクス。

「トクス、お前はそれほど愚かだったのか。
自分達のためだけなら死も共にしたはずだ。
だがそうではない。
血と涙を流した仲間の希望がなくなるではないか。
死んではならぬ、生きろ。しぶとく生き残れ。
...それが私を救うただ1つの道だ。

頭領として、兄上として付いてきてくれてありがとう。
兄上と呼んでみたかったのだ...トクス兄上」

初めて見るソンベクの弱き姿にトクスの涙は止まらない。仲間に背を向け歩き出すソンベクを追って来たスミョンを抱き寄せるソンベク。スミョンの右手を優しく握り締め ると、二度とこの手に剣を持つなと一言残し、仲間の元を去っていく。

【竹林】

チェオクと剣を向け合うソンベクは妹チェヒを見つめながら、自分の最期を意識したかのように穏やかな微笑みを浮かべていた。

「私を殺そうとしたのだろう」

「私はすでにお前を斬った」

ソンベクを追い、ユンの仇を討つつもりのチェオクだったが、追っ手が現れ、馬に飛び乗り逃亡するソンベクの後姿を悲しみに包まれた表情を浮かべ見つめていた。

草原を駆け抜けるソンベクを次々と襲う軍の矢。ソンベクは逃亡しながら、幼い頃生き別れたチェヒを思い出していた。砦にいた頃のチェオク が肩を撃たれたことを思ったとき、チェオクと同じ場所に矢を受けてしまう。

「罪人は顔をあげよ。チャン・ソンベク、貴様は道ではない道を走ったのだ」

落馬したソンベクは次の世代の道を拓くかのようにあきらめずに草原を駆け抜ける。

「道ではない道?

道というものは、初めからあるものではない。一人が歩き、二人が歩き、多くのものが歩いたあと、初めて道となる」
この腐った世に 新たな道を切り拓こうと駆け抜けてきただけのことだ」

崖に追い詰められたソンベクは背中に受けた矢を引き抜き、しっかりと大地に立ち、振り返る。

「私が亡き後も 多くの人が道を切り拓くため歩くだろう。
いつの日か彼らの血と魂が
渓谷を埋め 川を埋め
必ず新たな道を 新たな世の中を切り拓くはずだ。

私は死んでも、私の魂までは死なぬ。

ただ,,,チェヒ...

私のこの世の生はここまでだ。
早く命を持っていけ!」

貴様に死を選ぶ権利など無い!と、ソンベクに兵士たちの矢と銃口が向けられたそのとき、チェオクが現れ、決意を胸にソンベクに歩み寄る 。チェオクを見つめ静かに微笑むソンベク。

「私の剣で殺さなければ...生涯を通してくやむことになるだろう」

「そうだ、今度は失敗するな」

「必ず斬る」

剣を抜くチェオク、かつて愛したソンベクに、実は兄チェムであるソンベクに剣を振り下ろすが、ソンベクの剣にはじき返されてしまう。ほんのつかの間 、2人は様々な想いを胸に見つめあうが、次の瞬間、ソンベクの剣が貫いたのはチェオクではなくソンベク自身の体だった。

「....会いたかったぞ.....チェヒ」

愕然とするチェオクはとっさに剣を引き抜くがソンベクはさらに深く剣を刺す。

「私を...忘れろ」

まるで幼いチェヒのような表情を浮かべるチェオクを後に、剣を手に歩き出すソンベクは1度だけ振り返り泣きじゃくるチェヒを見つめていた。最期の力を振り絞り、剣を振り上げた途端 、軍の銃声 が響き渡る。兄チェムの体に次々と向かってくる銃弾と矢を目にしたチェヒは一心不乱にチェムに向かって駆け出す。ようやく出会えた兄と妹チェムとチェヒが抱き合えた瞬間、2人の命を非情にも矢と銃弾 が貫いてゆく。

「チェヒは何歳になった。
まだたったの7歳か...
チェム、何があっても妹と一緒にいるのだぞ」

「お兄様...」

ようやく兄と会えたチェヒはその頬に手を伸ばし穏やかな表情になる。
チェムもまた、妹チェヒを見つめながら
安らかな表情で目を閉じる。



먼... 산...
遥か遠き山

눈이 시리도록 질푸른 산
目もくらむほどの青き山

그 심연을 짐작할 수 없는 인연
その深淵を 察することのできぬ縁

그 가늠 할 수 없는 사랑...
はかりしれぬ愛

내 심장을 뚫어버린 사랑...
私の心臓を 貫いた愛

다시는...
二度と

다시는 나를 위해 살지 마라...
二度と 私のために生きるな