この取材をされたインタビュアーのコメントによると、オム・テウンさんは取材では口数の多くないタイプとのこと。ですが聞き手の方の持つ雰囲気の良さから、徐々にリラックスしていく様子が記事を通して伝わってきます。オム・テウンさんの友人の話題で気持ちがリラックスした後、「魔王」の話題に移ります。
−先日キム・ジウ作家、パク・チャノン監督とお会いしましたが、倒れるまでお酒を飲んでしまいました…
(笑)、ああ、キム・ジウ作家は…お姉さんのような方です。いつも先生、先生と呼びますが“ヌナ(姉さん)と呼んでもいいわよ”と言って下さいます。本当に姉さんのようですね。お酒を飲むと普段は言いにくいことも話せる、そんな方です。
−パク監督は本当にカッコイイ男ですよね?
(笑)ええ、カッコイイですよ。完全に“大将”です。現場でもスタッフを連れ歩く姿はまるで“オヤブン(日本語で表現されています)”のようです(笑)。監督と一緒にいると楽しいことがたくさんありますよ。
−どんな話がありますか?
監督が「復活」の撮影中、私をカメラで見て“ワニ”のようだと言いました。今は“狼”みたいだと仰います(笑)。
−今回はサムスン(私の名前はキムサムスン)もチュモンもありません。今回はめぐり合わせは悪くありませんよね。
ええ、全て一緒に始まりますから、本当に「よーいドン!(これまた日本語で表現)」で出発しますよね。まずドラマはとても素晴らしくて確実な作品ですが、「復活」のときよりさらに複雑な内容なので、どうなるかは分かりません。台本が6話まで手元にありますが、最高に面白いですね。話が進むごとにまた別のつながりが明らかになりと、読むたびに新しい事が見つかります。
−特殊なジャンルの作品ですが、演技をしてみていかがですか?
そうですね…まだ良く分かりません。私の演技経験がそれほど多くないためですが、まず言えることは台本がとてもしっかりしているという点です。感情がそれに(台本に)そって流れていくので、演技をしてみれば、何が必要なのか、すぐについてきます。何故そうなのかが理解できて、私がどんなことを言うべきか理解できて…だから特殊なジャンルであっても楽しんでいます。ですから台詞が複雑なものが多くても、私(カン・オス)がその相手に対して言いたいことが台本に書いてあるために、気がかりな点は一切ありません。
−まさにオスという人物になりきっているのですね。人を死なせてしまった過去がある、つらいキャラクターですね。シニョク(「復活」で双子の兄を失い、事故の前に引き止めなかったことで罪悪感と喪失感を抱き続ける)とも似ている点があるような気がします。
同情を引く人物だと思います...見れば見るほど同情を引く人物だと。誰もが記憶の中に消してしまいたい点があると思いますが、そんな部分を胸に抱きながらずっと生きてきたこと、そのために一生荷物を背負いながら生きていること...もちろん、人を死なせたことは大きな過ちです。しかし、その苦痛を抱えながらやっとの思いで忘れることができる程度まできていたと思うんですが、その過去が再び記憶から呼び戻されるような事件が起きて、自身の過ちの為に残酷な事が起こり、これは何と言ったらいいのでしょう...哀れですね。(物語が)進むほど哀れで...むしろスンハのような人物は、緻密に復讐を実行するために抜け目のない、見事ともいえる部分を持つ役柄ですが、オスのような人物は、私たちが実生活でも目にするような人物で、とても哀れです。本当に同情を受けることができるような、そんな人物です。
−そのためにキム・ジウ作家の脚本にメロ(恋愛)の要素が登場しているにもかかわらず、恋愛の要素がさらなに切なくさせるのでしょうね。「復活」もそうだったように。
ええ、本当にそうですよね。本当に作品がとても素晴らしく、面白いので、それを表現できるよう最善を尽くしています。何かをお見せしたいというより、むしろオスという役柄をしっかりと表現し、しっかりと作っていくこと。オスが哀れな人物だとお伝えできれば嬉しいですし、どんな人でも避けることができない事があるとお分かりいただければありがたいです。
−あらすじには繋がりはありませんが、「復活」と情緒面での繋がりを感じるところがありますね。
まず、オスが刑事であることもハウンと似ていますよね。監督もその点をとても面白いと、似ているから良いとも仰いました。ですが、始まりはそうであっても話が進むにつれいつの間にかオスという人物になっていきますから、そのときにまた新たな何かが現れるでしょう。
<オム・テウンにとって復活の意味は特別なものだ>
「復活」のファンの皆さんにはとても感謝しています。私をとても愛してくださる方々もいらっしゃる反面、私を嫌いな方々もいらっしゃいますが…。「復活」は大きな力になりました。「復活」を好きな方々は「魔王」に大きな関心を抱いていらっしゃいますので、またその方々が「魔王」をご覧になられて必ず気に入ってくださると信じています。私は台本を読みましたから。台本がとても素晴らしいので演技さえきちんとすればいいのですが、それが負担にもなりますね。
−「復活」の時と比べてはるかに演技の幅が広がったと思われますか?
広がったかどうかは分かりませんが…まずとてもリラックスしています。監督が仰ることがどんなことを意味するのか「復活」でずいぶんと学びましたので、今は“ああ、この感じだな”と演じることができます。監督はいつもするべき作業が多い方なので、こんがらがってしまう部分があれば、“こう仰ったのに、これはこうではないですか?”といえば、“そうだな”といった具合に、ずいぶんと変ったと思います。今は監督もたいていの部分は“お前、やってみろ”と仰いますし、このようにしなさいと仰るときもあります。お互いのスタイルを知るだけにとてもリラックスできますね。「魔王」は「復活」よりさらに複雑で、もっと面白くなるでしょう。
記事の紹介ここまで
以上、雑誌"dramatique"より記事の一部をご紹介させていただきました。