:::15話#52 ホテルの部屋の中:::
〜ウンチェがムヒョクの寝顔を携帯電話のカメラで写す場面〜
監督:
個人的に私はこのシーンを撮影しながら、ウンチェのように...私が撮る時に(私の心の中に)ウンチェのような女性がいて、このように収めたくなり、覚えていたくなって...それならこの男性は幸せだろうと、そんなふうに思っていました。
作家:はい...。大きなものを望まない子たちじゃないですか。小さな思い出ひとつだけあれば、幸せに生きていけると言う子たちだったんです。
監督:それでもこの写真を後でムヒョクが消してしまう時、その時とてもつらかったですね...
作家:はい。配慮でしょう...ウンチェに対する配慮。
監督:ムヒョクが消していなければ、ウンチェがムヒョクの死後もっと苦しむだろうとも言えますね...。私はこんな話を良くするのですが、誰かがこの世を去った悲しみは、もう二度と会えないということですよね。ウンチェが写真を撮るというのもそんな意味があるので、スタッフが大勢見守る中で、このシーンを撮影しながらうな垂れてしまいました。ところでジソブさんは本当に静かに眠っているみたいでしょう?
作家:はい...そうですね...そうなのかな?(笑)
:::16話#34 静寂な通り
(地下道へ向かうウンチェを追うムヒョク):::
監督:このシーンも視聴者の心に残る場面のうちのひとつですね。
作家:実は私は作家の立場から、俳優たちの演技が最も感動的だったのはこのシーンでした。イム・スジョンさんとソ・ジソブさん...。
監督:ドラマも終盤に近づき、俳優たちの集中力も落ち、体力的にも疲れてきていたんです。スタッフもほとんどが疲労困憊していて...それがこの二人の俳優が集中力を維持したまま、集中力を欠かすことなく演じたこんなシーンを見て、スタッフたちもこのシーンを見てまたハッと我に帰りました。
作家:ここでのソ・ジソブさんの眼差しの演技がとても素晴らしかったですね。アカデミー賞ものですね。
監督:はい。
〜愛しています、愛していますとウンチェが何度もムヒョクに伝えるシーン〜
監督:"愛"という言葉をこんなに何度も言うドラマは他に見たことがないかもしれません。
作家:私は本当に悩みぬきました。ウンチェがどんな言葉を伝えるべきか...結局最後にキスをすることも考えたのですが、本当にあれこれと考えて...結局、「愛してる」という言葉以外に、ウンチェの感情を説明してくれる単語がなかったんです。
監督:良い俳優ですね...この単語は、使う俳優によって全く雰囲気が違うじゃないですか。
作家:ええ、そうでしょうね。
監督:ここはムヒョクとウンチェが最後に、死の前に最後に会うシーンですね。
作家:はい。確か私はこの後撮影現場に出向いたんです。それで最後を撮り終えて、御苦労さまでしたと、俳優たちと最後に握手をしましたね...。ジソブさんも初めてお会いした時よりずいぶん痩せてしまって、すごく疲れた様子でしたので、心苦しかったです。ウンチェも同じです。
:::16話#72 オドゥリの居間:::
〜ムヒョク、オ・ドゥリの居間でオ・ドゥリとユンの写真を見つめる〜
監督:ムヒョクとオ・ドゥリが最後に会う日ですね。
作家:私はこのシーンを書いた時、最後に交わす台詞になるため、このシーンを書く前にこれまでのミサの台本を全て読みなおしたんです。1話から全て読み返して、それで重要なシーンをもう一度見ました。そしてそろそろ整理しなければならないと...1時間程度熟考して書きあげました。
監督:視聴者たちはムヒョクが母に何か話すのではと考えていたはずですよね、恐らく。
作家:はい、ムヒョクというキャラクターは、直接的な表現が出来る子ではなかったので...
監督:そしてその話をすることが、母の心をもう一度傷つけることになると考えたのでしょうね。
作家:ここでオ・ドゥリが煮るラーメンが、ムヒョクが母親に作ってもらった最初で最後の食事になりましたね。ある人が、母に作ってもらう最後の食事なのに、おかゆやテンジャンチゲでも煮て、しっかりと作るべきなのに、こんなふうにラーメンを煮るだなんて、ひどいと言っていました...。
監督:名場面として、心に響くシーンになりましたね。
作家:ええ、演技が本当に素晴らしいです。
監督:現場でこのカットを撮影しながら、私が放送の世界に入って11年ほどですが、俳優として最高に素晴らしい演技の中の一つになったと思います。ソ・ジソブさんは現場でとても熱心に仕事をしていましたし、もう足りないところなどないようだとも話しました。
〜ムヒョクのナレーション〜
監督:この言葉がさらに悲しくさせますよ...
作家:作家としてソ・ジソブいう俳優とムヒョクとの出会いは、大きな幸運だったと考えました。イム・スジョンさんも同じです。これ以上のウンチェはいないし、これ以上のムヒョクもいません。
監督:はい。
:::16話#79,80 オドゥリの居間:::
〜オ・ドゥリが後片付けをする場面〜
監督:この場面は、オ・ドゥリの心が何かを感じ取ったともいえますが...
作家:自然と湧き上がるどうしようもない感情です。何と説明していいか分からないそんな感情が伝わりますね。
監督:オ・ドゥリはムヒョクを捨てたのではなく、死んでしまったと思っているじゃないですか。自分の運命に対し、何も知らず、気付かないままに苦しむ、そんな悲劇だったんですね。
作家:この部分も素晴らしい演技をしてくださいました。私の考えた以上に...
監督:はい。
:::16話#83,84 ユン集中治療室前:::
監督:ウンチェに対してムヒョクが最後に電話をしましたね...
作家:はい。最初で最後の「愛してる」という言葉を伝えたシーンです。このドラマのタイトルでもあるように...
〜ムヒョクがバイクに乗る場面〜
監督:ムヒョクをどのように死なせるか、ずいぶん考えていらっしゃいましたよね。それでオートバイに乗り事故に...
作家:自ら死に向かったんです、ムヒョクが...ウンチェのために自分で死を選んだんです、ここで。オーストラリアの墓地に入ったのも、元々いた場所に戻ったと考えたためです。でも私はムヒョクが、チヨンが戻ったこともそうだし、ウンチェも、母親もそうですが、最後にはムヒョクは不幸な子ではなかったと、十分に愛されたのだと思います。母の声が聞こえるじゃないですか、「愛してるわ、私の息子」と。ですからムヒョクは、死んでしまいますが、不幸ではなかったと言えます。(撮影時を思い返して)とても寒かったそうですね...
監督:はい、寒くて...ここでは鼻血が出るためのメイクをするのですが、凍ってしまったほどでした。
作家:オーストラリアでのファッションはジソブさんのアイディアなんですよね。装飾品も直接選んだそうですね...指輪などは大きい方が良いとか...私はそこまで考えなかったんですが、とても些細な部分までムヒョクになりきって気を遣ってくれました。