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고맙습니다 韓国ドラマ「ありがとうございます」ストーリー  第16話(最終話)

第16話
〜最終話〜



イヨンシンシガ ポミガ ネ キジョギエヨ
이영신씨가 봄이가 내 기적이에요.

「 イ・ヨンシンさんが、ポムが、俺の奇跡です」
 

 

 

 


 


チョコパイを配り続けようとするイ老人の体を心配したヨンシンは、イ老人が外に出ようとするのを泣きながら引き止める。キソはイ老人の表情から願いを察し、チョコパイを片手に島中の家にチョコパイを配り始める。憔悴しきったキソが、倒れるように部屋で眠っていると、目を覚ましたイ老人がキソの部屋へと入ってくる。キソのそばにチョコパイを一つそっと置くイ老人の気配にキソは気づくことはなかった。

−にいさん、ありがとうございます。

イ老人が次に向かったのはヨンシンとポムの眠る部屋だった。二人に布団をかけながら、ポムとヨンシンを温かい瞳で見つめながら語りかける。

−メジュ、チュンギに会いたいよ。恋しくてたまらないんだ。ちょっと向こうへ行ってくるよ。向こうへ行ってチュンギに会ったら戻ってくるからね。メジュ。(ヨンシンを見て)お疲れ様でした、姉さん。ありがとうございます。ヨンシン...。

翌朝、島の人々が家の前に置いてあるチョコパイに気がついた頃、ポムがイ老人の異変に気づき、ヨンシンを慌てて呼びに来る。 おじいちゃんが声をかけても動かないというポムの言葉に、イ老人の状態を悟ったヨンシンは、足元がふらつき、イ老人の部屋に入ることができない。異変に気づいたキソが走ってイ老人の部屋に向かうが、すでにイ老人はこの世を去った後だった。キソはショックを受けるヨンシンとポムを抱きしめる。

イ老人を失ってから食事を取ろうとしないヨンシンを心配したキソは、ヨンシンが好きな店の弁当を10人分買い込んでくる。キソの優しさを受け止めようとしないヨンシンは、キソを無視して背を向ける。

−俺は犬以下か?今まで俺もおばさんについてまわって、水しか口にしていないのに、トンダルだけ心配して俺の心配はしないの?ご飯を食べよう、俺達。食事しよう、後を追って死ぬ気じゃないなら、食事をしよう。

−食事してください。私は大丈夫...お腹がすかないのに、食べられないわ。

ヨンシンは部屋に戻ると、学校に行きたくないというポムの手を引いて学校へ無理に連れていこうとする。嫌がるポムを叱るヨンシンの様子を見ていたキソはたまらずにポムを抱き上げると、ポムに学校の友達へ病気のことをどう伝えたらいいのかを話し、学校へ送り届ける。一旦教室へ向かったポムだったが、楽しそうに笑う友達と先生の表情を見ているうち、悲しさがこみ上げてくる。疲労のあまり車内で眠ってしまっていたキソは、力なく歩いて学校から出てきたポムに気づかない。家に辿り着き、何故泣いているのかとヨンシンに聞かれたポムは泣きながら事情を話し始める。

−みんな、楽しそうに笑ってたの。私がいなくてもちっとも悲しそうじゃないの。自分達だけで笑ってた。ポムのこと忘れちゃったんだよ。ポムは忘れられちゃったんだよ、ママ!学校なんて行かない!嫌い!

ポムの言葉を聞いたヨンシンは、ソウルへ引越しをする決意を固め、すぐに荷物を片付け始め、トラックの手配をする。診療所で急患の治療を終えて家に戻ったキソは、家の荷物が全てなくなっていて、ヨンシンも、ポムもいないことに気がつくと、慌てて車を走らせる。キソはスピードを出してトラックを追い越すと道を遮りヨンシンとポムを乗せたトラックを止める。

−ドアを開けるんだ!ドアを開けろ!ポム、ママと話があるから少し乗って待っていて。

車から降りたヨンシンの手を引き、大声で気持ちを言葉にするキソ。

−どこへ行くんです!突然、どこへ行くんです!

−突然じゃないわ。前から考えていました。発とうと考えていたけれど、祖父がいたから迷っていただけです。ご存知でしょう?おじいちゃんもいないのに、私ここにいる理由がありません。

−俺はここにいる理由にならないんですか?その程度なんですか?俺はおばさんにとって。こんなふうに何も言わず、顔も見ずに行ってしまえるくらいの、俺がその程度の存在だったんですか?世間に、同情や申し訳なさや罪悪感ごときに、人生の全てを懸けるバカがいるとでも?俺がおかしいのか?俺を犬以下にあしらった女のために、俺の人生じゃあり得ないことまでして、その女の涙のために胸がつぶれそうになり、その女が笑うたび胸が弾んで有頂天になった、俺は異常者なのか!俺は...言い続けてた...コンビニすらないこの田舎に戻ったのも、あるおばさんのためだって...そのおばさんがいないと、息が出来なくなって戻ったと...メシも食えず、酒ものどを通らずに死にそうだったから!だから戻ったんだと...おばさんが耳をふさいでいただけで、俺はずっと言い続けてた。俺はまだ話したいことがたくさんあるし、聞きたい話もたくさんあるんだ。始まってもいないだろう?引き返そう。

キソの言葉に涙を流しながら首を横にふるヨンシン。

−ポムを学校へ行かせるの。HIVだと誰も知らないところで、偏見も差別もない場所で学校へ行かせたいの。他の人たちのように生きられなくても、小学校、小学校だけは卒業させたい。おもちゃを握った瞬間から、友達に譲れと教えたわ。私がポムに間違いを教えていたの。これもみんなおじいちゃんのせい。おじいちゃんが父にそう教え、父が私にそう教えたの。みんなおじいちゃんのせい...。祖父が間違っていました。始めからこんな教え方だめだったの。おじいちゃんがあんなふうだったから、ポムが傷ついたのよ。他人に期待などしてはダメなのに。ぜんぶ、ぜんぶおじいちゃんのせいよ。

運転手に催促され、二人を呼びに来たポムは、キソもソウルへ一緒に行くと思い込み笑顔で手招きするが、ヨンシンはキソを残してポムと二人でトラックへと乗り込む。運転手の話から、トラックの後方も道が塞がれていると聞いたヨンシンは、後方にポラムの母がきていることに驚き、再びトラックから降りてくる。島を捨ててどこへ行くのかと、ヨンシンを引き止めるポラムの母の謝罪の言葉と、次々ヨンシンを引き止めにくる島の人々の様子に、ヨンシンは島を去るのを思いとどまる。

ヨンシンたちの荷物を島の人々が力をあわせて家に運び込む間、ポムはソッキョンの家で、ソッキョンの母から思いがけない話を聞かされる。ソッキョンが実の父であると伝えられたポムが、ショックで涙を流し始めると、ソッキョンが戻ってくる。

−今話したの。あなたが父だってことを。

動揺しているポムの表情を見たソッキョンは、咄嗟にポムの心を傷つけぬよう、優しい嘘をつく。

−パパじゃないよ。おじさんはパパじゃないぞ、ソッキョンおじさんだ。ポムの本当のお父さんはね、ソッキョンおじさんなんかより、ずっと優秀で、ずっと優しくて、カッコイイ人なんだよ。おじさんもポムみたいな子が娘なら嬉しいけどね。おばあちゃんの話は願望だよ。望みみたいなもの。俺はただソッキョンおじさんで、守護天使2号だ。

−本当?

−もちろん!天使が嘘をつくのを見たことある?

−ううん!

笑顔で答えるポムだったが、涙を流すソッキョンの母の様子を心配し、これからは本当のおばあちゃんみたいにいっぱい遊んであげるね、と優しく語りかける。部屋に戻ったソッキョンを、ソッキョンの母は、何故嘘をつくのかと責め立てる。

−ポムとヨンシンの幸せが最優先です。二人の幸せが優先なんです!もうやめましょう...遅かったんです。遅すぎたんですよ...。

夜になり、ようやく落ち着いたヨンシンとキソだったが、ヨンシンは相変わらず一言も話さずに、じっと家の前のベンチに座っていた。そんなヨンシンにキソが“メシ、食いましょうよ、俺達。 このままじゃ飢え死にするかもしれませんよ”と声をかけると、ヨンシンは力なく立ち上がり、食事の支度をしてくる、と台所に向かう。そこへソッキョンの母がやってくると、キソに話がしたいと申し出る。ソッキョンの母はキソの前にひざまずく。

−どうか一度だけ機会を下さい。先生だけじゃなく、息子にもヨンシンに優しくしてやる機会を下さい。身を引けという話じゃないんです。うちのソッキョンにも、ヨンシンに一度だけよくしてあげる機会を下さい。後で後悔しないように、負わせた傷を少しでも癒せるように、そして私も、今までできなかった祖母として孫への孝行が出来るようにイご隠居のご温情に、100分の1でも恩返しできるよう、少しはマシな地獄に落ちられるように、一度だけ機会をください。先生は天使なんでしょう?守護天使1号なんでしょう?

ふすま越しに話を聞いていたヨンシンは、涙が止まらず、ソッキョンの母の願いをかなえるかのようにソッキョンへ連絡を取る。ヨンシンはソッキョンが姿を現すと、穏やかに微笑み、話を始める。

−ありがとう。私にポムを授けてくれたこと...。ポムを育てるのって毎日ワクワクして楽しいの、本当よ。ポムがいなかったら、どんなに不幸だったか...あなたのお陰よ。あなたに会うたび、本当は“ありがとう”って言いたかったの。うらみなんかじゃなくて、実は“ありがとう”なのに、怒ってばかりだった。これが言いたくてきたの。それじゃ...。

お前一人だけじゃない。お前より、もっと強く、俺もお前を好きで愛してた。遊びじゃなかったんだ、あの夜のこと...もてあそぶわけがない。15年以上も一瞬も忘れたことのない人なのに。俺も、ありがとう。ポムを産んで、育ててくれて。パパをいい人だと教えてくれて、俺も、ありがとう。

ヨンシンが家へと戻ると、キソが夜空を見上げて、ヨンシンの帰りを待っていた。キソの前に、すくっと立つヨンシンは、じっとキソの目を見つめる。

−聞きたいことがあるの。ポムに父親がいないのは悪いことでも変なことでもなくて、違うのよね?...私が未婚の母だというのも、悪くもなく、変でもなく、申し訳なくもない、ただ違うのよね?そうでしょ?私にそう教えてくれたもの...。

−そうだよ。違うだけだよ。右目の方が小さい人がいて...

キソの心を受け入れたヨンシンは、キソと声を合わせて話はじめる。

−背の高い人がいて、人差し指が中指より長い人がいるように...。

遠い道のりを経て心と心を通わせあった二人は、すれ違ってきた時間を埋めるように微笑みながら、時を忘れたように互いを見つめ合う。

1年の時が過ぎたある日、海辺で遊ぶヨンシンとポムを、キソが遠くから優しい瞳で見つめていた。キソを見つけたポムとヨンシンは、笑顔でキソの元へ駆け出す。

−奇跡を信じる?

−奇跡?

−ええ、奇跡。

−そうだな...本当に奇跡を信じる?

−ええ。

−俺も信じるよ。イ・ヨンシンさんが、ポムが、俺の奇跡です。