【あらすじ(※注:8話、これまた詳しいです)】
−私が...あなたを愛しているから...
ミニョンの言葉に動揺したユジンは、揺れる心を静めるかのように吹雪の中へ飛び出していく。その頃、ゴンドラ乗り場で知らせを待つサンヒョクたちは、キム次長から風の強さのために
翌朝まで二人の下山は難しいだろうと聞かされる。
−よくあることですので心配しないで下さい。それと暖房があるので寒くはないでしょう。それに理事も一緒ですから心配しないで下さい。
サンヒョクは、吹雪の中ユジンが山頂に残されただけでなく、一緒にいる相手がイ・ミニョンであることに大きな不安が募り、“行ってみます”と思わず外へと飛び出していく。サンヒョクの後を追うヨングク。
−サンヒョク!おい!キム・サンヒョク!おい!こんな状態の中どうやって山へ登るんだ!
−俺にはそんなこと...関係はない!!
−朝になれば収まるよ、だから待て!
−待てだって?ヨングク、俺は今行かなきゃならないんだ!俺は行かなきゃならないんだ...
−おい、キム・サンヒョク!お前一体どうした!正気に戻れ!
−その手を離せ!離せって言ってるだろう!
ヨングクはサンヒョクのただならぬ様子に思わず拳を振り上げサンヒョクの頬を殴る。
−サンヒョク、ユジンは無事だよ...
一方山頂では、飛び出したきり戻らないユジンを案じたミニョンが吹雪の中彼女を探しに外へ出る。ミニョンが外を探している間、暖房の前に戻ったユジンは寒さと疲れで眠りに落ちていた。そんなユジンの姿を見て
安心したミニョンは自分のコートを彼女にかけると、静かに部屋を出る。
翌朝、雪の降る中佇むユジンの傍にミニョンが歩み寄る。
−昨夜はどれほど心配したか分かりますか?夜の山で探すのは大変なんです。もう二度とこんなことはしないで下さい。
ミニョンの声に振り返り、もう帰りましょうと言うユジン。
−ユジンさん、昨夜のことは謝りません。ユジンさんの心を痛めると分かっていたけれど、伝えたかったんです...後悔していません。
−いつも考えてました...チュンサンが生きていたら、今はどんな姿だろう...私は18歳のチュンサンの姿しか知らないから、28歳の姿はどうだったろうって、イ・ミニョンさんの姿を通してチュンサンの姿を見られたこと、本当は嬉しかった。でも私、イ・ミニョンさんには何の感情もないんです。誤解をされたなら、ごめんなさい。
ユジンの腕に手を伸ばすミニョン。
−私を好きだったことは一度もなかった?カン・ジュンサンではなく、イ・ミニョンという私を好きだったことは本当に一度もありませんか?
−ありませんでした。イ・ミニョンさんを好きだったことはありません。
−本心ですか?
−本心です。誰もチュンサンの代わりにはなれません。
−では、サンヒョクさんは何なんです?ユジンさんが今愛している人は誰です?
目線をそらし、歩き出そうとするユジンを引きとめるミニョン。
−話して下さい...ユジンさんの心にいる人は誰なんです?話して下さい!ユジンさんが今本当に愛している人は誰なんです?
ユジンが答えられずにいると、チェリンと共に山頂に登ってきたサンヒョクが声を上げる。
−その手を離してください!ユジンは私と結婚する相手です。そんなことを聞くのは、とても無礼なことだとは思いませんか?
ユジンを連れて行こうとするサンヒョクに、引き下がらないミニョン。
−まだユジンさんの答えを聞いていません。答えてください...ユジンさんが愛している人は誰なんです。
顔色を変えミニョンに向かって歩み寄るサンヒョク。
−あなたがどうしてそんなことを聞くんです?
−...ユジンさんを愛しているからです。
ミニョンの堂々とした態度に腹を立てたサンヒョクは、ミニョンの襟元に掴みかかる。
−何だと?もう一度言ってみろ!
−あなたも気になりませんか?ユジンさんが愛する人は誰なのか...
ユジンが止めに入ると、サンヒョクはユジンに近づいたら俺が許さない”とミニョンを睨みつけ、ユジンと共に山を降りる。
ミニョンの言葉を聞いてしまったチェリンもまたショックを受け、ユジンが見ているのはイ・ミニョンではないとミニョンに話し、涙を流す。
−人は誰も、自分でも気づかないうちに誰かに心を惹かれている時がある...その終わりがどこなのかは分からない。でも一度解けた糸はもう二度と戻らない。
−やめて!聞きたくないわ!今度話そう...
−チェリン...別れよう。
チェリンがミニョンの部屋を飛び出した頃、サンヒョクはユジンの部屋のクローゼットにある彼女の服を取出し、荷物をまとめ、仕事をあきらめさせようとしていた。サンヒョクの強引なやり方に、ユジンは必死で自分の仕事の大切さを訴えるが、サンヒョクは聞く耳を持たない。
−俺はお前にも問題があると思ってる。お前があの人の前でどんな態度をとったら、俺にあんなことがいえるんだ?お前を愛してるだなんて...
ユジンを無理やり車に乗せようとするサンヒョク。
−サンヒョク、お願い!あなた私を信じられないの?そうなの?
−そうだ、信じられない!お前、揺れてるだろう?
−揺れてないわ。サンヒョク、そんなんじゃないの。
−じゃあ、さっきはなぜ答えられなかった?イ・ミニョンさんが“愛する人は誰です”と聞いた時、どうして答えられなかったんだ?お前が愛する人は、俺だよな?
ユジンが答えられず黙りこむ様子にショックを受けたサンヒョクは一人車に乗り込み、車を走らせる。その場に居合わせたミニョンの姿を見たユジンは、断固たる表情でミニョンに近づく。
−私に愛する人は誰かと聞きましたね。今答えます。私が愛さなければならない人は、サンヒョクです。
友人たちが皆スキー場から去った夜、スキー場内をゆっくりと歩くユジンに、ミニョンが少し話をしましょうと穏やかに声をかける。
暖炉の前、ミニョンの隣に座るユジンの表情は、不思議と穏やかだった。
−今日チェリンに別れようと言いました。誰かをこれ以上愛せないと分かった時、本当にその人を想うなら、早めに話してあげた方がいいと思ったんです。もちろんその瞬間はつらいだろうけれど、その方が傷が深くはならないだろうと...。でも突然、それは彼女のためでなく自分のためはという思いが湧き上がってきました。自分のために、自分の心の荷を下ろすために...今日ユジンさんに好きだと伝えたのも、やはり自分が楽になりたかったからだと...伝えられないのはもどかしくて、言わなければ胸が苦しくなりそうで...でもその言葉がユジンさんをこんなに苦しめるとは思わなかった。サンヒョクさんの前で愛してるなんて言ってしまったこと、本当に申し訳ありません。傷つけるつもりはなかったんです。ユジンさんに抱く感情は真実ですが、これからこのことでユジンさんを苦しめることはありません。だから気を楽にしてください。できそうですか?
一言も話さずにミニョンの言葉に耳を傾けていたユジンは、答える代りに穏やかに微笑む。
サンヒョクの様子が気になるユジンは、ソウルへ行くとチョンアに伝え、職場を少しの間離れることになる。二人の話を耳にしたミニョンは、ユジンをバスターミナルまで送る間、ユジンを元気づける話をして彼女を気遣い続ける。ソウル行きのバスチケットをユジンに手渡すミニョン。
−約束してください。戻るときは、笑顔で戻るって。
ミニョンの優しさに笑顔を取り戻すユジンは、サンヒョクの待つソウルへと向かう。職場に突然姿を見せたユジンに、サンヒョクは心とはうらはらに終始冷たい態度で接する。ユジンが心から謝ってもサンヒョクの怒りは収まらず、サンヒョクの傷ついた心を癒すことができなかったユジンは気落ちしたままスキー場へ戻る。後悔したサンヒョクは酒を飲み、ユジンの携帯へ電話をするが、移動中のユジンは電話に出ることができない。
−俺だよ、ユジン。ごめん、本当にごめんな。俺が今日はどうかしてたみたいだ。実を言うと会いに来てくれてすごくうれしかった。本当に嬉しかったのに、あんな言い方して..本当に悪かった...俺ってダメだな、キム・サンヒョクは本当にダメだな...ごめんな、ユジン。
だが、メッセージを送らず、削除してしまうサンヒョクだった。
スキー場では、ミニョンがユジンの帰りを首を長くして待っていた。ユジンの姿を見かけて笑顔で声をかけるミニョンに、ユジンは無理をして微笑みを浮かべる。向き合って座る二人。
−ミニョンさんの言う通り、突然訪ねて行ったら本当に喜んでいました。
−それは良かった。
−もちろん初めは怒っていましたが、サンヒョクはもともと怒れない人なんです。サンヒョクが夕食をご馳走してくれると言ったんですが、時間が遅くなりそうなので戻ってきました。
ユジンが無理をしていることを察したミニョンの表情が曇る。
−ユジンさん、今一番したいことは何です?
−どうして?
−ただ、僕ができることをしてあげたくて。
−どうして私に優しくしてくれるの?どうしてこんなに優しくしてくれるんですか?
−以前伝えたはずですよ。ユジンさんが好きだって...。私はユジンさんをこんなに好きだけれど、ユジンさんが見ているのは私ではありません。だとすれば、ユジンさんが望むことや願うことを叶えてあげることが
、私ができる全てのことだから。
スキー場の降雪機の前にユジンを連れていくミニョン。
−ユジンさん、今泣きたいんでしょう?ここなら泣くのに一番いいですよ。誰にも聞こえないはずだから。さあ行って。行って思い切って泣くんです。ユジンさんの泣き声は全然聞こえませんから、思い切って泣いてください。
ミニョンはこう話すと少し離れた場所に行き、そっとユジンの姿を見守り続ける。ミニョンの優しさと深い愛がユジンの心を優しく包み込み、ユジンの心に閉じ込めれられていた悲しみと涙が次々とあふれ出す。
一旦ソウルに戻ったミニョンの元へ、別れが受け入れられないチェリンが訪ねて行く。ミニョンの固い決心に打ちのめされたチェリンだったが、ミニョンをあきらめることができず、ある策略を思いつきサンヒョクの母の元を訪ね、自分の恋人であるスキー場の理事とユジンの関係をサンヒョクが疑っていると話してしまう。
サンヒョクの母の誕生日の日、サンヒョクがユジンを迎えにスキー場に姿を見せる。二人は心にわだかまりを抱いたままサンヒョクの実家へ向かう。ユジンに好感が抱けずにいるサンヒョクの母は、ユジンを受け入れることができず、チェリンから聞いた話を持ち出しユジンを責め
始める。二人の話を耳にしたサンヒョクは母親に声を荒げ、驚いた母はサンヒョクの頬をぶってしまう。サンヒョクは制止するユジンの手を取り家を飛び出
すと、ユジンにミニョンにどんな気持ちを抱いているのか問いだたす。
−お前、本当にあの人を好きなのか?言ってみろ、お前嘘はつけないだろう?お前あの人が好きなのか?
やはり答えることができないユジンの表情を見て胸が苦しいサンヒョクは、ユジンを乗せて車を走らせる。家に帰らずユジンとホテルに向かったサンヒョクに、ユジンは沈んだ表情で
黙って従うしかなかった。
その頃、スキー場にいるミニョンは、ユジンがサンヒョクと一緒に過ごしていることを想うと胸が苦しくなり、キム次長の酒の誘いにものることができない。一人酔いつぶれた次長のそばで、心に抱く想いを言葉にしてしまうミニョン。
−本当に、私も全部話してしまいたい。あの人には渡したくないと、あの人と手をつないでいる姿を見たくもないと、私が本当に愛していると...全て話したいよ...。
気持ちを抑えることができず、ユジンに電話をしてしまったミニョンは、電話を受けたのがサンヒョクだったことに驚くが、ユジンさんはいませんか、と続ける。サンヒョクはミニョンからの電話に怒りと焦りを感じ、ユジンは今日は帰らないとミニョンに伝えてしまう。
サンヒョクの態度に苛立ったユジンが電話を奪い取る。
−サンヒョク!あなた一体どうしたの?
−イ・ミニョンさんに俺と一緒だと知られるのが嫌なのか?
−後で話しましょう。
部屋を出ようとするユジンを無理やり抱きしめるサンヒョクだったが、ユジンはサンヒョクを拒み、部屋を飛び出してタクシーに乗ってしまう。サンヒョクを受け入れることができないユジンは、どうしていいか分からず、知らない場所で
タクシーを降りると一人涙を流し、茫然と座り込んでしまう。そんなユジンの携帯電話にミニョンからの電話が入る。ミニョンはサンヒョクの声の様子から、ユジンを心配し、連絡せずにはいられなかったのだ。
−...ミ、ミニョンさん...
−ユジンさん、今どこです?そこはどこなんですか?
−分かりません...私にもよく分からないの...
ユジンの涙声を聞いたミニョンはすぐに車をソウルへと走らせると、ソウルの街の中、チュンサンが山で迷ったユジンを真っ先に見つけた
あの夜のように、ユジンを見つけ出すと、涙を流すユジンをしっかりと抱きしめる。