−音も合わないのにどうする?私に何をどうしろと?
−さきほどチューニングは全て済ませました...
−まさにそれだ!微妙なズレを無視してただ突っ走る自信と勇気。素晴らしいね、Good!
−どこが、どの楽器がズレていましたか?
−大丈夫だ。君らの水準なら問題はない。
−それでも一度合わせてみます。
カン・マエ、愛犬トーベンの菓子を2度割って音を立ててみせる。
−この音と...この音。区別できるか?
黙ったままのルミ。
−そうだ、ただの菓子の音だ、そう考えればいい。
−でも、団員たちが健気じゃありませんか?音楽を続けるのも難しい方々なのに..
−しなさい!誰が止めた?単に舞台ではなく家や、遊園地の野外音楽堂でやれと言うことだ。何故舞台に立とうとする?
−ええ、分かります。でも事情があってこんなチャンスを与えられたのにそれを無駄にするわけには...
−いや、無駄にしてもいい。自分の水準がどんなものか、直視し、認める勇気。ああ、私は庶民だ、クラシックなど贅沢だ、私は観客の一人でしかないと、音楽会へ行きましょう。行って、有名な人の演奏を聴こう、そうすればいい。お前たちが何故しゃしゃり出る?素晴らしい人が他にいるのに。見てみろ、夫が待っていたり、会社に行って金を稼がなければならなかったり...何故無理なことをする?クラシックは元来貴族のための音楽だ。時代が変わったからと言ってその本質は変わると?
ルミのポケットで音を立て続けていた携帯電話を取るように指示するカン・マエ。電話を受けたルミは、勧誘の電話だったことで、突然相手に怒鳴り始める。驚いた表情でルミに視線をやるカン・マエ。
−くだらないものを紹介するな!黙れこの野郎!やるかどうかは私が選ぶのよ!時代が変わってもその本質が変わると思うの?そうよ、私たちはお金も時間も能力もない可哀想な人間だわ。だから死ねとでも言うの?庶民は芸術を楽しむなと誰か法で決めたの?庶民?貴族?おい、どの時代に生きてるのか知らないが、 お前一人で朝鮮時代に生きているのか、この野郎!
ルミが早口でまくしたてる言葉が自分に向けられたものだと気づいたカン・マエは、立ち上がり、ルミに電話を切ったのは分かっていると話すが、怒りの収まらないルミはカン・マエに構わず怒鳴り続ける。
−それが何?おい、モーツァルトが平民だったのは知ってる?お前の論理で行くとモーツァルトがチーズでも売って死んでいったはずだよ。お前がその時代に指揮者だったら天才を何人も葬っていただろうよ、このサリエリ のような奴!
−.....名前が、トゥ・ルミ?...ご両親は名前を間違われたようだな。トゥ・ルミ(韓国語でタンチョウヅル)というよりタルギ(鶏)だな。闘鶏だ。...よし、いいだろう。陰でコソコソと言われるよりはマシだ。
−....はい...
ルミの前を通り過ぎるカン・マエがふと立ち止まる。
−そうだ、モーツァルトは平民だった。その通りだ。そうだ。
−はい、天才でもありましたし...
振り返るカン・マエ。
−そう、天才。だから私はモーツァルトが嫌いだ。
:::베토벤 바이러스:::
韓国MBCドラマ18部作
(韓国放送日:2008.9.10〜2008.11.12)
企画:オ・ギョンフン/演出:イ・ジェギュ/脚本:ホン・ジナ.ホン・ジャラム/主演:「白い巨塔」「不滅の李舜臣」キム・ミョンミン.「ファン・ジニ」チャン・グンソク.「太王四神記」のイ・ジア。