忠州のテハの師匠イム・ヨンホがチョルンに殺されると、その場でテハを追ってきたテギル、チョルンは激しい戦いを続ける。そんな中救いを求めるヘウォンの元へ向かい、ヨンホの家から抜け出したテハを追うテギルは、ペクホ、ユンジまでも絡んだ混乱の中、馬に乗り女性と二人で街を抜け出すテハに向けて矢を放つ。自らが放った矢が女性の肩に突き刺さり、ぐったりとした女性の横顔が見えた瞬間、テギルはその女性がオンニョンに似ていたことから、あまりの衝撃に身動きできなくなり、その直後チョルンに背中を斬られて負傷する。
ひと目につかない場所へとヘウォンを連れて行ったテハは、薬草を探し傷の手当てをするが、ヘウォンは生死の境をさまよう。
ソルファはテギル一行に何が起こっているのかも知らないまま自分が捨てられたとばかり思い、テギルらの馬を売ってしまう。
一方、オッポクは姿の見えない頭の指令を受け、たった一人で護衛武士に囲まれた両班を暗殺するために出ていくと、指示通りに両班に向けて銃弾を撃ち命中させる。
テハは、意識を取り戻したへウォンを連れ、次の目的地に向かい竹林を歩き始める。二人の後を身を潜めてつけていたペクホがテハに飛びかかった途端、テハは3人の攻撃をかわしてヘウォンを守る。怪我を負ったヘウォンがペクホの前に歩み寄りながら切々と訴える。
ヘウォン:もうやめて下さい...お兄様にお話すれば全て分かって下さるはず
ペクホ:お兄様がお嬢様を心配なさっています
ヘウォン:私たち家族同然に暮らしてきたでしょう?ここまでしなければならないの?
ペクホ:もう戻りましょう
ヘウォン:戻るつもりなら、出て行くこともありませんでした...
ペクホ:(部下に)お連れしろ
テハがヘウォンの前に立ち、刀を地面に突き立てると、落ちている竹の枝を拾いあげる。
ペクホ:自信が行き過ぎているようだな
テハ:家族同然であるなら、真剣では勝負せぬ
ヘウォンがテハを止めようとする。
テハ:大したことはありません。男たちの悪ふざけだと気を楽に見ていてください。(ペクホに)始めよう!
襲い掛かる二人の護衛武士の攻撃を竹の枝1本でかわしたテハは、ペクホと一対一の勝負を始める。ペクホの攻撃も身軽にかわしていくテハに、焦りを感じるペクホ。
テハ:“金鶏独立勢(クムゲドンリツセ)”は手が読まれやすい
再び剣を振りかざすペクホだったが、テハの足元にも及ばず、テハの一撃をかわすことすらできない。
テハ:攻撃に移るときは、右側に注意を払え
最後まで全く歯が立たないペクホの喉元に、テハの持つ竹の枝が突きつけられる。
テハ:“猛虎隠林勢(メンホウムニムセ)”は、視野を遮られやすいぞ
ペクホ:いっそのこと殺すがいい...冷やかすな!
テハ:冷やかしだと受け止めるのではなく、教えだと受け止めればいい。剣術は、書物の中にだけあるのではないからな
観念したペクホが剣を下ろす。
テハ:追い続けるつもりか?
ペクホ:命令を受けた以上、止めることはない
テハ:仕方が無いな...ならば追い続けろ。しかし、一度勝負した義理で、追い始めるのは夜が明けてからにしてくれないか?(ヘウォンを見つめて)今夜だけでも、静かに行きたいのだが...
ペクホ:そうか、分かった。刀を交したのも縁だと言うが、名を明かしてはくれないか。私は松都(ソンド)のペクホだ
テハ:私は、漢陽(ハニャン)に住んでいたソン・テハだ
ペクホの表情が変わる。
ペクホ:ソン・テハというと、もしや...訓練院の判官でいらっしゃった...そうとは知らず、失礼いたしました...
ペクホらがテハに一礼する姿に驚くヘウォン。
テハ:剣術を学んだのか?
ペクホ:はい、皆4,5年以上剣術を学んでいる者です
テハ:その程度の実力であれば武科に及第するのに十分であろうに、なぜ個人の私兵で満足しておる?
ペクホ:申し訳ありませんが、いまだにこの国の君主を主人として仕える理由を見つけられずにいます。清い武官ほど、つねに汚れた政の犠牲になるではありませんか?全ては君主が正しい道へ導くことができないためでしょう
テハ:汚れた政を避けていれば、一生その汚れを正す機会はないだろう。汚れた中で揉まれてこそ、誤りを正しいほうへ導くことができるのではないか?次に機会があれば、正式に勝負をしよう
ペクホ:必ずその機会をつくってみせます。(ヘウォンを見て)お嬢様...お兄様に今日のことは、どのようにお伝えするべきですか?
ヘウォン:私は...この方と婚礼を挙げた間柄です
胸の奥でヘウォンを慕っていたペクホは、ヘウォンの言葉に言葉を失ってしまい、テハもまた戸惑いの表情を浮かべる。