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韓国ドラマ 魔王

あらすじ 第
14話


今までの 全ての規則を捨てよ

지금까지의 모든 규칙을 버려라
チグムッカジエ モドゥン キュチグル ボリョラ
 

 



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【ヘインの家の前】

スンハの涙の訳も聞くことができないヘインは、家にスンハの上着を取りに行き、スンハへ手渡す。

−贈り物、ありがとうございました。

−僕のほうこそ、ありがとう。

スンハの寂しそうな後姿を見送ったヘインは、家に入る瞬間、ある日の記憶が突然蘇る。かつてヘインが暮らした街のレコード店前、雨の中、傘を持たずに雨宿りしていたヘインにそっと傘を差し出す青年がいた。

−ありがとうございます!

−僕こそ、ありがとう。

あの青年こそオ・スンハだったのでは、との想いがヘインの心にふと浮かんでくる。

オス 警察署内】

オスはソン・ジュンピョ記者の事故の重要参考人であるファン・デピルが、かつてソン記者の書いた記事によって社会的に陥れられた経験があることを掴み、この事故は偶然ではなく故意であると確信する。また、ソン記者の所持品の中から、オ・スンハ弁護士の姉であるオ・スンヒの住所が書かれたメモが見つかる。
 

【スンハ 回想】

兄と母を失い一人きりになったテソン。母を見送り、虚ろな表情で誰もいなくなった家に戻ると、兄テフンの同級生であるヨンチョルの姿を見つける。

−ここに何しに来た?母さんを、兄さんのところまで送ってきたところだ。...母さんは、ヨンチョル兄さんを信じていた。少なくともカン・オスがヨンチョル兄さんをいじめたことを話してくれると...そうだったら僕の兄さんがカン・オスを先にナイフで脅したなんて疑われることもなかったんだ!

−ご...ごめん...。

−兄さんは、家でヨンチョル兄さんの話をたくさんしていたよ。本当に、優しくていい友達だって。それでヨンチョル兄さんがいじめらるのが胸が痛いと。だから母さんも僕も、ヨンチョル兄さんを信じてたんだ!でも、もう誰も信じない...。世間が僕たちを捨てたけど、今度は僕が世間を捨ててやる...。二度と来るな!ここに来る資格はない!

−...お、俺が見たんだ!オ、オスがテフンを刺すのを...こ、この目で見た!

−なぜ黙っていたんだ!今になってどうして!これからでも警察へ行ってくれ。

−できない。父と母が悪者になるんだよ...。

涙を浮かべ、ヨンチョルは事情を告げないままテソンの前から走り去る。
 

【オスからの呼び出しで外に出るスンハ】

ソン記者の所持品からスンハの姉の住所が書かれたメモが出てきたことで、スンハに直接事情を聞くためオスが訪ねてくる。何か心当たりはないですか、というオスに、ありません、と答えるスンハ。

−お姉さんがソン記者と親しい友人だったんですか?

−いえ、面識もない人です。

−どうしてそう言い切れるんですか?

−私の姉のことは、私が良く知っているからです。

−だからと言って、全て分かるわけではないでしょう。仲良い家族であっても分からない部分はたくさんありますし。

−カン刑事さんのご家族はそうかもしれませんが、私の家族はそんな事はありません。

−まぁ、全ての家族が同じではありませんね...。一旦、お姉さんに直接お会いして事情を伺うことになりますが、かまいませんか?

−捜査の助けになるのなら、そうしなければいけませんね。しかし姉は長い間闘病生活をしていて、姉にとってストレスが一番の毒になります。

−お話は良く分かりました。その点は格別に配慮します。

−...事務長が言うには、背後にいる人物をソン記者がご存知だったとか...事実ですか?

−ええ。それで命を狙われたと考えています。

−その理由のためだけではないと言えませんか?

−どういうことです?

−いつだったか、ヘインさんが言っていたように、犯人の目的がカン刑事さんに正体を突き止めさせることならば、自分の正体が明かされるのを恐れはしないということです。

−では、他の動機でソン記者は命を狙われたと?

−そうとは言えませんが、その可能性もある、ということです。

−犯人の動機が何であれ、人を意図的に殺そうとした点については代わりはありません。

このオスの一言に、スンハの目が鋭く光る。

−12年前の事故は、偶発的に起こったことですか?

−どういう意図でお話されているんです?

−気を悪くされるかもしれませんが、正直納得がいかないというのが事実です。誰かがこれほど深い恨みを抱くからには、あの事件には何か不明瞭な点があるのではないかと考えています。

−どうお考えになろうと、オ弁護士の自由です。俺がテフンを死なせてしまったのは事実ですから。

−故意であったと、認めるんですか?

−あなたに答える理由はありません。それは、テフンと俺だけが知る真実ですから。

−出すぎた質問をして失礼しました。これも職業病ですね。

−...また連絡します...。

オスの心に、過去の過ちが、さらに重く、暗くのしかかる。


【ヘイン、スンハの事務所前】

ヘインは、スンハの様子を心配し、ヘインの母が作った料理を片手にスンハの事務所を訪ねていく。胃の調子が悪かったようだと前の日のことを詫びるスンハに、ヘインは笑顔で今日は大丈夫なんですね、良かったと安心した表情を浮かべる。ヘインは、スンハを記憶の中にいる少年だと確信し、過去に南加佐洞に住んだことはないかと尋ねる。

−弁護士さんを初めて見たとき、どこかで会ったような気がしたんですが、どこで会ったのか分かったんです。

−...どこで...会ったんです?

表情を曇らせうつむくスンハの前で、ヘインが続ける。

−レコード店(音楽店)の前です。雨が降る日、私に傘をくれたお兄さんがいたんですが、もしかして弁護士さんじゃなかったですか?覚えていません?

−いいえ。僕はそのあたりに住んだことはありません。

−ああ、そうですか...私が勘違いしたんですね。

できるだけ平静を装い、ヘインと別れたスンハは、気になっていた姉スンヒの病院に連絡をすると、姉の具合が良くないことを知らされる。

【カン・ドンヒョン周辺】

カン・ドンヒョンは、ソン記者の事故について釈然とせず、様々な方法で調べ始め、気がかりだった一人の青年、チョン・テソンの事故死が事実なのかとソクジンに尋ねるが、ソクジンの答えは同じだった。一方、ホテルの経営者であるヒスは、父とソクジンが水面下で動くるのが気に入らず、ソクジンに今後は父との事を隠さないようにと忠告する。

【警察署 ファン・デピル事情聴衆】

今までソン記者を知らないと言っていたファン・デピルに、オスらは過去のソン記者が書いた記事の話を持ち出し、簡単に忘れられる名前ではないはずだと問いかける。それまでじっと黙っていたファン・デピルは、忘れられるはずがない...と口を開くが、同一人物だとは思わなかったと故意である事は否定する。背後にいる人物は誰なのかと問い詰めるオスに、知らないと貫き通すファン・デピルは、これは人権侵害であるといい、オスらと真っ向から対立する。


【クァンドゥ、事実を知る老人の元へ】

チョン・テソンが死亡した事故現場前の店の老人に話を聞こうと、老人を訪ねたクァンドゥは、老人の入院先の病院で、今話ができる状態ではないと医師に聞かされる。医師の話から、老人の家族ではない青年が前日に尋ねてきたこと、そして彼が老人の入院費を全て支払って言ったことを知り、疑問を抱く。


【レストラン ヒスとナヒ】

食事をしたら病院へ行こうというヒスに、忙しいでしょうからいつもの通りソクジンに送ってもらう、とヒスの申し出を断るナヒ。寂しそうな表情を浮かべるヒスの前に、示し合わせたようにスンギが現れる。初対面の振りをしてナヒに挨拶するスンギだったが、ナヒは顔色を変えて席を立ってしまう。スンギの執拗な脅しにも、冷淡な態度を変えずに毅然とした態度で援助を断るヒスだった。

【オス、療養所のスンヒの元へ】

−お聞きしたいことがあって来ました。

−お話ください。

−もしかしてソン・ジュンピョ記者をご存知でいらっしゃいますか?

−初めて聞く名前です。

−そうですか、最近、差出人名のない荷物を受け取られましたね?

−姉さん!

オスとスンヒの前に、スンヒの容態を心配したスンハが現れる。スンハの前でスンヒに事情を聞き続けるオスの横顔を、スンハは不安な表情でじっと見つめていた。緊張に包まれるスンハをよそに、USBメモリーを受け取ったことを何のためらいもなく堂々と答えるスンヒは、オスの申し出を受け、病室に戻りオスにUSBメモリーを手渡す。病室のパソコンを使い、すぐにメモリー内を確認するオスを固い表情で見守るスンハだったが、メモリー内は音楽が入っているだけだった。

理解できないオスはスンハを外に呼び出し、納得できないと話す。目が見えないために他のものと勘違いしているのではとスンハに協力を求めるが、他にはUSBメモリーなどないとオスの推測を否定する。

【スンハと姉スンヒ、病室】

−ソン・ジュンピョという人、あなたも知っている人なの?

−少し...

−その人今どこにいるの?

−どうして?

−刑事さんが探しているのは、ソン・ジュンピョという人に会えない様子だから。

−そうだね...もう行かなくちゃ。少しでも具合が悪かったら、いつでも電話して。

−私のことは心配しないで。私なら、大丈夫だから。

行くよ、とスンヒに背を向けて病室を出ようとするスンハだったが、姉に「テソン」と呼びかけられ、凍りついたような表情で姉の方に振り返る。

−あなたの名前、テソンでしょう?
...父母の愛が何も知らず育った私のスンハ...病気の私のために中学校も途中で辞めたわ。お金をためて私の病気を治すと家を出たの。それが、あんな可哀想なことに...。いつか電話をくれて言ったの。いい友達と一緒にいるから何も心配するなって、その友達の名前はテソンで、とっても頭が良くて、 しっかりしているんだって。そうして3年が経って、あなたが私を訪ねてきたとき、なんとなくスンハの声じゃないって思ったわ。それでも私は信じたかった。あなたがスンハだって....。

−それなのに、なぜ何も言わなかったの?

−目が見えないかわりに 、人の心が見えるみたい。あなたは、可哀想で、優しい子だったわ。私を訪ねるたびに申し訳なさと罪悪感を抱くあなたの心を、私は痛々しく感じていた。スンハ...最後はどうだったの?それほど苦しまなかったわよね?

−スンハが....最後に僕に遺した言葉がある...。姉さんを....よろしくと...くれぐれも頼むと。

−馬鹿みたいに最後まで私を心配したのね...。

−すまない...ごめん...姉さん...。

スンヒを見つめながら罪悪感に苦しむテソンの瞳から涙が次々と 溢れ出し、彼の痛みを感じるスンヒもまた涙が止まらない。スンヒは毅然とした表情で涙をふくと、ポケットからUSBメモリーを 取り出し、テソンへと手渡す。

−宅配で来たものよ。何故これが私に届いて、何故警察が調べているのかは聞かないから。あなたが何故スンハとして生きなければならないのかも聞かない。スンハがあなたを信じたように、私もあなたを信じたい。あなたは本当にいい子で、私の可愛い弟だもの。

テソンの悲しみを包むように微笑むスンヒだったが、テソンはそんなスンヒの優しさにますます胸が痛む。


【オス、警察署〜ヘインの図書館】

事故現場で目撃された男の一人が警察署に連行され るが、オスらは確かな証言を何一つ得ることができない。オスはソン記者と父のカン・ドンヒョン二人を狙った犯行であると推測し、ファン・デピル宅の家宅捜索を願い出るが、チーム長はオスの推測は仮説に過ぎないと、家宅捜索を許可しない。ヘインを訪ねたオスは、スンヒに渡された音楽ソフトが入ったUSBメモリーを渡し、協力を依頼する。ヘインは受け取ったUSBメモリーに注意深く触れると、老人の声で、何度も“テソン”という名前が聞こえてくるのをはっきりと感じ取る。


【オス、ファン・デピルの自宅前】

ファン・デピルの自宅前で張り込むオスは、ヘインからの連絡を受け、チョン・テフンの弟、チョン・テソンのことが頭から離れなくなる。ソン記者が言っていたことを思い出し、必死でつながりを探すオスは、クァンドゥに連絡を取り、テソンの死因を尋ねるが、はっきりとしたことは思い浮かばず苦悩し続ける。

−チョン・テソンはすでに死んだ人間だ...。

オスの前にファン・デピルが姿を現すと、オスは手がかりを掴みたい気持ちを抑えきれずにファン・デピルが後にした彼の自宅へと忍び込んでしまう。そこでオスが見たものは、ソン記者が書いた記事が掲載された雑誌のコピーと、ある人物から届いた手紙だった。