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韓国ドラマ 魔王

あらすじ 第
16話


不信と裏切りが 友人たちを地獄の門へと導く

불신과 배신이 친구들을 지옥문으로 인도 한다
グァ ペーシニ チグドゥルル ジオムヌロ イドハ
 

 



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今までのすべての要素が、とうとうひとつの答えへと繋がったオス。オスの脳裏には、今までのオ・スンハとのやりとりが鮮明に蘇ってくる。 

【オス、オ・スンヒの元へ】

オスはこの事件の鍵を握っているはずのスンハの姉、オ・スンヒのいる療養所へと再び訪ねて行く。

−私に下さったUSBメモリーは、オ・スンヒさんが宅配で受け取ったものではないことを確認しました。

−それは、どういうことですか?

−オ・スンヒさんが宅配を受け取った次の日、看護師にUSBメモリーの購入を頼みましたね?...そして看護師にメモリーを受け取った後、音楽をコピーして僕に下さった。

−私は視覚障害者です。音楽をコピーするなんて、不可能です。

−不可能ということはないでしょう。何が何でも方法を探せばできるはずです。そして私に下さったあのUSBメモリーは、看護師が買ったものと同一製品だと確認済みです。

−同じメモリーなんてどこにでもあるでしょう。それに私が何のためにメモリーを取り替えて刑事さんに嘘をつかなければならないのですか?

−メモリーに入っていた内容を隠したかったからです。誰かを、守るために。

−誰のことを言っていらっしゃるんですか?

−オ・スンハ弁護士のことを言っています。

−一体何をおっしゃっているのか、理解できません。

−僕のほうこそ、理解できませんよ。メモリーの内容が僕の予想通りなら、オ・スンヒさんがそれを何故守ろうとするのかも、分かりません。

−あの子は、誰かの保護など必要としていません。警察がどんな理由で弟を調べているのか分かりませんが、あの子は誰よりも優しくて、刑事さんが想像もつかない苦しみを乗り越えてきた子なんです。私は信じます。私の弟は、絶対に他人を傷つけるようなことはありません。

−愛が度を超えると、余計に愛する人を傷つけることもあります。弟さんを大切に想うなら、真実を明かすべきです。

−私はこれ以上申し上げることはありません。もうお引取りください...。 

−いつでも気が変わったら連絡ください。看護師さんへ連絡先は預けます。

オスが病室を後にすると、スンヒは緊張の糸が切れたようにベッドに座りこみ、スンハの身を案じ、涙を浮かべる。

 

【警察署 強力班】

警察署に戻ったオスは、班長に、この事件を背後で操る人物は、チョン・テソンであることを説明し始める。

−交通事故で亡くなったのはチョン・テソンではありません。チョン・テソンは生きています。死んだ少年がチョン・テソンだと断定されたのは、チョン・テソン学生証を持っていたためでした。顔は判別不可能でした。そして交通事故の2年後、テソンを目撃した人物もいます。

−それだけで生きていると断定するのは難しいぞ。

オスは、チョン・テソンの母校を訪れた際、写真が一枚も残っていなかったことと学籍簿の隣の写真までなくなっていたことを指摘する。万が一、チョン・テソンがこの事件の背後にいる人物だとしても、彼が誰なのかをどこから捜すのかというミンジェの言葉に、オスは確信を持ったような表情で、この問題は自分に任せて欲しいと話し、自分の置かれた状況を考慮して水面下で動くとチーム長に約束する。

不安な表情でオスを見つめる三人の前に、さらに心を重くするかのように新たな宅配が届く。今までのやり方通り、差出人不明の宅配物の中には赤い封筒が入れられていた。オスは、慎重に封筒を開くと、二枚のタロットカードが入れられていた。もう一方には、地獄の門の一部を写した写真、そして手紙が入れられていた。

−不信と裏切りが友達を地獄の門へと導く」

同じ頃、ソクジンとスンギ、それぞれの元にも差出人不明の宅配物が届く。震える手で赤い封筒に手を伸ばすソクジンは、タロットカードが入っているのに気がつき、恐怖に包まれる。ソクジンのマンションにいるスンギは一人慌てて封筒の中を見ると、そこにも同じようにタロットカードが入れられていた。二人に届いたカードはそれぞれ一枚だったが、それはオスに送られてきた二枚と一致するカードだった。

オスの携帯に、早速ソクジンからの電話が入り、ソクジンにもタロットカード一枚が届いたことを知ったオスは、急いでソクジンの元に向かおうとする。そこへスンギからも同様の連絡が入り、かなり怯えた様子のスンギに、オスは、今向かうから会って話そうと電話を切るとすぐに二人の待つマンションへと向かう。
 

【カン議員、ヒスと打ち合わせ】

カン・ドンヒョンは、ヒスにオ・スンハを顧問弁護士にすることを伝えるが、ヒスはかつての顧問弁護士殺人事件で容疑者の弁護人を引き受けたことでスンハに警戒心を抱いているため、すぐには賛成できずに表情を硬くする。ヒスは、父の“敵に回すより私側の人間にしたほうがいいということだ”という言葉に、それ以上反論することもできない。


【オス、ソクジン、スンギ、ソクジンのマンションで】

スンギ:これで俺じゃないって分かったろ?だから友達を信じなきゃ。友達を容疑者にするなんて、それでも友達か?

ソクジン:今はそんな話をしてる場合か?(オスに)これからどうすればいい?

オス:今までの一連の事件は恨みを抱く人間の犯行だ。

ソクジン:恨みを抱く?

オス:そうだ、良く考えてくれ。もしかして恨みを抱える人物が周囲にいないかどうか。

スンギ:そうだな誰がいる?

皮肉を込めた表現でソクジンに問いかけるスンギに、ソクジンはそんな人物はいないとすぐに否定する。二人の様子に何か感じ取ったオスは、隠し事は無いかとといかけるが、二人はそんなことはないと事実を隠し通す。 

オス:明確なのは、俺たちがお互い信じあって守りあわなければということだ。それが犯人が俺に残したメッセージだった。

ソクジン:犯人の残したメッセージ?

スンギ:メッセージがナンだろうと、ヨンチョルでも誰でも捕まえて吐かせればいいだろう!

オス:証拠がない。今夜からマンションの前で、警察が張り込みする。事件は夜だけに起きている。それからしばらくの間帰宅時間を合わせて万が一遅くなるときは俺に電話して知らせてくれ。

ソクジン:いつまでこんなふうにしなきゃならないんだ?

オス:他の方法がない。それと、もう一度伝えておくが、俺たちがお互いに支えあわなければならないことを忘れるな。


【スンハ キョン社長との待ち合わせ】

約束場所でキョン社長を待つスンハは、少し前、何者かに弁護士事務所が荒らされた事件がキョン社長の仕業だと気づいていたため、キョン社長の顔を見ると、ノートパソコンは役に立ったのかと冷淡に問いかける。昔のスンハを知るキョン社長は、ソン記者の尾行を依頼したのはカン議員を陥れるためなのかとぶしつけにスンハに尋ねる。何の話か分からない、と淡々と答えるスンハに対し、キョン社長は、隠したい秘密が何かを知る自分に対価を支払わってもらうと脅迫めいた話題を持ち出す。ところがスンハは全く動揺せず、キョン社長が関わった1年前のナイトクラブの事件の話題を持ち出すと、キョン社長が組長殺害を指示した証拠テープを持っていると言い逆にキョン社長を脅す。そして、万が一自分の身に何か起こればそのテープを警察に渡すと続ける。言葉を失うキョン社長を前に、スンハはさらに用意周到さを見せつけ、警告する。

−今後は金ではなく俺の指示で動いてもらいます。依頼とでもいいますか?近いうちにあなたに大金をもたらす人物が現れるでしょう。昔のよしみで忠告します。今後、連絡すべきことは私がします。


【図書館にヘインを訪ねるスンハ】

スンハが以前真剣に読んでいた「平気で嘘をつく人々」を手に取ったヘインは、その本に残された残像がふと脳裏をよぎり、驚いた表情で立ち尽くす。道路の真ん中に立つ女性と、その女性めかげて走ってくるトラック、そして彼女に「母さん!」と叫ぶ少年の声。呆然とするヘインに、スンハが声をかけると、ヘインは驚いて本を落としてしまう。

−いつからそこに? 

−何を見てそんなに驚いているんです?

−別に、何も

ソラの農場でもらったジャムをスンハの車に忘れたことを思い出したヘインは、その話を切り出すと、スンハは忘れたジャムを届けに、近所に来たついでに思い出して図書館に寄ったと話す。ソラのことを話しながら、図書館前の坂道を並んで歩いている二人を遠くからカン・オスが見つめていた。互いに好意を抱いているであろう二人の前へ、オスはスンハへの感情をできるだけ抑えて歩み寄る。オスに気づいたスンハの表情がふと変わり、スンハから何気なくオスに声をかける。

−お元気でしたか?

−おかげさまで。

−いずれにせよ、電話をしようと思っていたところでした。

−オ・スンヒさんから連絡がありましたか?

−ええ。気になることがあるならば、初めに私を訪ねるのが順序でしょう。

−オ・スンハ弁護士ではなく、オ・スンヒさんにお聞きしたいことがあったんです。

−私の話を忘れてしまったようですね。姉にはストレスが一番危険だと。そしてまだ気になることが残っているのなら、いつでもたずねていらしてください。

−ご連絡します。

−お待ちしています。

ヘインに軽く挨拶をして先にその場を後にしたスンハだったが、ヘインはオスとスンハの間に流れる緊張した雰囲気から、二人の様子が心配になり表情を曇らせる。

【ヒス、ソクジンと事務所で】

ヒスはソクジンにチェジュド行きの準備をさせながら、着々とある計画を進めるために水面下で動いていた。ソクジンにスンギの件でもう一度念を押し、カン議員の留守中に何とかするようにと催促する。ソクジンはヒスの話を受け入れながら、方法を慎重にしないと、と言葉を濁す。そこへスンギから、ヒスの携帯電話に電話が入る。スンギからヒスへの電話が、ソクジンに拍車をかけることになり、ソクジンはついにキョン社長へ個人的に依頼するため、連絡を取ってしまう。

【ヘインとオス】

送られてきた写真をヘインに見せたオスは、その写真が地獄の一部、「三つの影」という彫刻だとヘインに聞かされる。

〜ヘインによる「三つの影」およびタロットカードの説明〜

三つの影:ダンテを城跡に追い込む三匹の動物の形象化であり、“享楽・傲慢・貪欲”の象徴。自らの誤った行動や判断が、今の状況を招き、結局死を迎えることを暗示する。

ソードの8:ジレンマ、仲間割れを示す。目隠しされている女性を8つの両刃の剣がいっせいに狙っている。関係のある全ての人物と争う姿勢。互いが互いを騙し、そして最終的にはお互いに剣を向け合うことになる。カードの背景の赤い血の色とカードの女性が着ている喪服は死を意味する。

ソードの2:追い詰められた状態。カードに立つ女性は目隠しをされ剣を持つ。両手に持った剣を振り下ろすべきかどうか決心すらつかない。目隠しをされているために剣が誰を傷つけるのかが分からないため。カードにある夜空の星は、希望を表すが、目隠しのせいで本人には見えない。

 【教会 スンハを待つオス】

−お待たせしました。

−ソン・ジュンピョ記者が死亡しました。

−お気の毒です。その話をするために私を呼び出したのですか?

−いつだったかヘインさんが言ってました。どんな暗いトンネルの中だろうと、自分を信じて入ってみろと。自分を守れたら、必ず自分を救う光を見つけられると

−その話を私にする理由は何ですか?

−俺はトンネルの中で暗闇の中に立つあなたを見ました。

このオスの言葉にふと微笑むスンハは、そうですか、といつもの口調で答える。

−あなただという証拠はありませんが、俺にはわかります。あなたはチョン・テソンだということ、この事件を背後であやつる人物だということを。

−ずいぶん安易な発想ですね。

−暗闇の中では、あなたがよく見えます。

−私がチョン・テソンで、事件を背後で操る人物だと確信するなら、こんなに急いで私に伝えてしまってはよくないのではありませんか?相手に自分の持つカードを見せてあげることになるのだから。

−関係ありません。俺は必ず正当な方法であなたの正体を明かし、あなたを捕まえる。その話をしようと、会いにきました。

−弁護士として一つ助言してさしあげますと、正当な方法でこの事件を解決することはできません。唯一な証拠は犯人の自白だけですから。 

−証拠のない犯罪など、成立しません。

−証拠があっても、カン刑事さんは罪に問われなかった。個人的好奇心から、12年前の事件を調べました。犯罪行為は覆い隠され、反対に被害者が加害者として責められた。この事件の背後にいる犯人はそのすべてを知っています。その人物に、カン刑事さんが主張する正当性が通用するとお思いですか?

−俺が卑怯な悪党だったことは俺も分かってます,,,。しかし俺への恨みを晴らすために人の命を危険にさらすのは我慢ならない。

−それはカン刑事さん自身に問いかけてみては?それと、私にこの話をするときは、今後は証拠を持って来てください。私がチョン・テソンで、背後の人物だという確かな証拠を。

−自分が神だと錯覚するな。全てがあなたの思い通りにはならない。

怒りを抑えながら教会を出ようとスンハの横を通り過ぎるオスに、スンハが続ける。

−心配ですね。カン刑事のような感情的な人が、背後にいる指導者とのゲームに勝てるかどうか。

−人の命でゲームだと考えるような奴は...すでに自分に負けています。他人を利用して人の命を奪いながら復讐する自分が正しいと妄信する奴に、すでに審判などする資格はありません。

−そう言う資格は、カン刑事さんにはないでしょう?自分は殺人の罪をたやすく逃れておきながら、他人に正当性を要求するなど、話にもならない。

自分の見たものだけが正しいと信じ、他人に審判を下そうとする“オ・スンハ”を装ったチョン・テソンに怒りがこみ上げるが、オスは拳を握り締めながらぐっと怒りを抑え込む。

−証拠が見つかるまで私の考えは控えます。あなたを信頼し、大切に思っている人の気持ちを考えて、あなたの言葉通り俺の考えが錯覚であると祈ります。

【ヘインをたずねるオス】

オスに預かったタロットカードから、12年前にレコード店前で会った少年の残像を見たヘインは、胸騒ぎがしていた。オスに正直に事情を話したヘインは、オスからその少年がチョン・テソンかもしれないと話し、事故で亡くなったのではなく、今も生きている可能性があることを伝える。

【ソクジンとスンギ】

ソクジンは出勤前にスンギに予定をたずね、家にいることを確認し、ある思惑を胸に抱きながら出勤していく。ヒスに会ってソクジンとナヒのことを話すつもりのスンギもまた、ソクジンの後姿を憎々しい思いで見送る。そんな中、スンギを心配したオスが、ソクジンのマンションを訪ねてくる。何気ない会話を交わし、スンギの無事に安心したオスが部屋を出ようとすると、スンギがオスに声をかける。

−オス!ちゃんと寝てるのか?ひどい顔だぞ。

−俺を心配してるのか?

−あきれてるんだよ。俺がお前だったらもっと気楽に生きるぞ。何のために苦労を背負うんだ?おい、ちゃんと飯食えよ!

スンギの言葉に久しぶりにふと笑顔がこぼれるオスはソクジンの部屋を後にする。この後、スンギのいるマンションに何者かが忍び込み、スンギは連れ去られてしまう。

【スンギ 暗い倉庫で】

キョン社長の部下らに暴行を受けるスンギを、ソクジンは直視することができずにいた。助けを求めるスンギの声が悲痛に響き渡ると、ソクジンは耐えられなくなり思わず“やめてくれ!全員外に出てくれ!”と叫ぶ。キョン社長に、このままでは面倒なことになると警告されたソクジンだが、指示を出すのは自分だからと彼らを制止する。大怪我を負い、朦朧と横たわるスンギに、ソクジンが歩みよる。

−ここまでしたくなかった。お前が俺を理解してくれれば、こんなことはなかったんだ。

−悪かった...二度としない....。

−これを誰が指示したと思う?ヒス兄貴だスキャンダルを恐れて取引に応じると思っただろうが間違いだ。結局、俺たちは二人とも自滅することになるんだ。俺たち二人が助かるには、お前が賢明に考えなきゃならないんだ。

怯え続けるスンギに、ソクジンはポケットから用意しておいた現金と香港への航空券を手渡す。

−落ち着いたら病院で治療を受けてからしばらく香港にいろ。ヒス兄さんとオスは俺に任せてくれ。

意識の薄れるスンギを現場に残し、ソクジンはその場を後にする。マンションに戻ったソクジンは、家に戻ったとオスに連絡をする。スンギはいるのか、と問いかけるオスに、ソクジンはああ、疲れているから休みたい、と返事を濁して電話を切る。そんなソクジンの元に、慌てた様子のナヒから電話が入り、ソクジンはナヒに会うためにオスには連絡を入れずに、すぐに外出する。

【スンギ 倉庫で】

倒れたままのスンギの目の前に、チェジュドへ出張に出たはずのヒスが姿を現す。

−ひどい顔だな

スンギの顔から流れる血をハンカチで拭くヒス。

−俺はお兄さんのために事実を伝えようとソクジンは兄さんを裏切ったんです!

−分かってる。それで俺に会おうとしたことも。ありがたく思ってるよ。

ヒスはたばこを取り出し、スンギに一本渡す。

−それで、よく考えた。どうすればいいのかと。本当に悩んだよ。それで結論が出た。

 ライターでスンギの口元にあるたばこに火をつけるヒスは、スンギが絶命するのを見届けると姿を消す。

命を落とした痛々しい姿のスンギに向かって、一人の男が悠々と歩み寄る。

−友達は僕の期待を裏切らないな