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韓国ドラマ 魔王

あらすじ 第
17話


 赦すという言葉は 加害者の言葉ではない

용서란 말은 가해자가 하는 게 아닙니다
ヨンソラン マールン カヘージャガ ハヌン ゲ アニムニダ
 

 



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ソクジンのマンションの前に着いたオスの携帯電話に、スンギからのメールが一通届く。送られてきたのはスンギの凄惨な姿だった。冷静さを失い、ソクジンの部屋へと向かうオスは、ソクジンの部屋の前に立つヨンチョルへ掴みかかる。

−何をした!何をしたんだ!

−な、なにするんだよ...。

−スンギ!スンギ!ソクジン!開けてくれ!

震える手で部屋の暗証番号を入れ、部屋に入ったオスはそこに誰もいないことに愕然とし、再びヨンチョルへスンギはどこだと怒鳴り声を上げる。顔色を失うオスの姿を見ながら、ヨンチョルは意味ありげな笑みを浮かべるとエレベーターに乗り込みその場を去る。

携帯電話の発信情報から、スンギの事件現場を割り出し車を猛スピードで走らせたオスは、現場に到着し、痛々しい姿で横たわるすでに息の無いスンギの亡骸を抱いて嗚咽する。オスは悲しみと怒りで震えながら立ち上がると、ミンジェの制止を振り払いパトカーに乗り込む。

オスが向かったのはスンハのマンションだった。スンハはいつものような無表情な顔でオスを迎える。怒りに満ちたオスは、スンハの顔を見るとすぐに拳でスンハの頬を殴りつけると、胸倉を掴む。

−どこまでやる気だ?どこまでやれば満足だ?どれほどの人が死ねば満足するんだ、この野郎!言え...ソクジンはどこにいる?ソクジンに何をした?早く言え!

オスが火のように怒る様子にも動じないよう振る舞いながら、淡々と答えるスンハ。

−カン刑事さんのお友達に、何か起こったのですか?

−お前はスンギの傍にいた...俺にスンギの写真を送ったのもお前だ...

−それは何の話です?

−言え、お前がスンギを殺したと、テシクもクォン弁護士もソン・ジュンピョも全てお前が殺したと言え早く!

−私がチョン・テソンで、この事件の背後にいる人物です...この言葉が聞きたいのですか?

−そうだ、俺の前で言え、早く。

−殺人者は僕ではなく、カン刑事です。考えて見ましたか?友達を失った悲しみがこんなに大きいのに、家族を無残に殺された悲しみがどんなに深いのかを...一度でも考えてみたことは?

二人はじっと目をそらさぬまま、それぞれの怒りに震えながら互いを睨みあう。

−17歳...自分の夢を描くこともできなかった可哀想なチョン・テフン...そして彼の家族の人生までも、あなたが一瞬で奪ったんです。

オスはスンハを掴んでいた手を離す。

−以前にも言いましたが、私を訪ねるときは、私がチョン・テソンであなたの探す真犯人だという証拠を持ってきてください。ずいぶんとお辛そうですね...いくらなんでも少し休まれたほうがいいですよ。

オスに背を向けるスンハ。

テフンを死なせたのは俺だ!俺がなんでもあんたの望みどうりにしてやる。全てあんたの望むとおりにするから!ここで死ねというのなら、そうする...だから頼む、ソクジンは放っておいてくれ、頼む。

冷たい表情でオスの方に振り向くスンハ。

心配ですね...そんな弱気では犯人を捕まえるのは難しそうだ...

事故だったんだ...テフンを殺そうとしたんじゃない...。俺は悪党だけど、わざとそうしたんじゃない。本当に故意じゃないんだ。

カン刑事の弁明を聞く理由は私にはありません。そして事故だろうが故意だろうが、あなたは真実を明かすため何もしなかった。

−許すのが難しいのは分かってる。俺は卑怯だった...それでも生きたかった...俺が悪党だと分かっていても、再びやり直したかった...目を開けても、目を閉じても、息をするたびテフンを思い出した...生きていることが本当に地獄のようだった!それでも、それでも生きてみたかった。生きて許しを請い続ければそうやって生きれば...テフンがいつか俺を赦してくれるかもしれないと、そんなこともあるかもしれないと、信じたかった。

−赦すというのは加害者の言葉ではありません。

−赦してくれというんじゃない。俺にそんな資格がないことは分かってるから。ただ、これ以上他の人を犠牲にするのはやめにしてくれ。お願いだ。

−そんなお願いは他の人にしてくださいよ。運命は各自の選択ですから...。

−申し訳ありません。心の中で、千回、万回、叫んだ言葉です。今更ですが...申し訳ありません。でも、あなたは 、この俺の手で捕まえます。

警察署では、チーム長やミンジェらが行方のつかめないオスを探していた。ミンジェからの連絡で事情を知ったヘインは、次の事件が起こってしまったことに衝撃を受ける。その頃オスは、暗いトンネルの中、自分のために命を奪われた人々の顔を思い出し、胸が引き裂かれるような悲しみに包まれていた。

青白い顔で警察署に戻ったオスは、スンギが殺害された時刻前後のソクジンとの電話のやりとりを思い出し、不吉な予感に表情を曇らせる。

一方、チェジュドの出張から戻ったように装うヒスは、スンギの事件が明らかになったことで父親に追求されるが、スンギの死には自分は関わっていないと断言する。この場にカン議員の依頼を承諾し、ホテルの顧問弁護士になることになったスンハが現れる。

その頃、参考人として警察署現れたソクジンの事情聴衆が行われていた。オスはガラス越しにソクジンの様子を見ながら、明らかにソクジンが虚偽の証言をしていることにますます不安が募る。オスはソクジンと外に出ると、スンギとの間に何か秘密があったのでは、ともう一度ソクジンに尋ねるが、ソクジンの答えは同じだった。スンギの死亡推定時刻に いた場所を尋ねるオスに、一人でドライブしていただけだと伏目がちに答えるソクジンの心の中には、ナヒとの関係を最後まで守り通す決意があった。ところが、警察ではソクジンの通話履歴から、キョン社長との通話がスンギが殺された現場近くであったことが明らかになり、家宅捜査の指示が出される。ソクジンであるはずがないと信じながらも、オスはソクジンが何か隠していることに胸騒ぎが抑えられず、ソクジンのマンションへ向かう。

−お前、何なんだ。一体何をした!お前は俺を騙した...ホテルに居ると言っていた時間、お前はスンギがいたあの倉庫にいた。キョン・ジョンチョルとの通話記録がある。キョン・ジョンチョルに何を依頼した?スンギに何をしたんだ!

−俺は絶対にスンギを殺していない。俺の話を信じてくれ。信じてくれ...

−証明してみろ、だったら!俺がお前を信じられるように言ってみろ!なぜ黙ってる...言ってみろ、何がどうなっるのか俺に説明しろ!

−俺は...スンギを説得しようとしたんだ...スンギがしきりにお前のことで脅迫してきたから...

−だから、俺のためにスンギを殺したと?

ーいや、スンギを殺したのは俺じゃない。俺の言ったとおりだ、スンギに会って説得しようとしただけだ。

−説得?友達に暴力を加えるのが説得だというのか?

−暴力なんてしたことはない...それに落ち合う場所もスンギが指定してきたから...

−その話を信じろと?

−事実だ...

嘘を突き通すソクジンを哀しい瞳で見つめていたオスの元に、ミンジェから連絡が入り、ソクジンの疑いがさらに強まる有力な状況証拠を知らされる。

その頃、スンハは事務長のクァンドゥと酒の席にいた。いつも隙の無い様子のスンハに対し、時には自分を忘れるのも必要だと話すクァンドゥ。オスの心からの謝罪 の言葉に心が揺れるスンハは、動揺を静めるように酒を飲む。

−とにかく、今日は重苦しい気分でしたが、酒が入ると少しは癒えますね。....カン・オスがあまりにも大きな償いを強いられているんです。万が一チョン ・テソンが生きていて、彼が真犯人だとしたら、家族を奪われた心情は十分に理解できますが...

−それは経験した人でないと理解は難しいと思います。私がもしチョン・テソンなら、私はやはりカン刑事を赦すことはできないでしょう。

−簡単ではないでしょう。故意であれ、偶発的な事故であれ、兄を死なせた人間が審判も受けずにいるのですから...その上母親まで亡くなってしまっています し。

−偶発的な事故でなければ余計にそうでしょう。

−もちろん、そうでしょう。でもその時、カン刑事の歳は17歳でした。勇気を出すには少し幼すぎました。

−寛大ですね...

−チョン・テソンのために、そう考えています。チョン・テソンも同じように幼い子供でした。その子は16歳という年齢で悲惨な経験をして、世の中の暗い面を全て知ることになった。だからより傷が深く、赦すことができないはずです。幼い頃の傷は一生を支配しますから。もし彼が16歳ではなく 、成人後に同じ苦悩を経験をしていたら、殺人を犯すまでには至らなかったと思います。カン刑事も12年間罪を背負ってきたはずです。結局二人は、17と16という時に閉じ込められているのでしょう。

クァンドゥの言葉がスンハの心をますます揺らす。スンハは重苦しい気持ちに耐えられず、思わずヘインに合いたい気持ちが募り、彼女の家へと足が向かう。会わずに帰ろうとした瞬間、ヘインの声が聞こえ、スンハは思わずヘインを抱きしめてしまう。

翌日、ソクジンにスンギの殺人容疑で逮捕礼状が出されると、ソクジンはとうとう逮捕されてしまう。ソクジンが真実を話さないことに苛立つオスの前に、オ・スンハが弁護人として姿を現す。 全てを思うままに操るスンハの用意周到さに、オスは恐怖心すら感じるのだった。

一方、スンハから贈られたオルゴールの残像から、スンハの正体がチョン・テソンであると知ってしまったヘインは、自分の脳裏に浮かんだことを確かめるかのようにファン・スゴンの農場へ向かう。スゴンから少年時代の写真を手渡されたヘインは、写真の中に、12年前の雨の日、レコード店前で傘を差し出してくれた少年の笑顔を見つけて愕然とする。