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韓国ドラマ 魔王

あらすじ 第
19話


あなたの友人は オイディプスの役目を果たす

당신 친구는 오이디푸스의 의무를 다할 겁니다
タンシン チングヌン オイディプスエ   ウェムルル テハル コムニダ
 

 



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【警察署】

ソクジンはナヒを守るために自らスンギを殺害したと偽りの供述を始め、オスにさえも偽り続ける。

−私が殺しました。私がスンギを殺したんです。始めから私がしたことなんです。俺が殺した!俺がスンギを殺したって!俺が!

どうしたソクジン...しっかりしろ!お前はスンギを殺していない!

香港への飛行機のチケットと少しの資金を渡したことを興奮して叫び続けるソクジン。

−そうだ、お前の言うことは正しい。飛行機のチケットと金が現場にあった。

−そうだ、俺が渡した!

オスはソクジンの姿を見て、チーム長に少し時間が欲しいと話すと、ソクジンと二人きりで向き合う。

−お前はその時間義姉さんと一緒にいたはずだ...

−そんなことはない...あの人は俺とは何の関係もない...誤解してる...あの人を巻き込まないでくれ。

−義姉さんのために殺人者になるのか?

−オス、頼む、彼女を巻き込まないでくれ..俺はどうなっても構わない、全て俺のせいだ、あの人は...今と同じよう暮らせるように頼む、放っておいてくれ...頼むオス...。

ソクジンが他の誰かを庇って嘘をついていることをチーム長に報告するオスは、まずはソクジンのアリバイを証明すると約束する。

【ヘインの家の前〜スンハの部屋の前】

暗闇の中、ヘインの家の前に佇むスンハは、ヘインの言葉ひとつひとつを思い出し、涙を浮かべていた。キョン・ジョンチョルから呼び出されたスンハは、キョン社長の脅迫めいた言葉に胸騒ぎを覚えながら家に戻ると、そこにはヘインが待っていた。ヘインの顔を見ると、スンハはあえて表情を冷たくし、淡々と振舞う。

−ここまで何の用です?

−私と少し散歩に出ませんか?風も気持ちがいいし..

−忙しいので、申し訳ない。

−眠れないの...弁護士さんが心配で、眠れないんです。あなたが傷ついていないか、あなたが私の前から姿を消してしまうんじゃないかって、怖くて眠れないんです。あなたが世間を恨むのを、責めたりしないわ。でも暗闇に 閉じこもっていたら、暗い夢しか見られない。暗闇の中ではあなたは幸せにはなれないの。私...胸が痛い...あなたが幸せじゃなくて、私胸が痛みます...。

−もう、帰ってくれ...

−お願い、やめて...遅くない、今からでも遅くないわ。

−僕は僕の考えで、進みたい道を行く。ヘインさんが何を考えようと関心はない..

スンハの頬を叩き、スンハの心を開こうと涙を流しながら続けるヘイン。

−どうして心にも無いことを言うの?あなたも苦しいでしょう?あなたもつらいのに...あなたが一番苦しんでいるじゃない!間違いだと、引き返したいと思っているなら、いつでも戻らなきゃ。今勇気を出さなければ、あなたは罪悪感と自責感から抜け出せないのよ...復讐心よりもっとつらい暗闇に閉じ込められてしまうのよ...。

−暗闇にいるのに慣れた人間は、暗闇は怖くありません...。

スンハは涙をこらえながらヘインに背を向け部屋へと戻るが、暗闇に慣れた自分の世界に光を差し込もうとするヘインの存在に心がますます揺れる。しかし復讐心のために荒れ果てた心をどうすることもできずに苦しむ。

【警察署】

弁護人のスンハにさえ、キム・スンギは自分が殺したと主張し、早く検察へ送ってくれと頼むソクジン。

−あなたはキムスンギさんを殺していません...

−俺が殺したんだ!

−失望なさらないでください。あなたの友達があなたを救うでしょうから。

−どういうことです?

−あなたの友達がオイディプスの役目を果たす...だから私はあなたの友達を助け、この事件を見届けます。
 

オスはソクジンの姿に葛藤し続け、ついに兄ヒスに電話をする。オスは兄ヒスの声を聞きながら、申し訳ない気持ちで苦悩するが、ナヒとソクジンのことは打ち明けることができない。ヒスはオスの話からソクジンが殺人を自白したことを知り驚く。その頃、ソクジンを救いたい一心のナヒが、オスを訪ねると、ソクジンがナヒを守るために虚偽の供述をしていることを知らされ愕然とする。真相を話して欲しいというオスに、ナヒは覚悟を決める。

その日の午後、また一つの宅配がオスに配達されてくる。真っ赤な封筒を取り出すと、その中にはスンギが殺された日付に写された男性の写真と、一枚の手紙が入っていた。その男性が間違いなくスンギの事件に関わっていると直感したオスらは、ソクジンのマンションの防犯カメラのチェックを始める。
 

【スンハ、スンヒの 療養所】

スンハは姉スンヒが倒れたとの連絡を受け、姉 の入院する療養所にかけつける。看護士の話から、最近中年の男性が訪れて以降、体調が良くないと聞かされたスンハの脳裏に、思い当たる人物の顔が浮かぶ。 スンヒの手を握り締め、ベッドに寄り添うスンハはいつの間にか眠りに落ちる。スンハの手のぬくもりに気づいたスンヒ。

−いつ来たの?

気がついた?

−食事を頼もうか?昨日も今日も食事していないって聞いたよ。

ーお腹がすかないの。

−それでも食べなきゃ。お腹が空かなくても食べよう。

食事を取りに行くため立ち上がるスンハにスンヒが 語りかける。

−どうして耐えられたの?お兄さんもお母さんもそんなふうに見送って、どうやって耐えてきたの?姉さん、あなたがそんなにつらい事を耐えてきたなんて知らなかった...

ー何を聞いたの?

−あの人はあなたを憎んでいるんじゃないのよ。あなたを理解して、心を痛めてるの。私はあなたが幸せなら嬉しいの。悪いことは全て忘れて、毎日毎日好きなことを考えて生きていってくれたら嬉しいの。できるわよね?できるでしょう?

【スンハ、ヨンチョルと待ち合わせ】

姉の言葉に何一つ答えられず診療所を出たスンハは、涙をこらえながら地獄の門の絵の前に立つ。

−地獄の門の前に立つのは...誰なんだ...

そんなスンハの前にヨンチョルが姿を現す。もうすぐ終わる、と復讐の完結を前に嬉しそうに笑うヨンチョルを複雑な気持ちで見つめるスンハ。

−テフンが喜ぶだろうな...正義が勝つんだから。お前本当にすごいな、お前も嬉しいだろう?な?

−ヨンチョル兄さん...兄さん本当に良くやってくれた。もう、兄さんの仕事は終わったよ。韓国を発つんだ、それで兄さんが書きたかった小説を書くんだ。自然の中で小説を書くのが兄さんの夢だったじゃないか。兄さんがオーストラリアに発てるよう、準備は俺が全部...

−い、いや、ま、まだだめだ。さ、さいごまで見届けるんだ。オスを終わりまで見届けるんだ。あいつ...自分の何が間違っていたのかもわからない奴...あの悪党を...。

自らの復讐のため利用してしまったヨンチョルを止める事ができないと悟ったスンハは、後戻りできない状況に焦りが募る。

【ヘイン、残像を見る】

事件の解決に協力することで、スンハを救いたいと考えるヘインは、オスに預ったハンカチの残像から、スンギの殺害現場にいた人物が見知らぬ男性だったことをオスへと連絡する。

【警察署】

ソクジンを助けるため、ナヒは決意を固めて警察署に姿を現す。オスの義理の姉だと知って驚くチーム長ら。ナヒの話からソクジンとスンギの間にあった出来事が徐々に明らかになるが、オスの心は一層重苦しくなっていく。ソクジンのアリバイが証明されたことで、ソクジンの殺害容疑が晴れたも同然となり、スンハがソクジンに面会に現れる。

−キム・スンギさんが殺害された時間、ナ・ソクジンさんと一緒にいたとチェ・ナヒさんが証言されました。殺人容疑は晴れたようなものです。残るは暴力教唆の容疑のみです。

−事実ではありません。あの人が言ったことは事実ではありません。あの人は私とは一緒になんかいませんでした!

−チェ・ナヒさんを守りたいんですか?でもチェ・ナヒさんもまた、あなたのために勇気を出したんです。だからあなたも精一杯...

ソクジンに話しながら、スンハはヘインの言葉を思い出し、胸がしめつけられ、言葉を失ってしまう。
 

【ヒスとオス】

ー兄さん...

ーナヒが警察署に行ったそうだな。何の用だったんだ?...大丈夫だから言ってみろ。

−ソクジンのアリバイを証明するためです。

−それを何故ナヒが?

−その夜ソクジンと一緒にいた人は、義姉さんでした。

−だから?だから証言したと?

自分がナヒに頼んだこと、ソクジンを守るために他の方法がなかったと詫びるオスの頬を殴るヒスは、何故事前に言わなかったのかと激高する。その夜ヒスに全てを打ち明けたナヒ。自分を傷つけてまでソクジンを守りたかったのかと腹を立てるヒスだったが、実家に帰るようナヒを諭す。離婚する考えはないとヒスに釘をさされたナヒは 思いがけないヒスの態度に眉をひそめる。

【ヘインを訪ねるオス】

スンギにタバコを手渡した人物の残像を見たヘインは、その人物の特徴をオスに話す。背広を着ていたこと、とても優しそうだったこと、そしてどこかで見たことがあるのに思い出せないというヘイン。その人物が兄のヒスであるとは思いもしないオスは、思い出したら連絡をくださいと 言い、警察署へ戻るためにヘインに背を向ける。

−カン刑事さんはチョン・テソンが誰なのかご存知ですか?そうなんですね?

−証拠も、証明することもできませんが、確信はあります。

−私もその人が誰なのか察していました。でもカン刑事さんにお話しすることができませんでした。その人がとても可哀想で、お話することができませんでした。私はその人が送ってきたつらい日々を思うと、暗闇に閉じ込められているその人を思うと、 とても胸が痛むんです。私がその人を止めたいけれど、どうしていいのか分からないんです。私がどうしたらその人を止める事ができるのか...それが分かりません...カン刑事さん、その人が憎いですか?

−分かりません...その人の中に自分が見えて...許しを請うことも憎むこともできない...。苦しまないでください、ヘインさん。ヘインさんが苦しむのは、私が嫌です 。

オスはスンギの眠る墓地に向かい、スンギの遺影の前で涙を流す。その夜一人酒場へ向かったオスは、酒に酔い、思わずスンハを呼び出す。

【スンハとオス】

−何の用です?

ーこれで満足ですか?全てがあなたの望むとおりに転がって、満足されましたか?

−酔っているようですね。

−変ですよね...あなたを見ると、本当に許しを請いたいのに、そのたびに死んでいった人の顔が見えるんです。あなたを本当に憎みたいのに、テフンの顔とあなたのお母さんのことが浮かぶんです。 あり得ないけれど...あなたを見てると、俺が見えるんです。どこにも行き場が無い、戻ることもできない俺があなたの中に見えるんです。あなたはどうです? 爽快で嬉しいですか?

ー恐れているようですね。正当な方法で真犯人を捕らえるといっていたのに、もう真実を探すのも怖いんですね。

−俺はあなたを捕まえますよ。ただ、あなたを捕まえることが、もう嬉しいことではないんです。あなたの言う真実の終わりになにが待っているのか、俺の目で確かめます。

−それは良かった。私の期待を裏切らないでくれて。

背中に悲しみを背負うオスの後姿を見つめ続けるスンハは、止まりたい、引き返したいという気持ちが湧き上がるのを必死で抑える。

−止まることはできない。もうやめられないんだ...。

【警察署 ミンジェとオス】

ーお酒飲んだの?

−少しな...ああ、ミン・イボムの恋人の居場所は?

−まだよ...だけどミン・イボムを見た人がいたわ。

ミンジェはオスを誰よりも心配し、オスに送られてきた写真に映る人物ミン・イボムへの手がかりを必死に探していた。空港で彼を見たという話をミンジェに知らされたオスの脳裏に、ヒスとの会話が浮かび、オスは悪い予感に襲われる。勇気を出してヒスに電話をかけるオスは、事件の夜、何をしていたかと尋ねる。ヒスの慌てた様子に申し訳なさがこみ上げたオスは一言謝ると、電話を切る。


【スンハ、事務所でクァンドゥと】

−お姉さんを訪ねました。

−やはり事務長でしたか...事務長が訪ねた後、姉の体調が悪化しました。これから何かあれば、私に直接お話ください。

−考えて...見たんです。私が何ができるか、考えて考えました。

−何のお話ですか?

−多くの痛みを抱え、耐え続けた16歳の少年を思うと、申し訳なくて、胸が痛みました。私がその少年に、その時一度でも振り向いていたら、そうだったら良かったのにと...。けれどあなたの選択は正しい方法じゃない。世間があなたに不公平だったからといって、あなたは正当性を放棄してはいけない。けれど私は弁護士さんの傍にいます。弁護士さんが 出ていけといっても、ずっとここにいます。その少年に申し訳なくても、ここにいます。いつもその少年が私が必要だと助けを求められるよう、ここにいます。

その頃、オスの父にキョン・ジョンチョルから連絡が入り、オ・スンハの正体がチョン・テソンである事実が知らされる。
 

【裁判所】

スンハの受け持つ事件が徐々に解決する中、テシクの殺害容疑で告訴されていたソラの母の刑が確定する。執行猶予付き1年の刑の判決を聞き、冷静な表情で法廷を後にするスンハを鋭い目線で睨み続ける男性の存在があることに、スンハは全く気づかなかった。

【ヘインの図書館前】

オスは、スンギが殺害された日の兄ヒスの行動に疑いを持ち始め、捜査を続け、真実を求めてヘインに会いに図書館に向かう。ヘインの問いかけになかなか答えられないオスは、ようやく口を開く。

−ちょっと、確認してもらいたいことがあって...

ヒスの映った写真をヘインに見せるオス。

−ヘインさんが見た男性は、この人じゃありませんか?

お知り合いの方ですか

違いますよね?

...この人...です。

言葉に詰まり、顔色を失うオスを心配するヘイン。

−確かですか?確かに?もう一度見てください、ヘインさん!この人であるはずがない!あなたが勘違いしているんじゃないですか?

落ち着いてください、とオスの手を握り締めるヘインだったが、オスはショックのあまり事情も話さずその場を立ち去る。 思いがけない真実に動揺したオスに、ヒスを何とか守ろうという考えが浮かぶが...


【ヨンチョルの部屋】

ミンジェらとヨンチョルの部屋を捜査したオスは、ヨンチョルの部屋からタロットカードなどの重要証拠を発見する。その場にヨンチョルが帰宅すると、オスの姿を見て慌てて駆け出し、 急いで後を追うオスの前で階段から転がり落ち、意識を失ってしまう...。