図書館に現れたオスは、自分の過去について、ヘインに話し始める。
−12年前、つらいとき慰めてくれる親がいる友達が
、本当にうらやましかった。俺はどうしようもない息子で...親父はそんな俺を1度もかばってはくれなかった。情けないけど、それでますますグレていって...クラスの弱い奴をからかったり、殴ったりしていじめていました。それで取り返しのつかない失敗をしてしまいました。俺がどんなに卑怯な奴か教えてくれたやつがいました。勇気のあるそいつが羨ましくて、そいつみたいになりたくて、そのテフンを俺が死なせたんです。俺がテフンの未来を全て奪ったんです。そんな卑怯なことをしておきながら、これから努力すればいいんだと、それでもこれから精一杯生きていけば、神様も許してくださるのではと...そうにちがいないと...今は分かりません。俺が本当に、こんなふうに生きていていいのか、どうしたらいいのか、本当に分からないんです。だけど、自分が悪党だって知りながら、テシクをあんな目にあわせた奴をつかまえたい、その思いは消せないんです。
悲痛な面持ちで過去の事件について、自分の苦しみについて打ち明けるオスに静かに歩み寄るヘイン。
−大切なのは今です。誰かのためや犯人を捕まえるためではなく、カン刑事が選ぶ道を信じて進めばいいんです。自分を許すためにはどんなに暗いトンネルの中でも入らなきゃ。カン刑事さんを救えるのは、カン刑事さん自身だけです。
ヘインの言葉を聞き、気持ちが定まったオスは、その足でパン班長の元へと向かう。
−刑事の資格がなくても許しを受ける資格がなくても逃げません。申し訳ありません。
一方、スンハはソラという名の少女を連れてヘインの家を訪ねると、ヘインに事情を伝え、ソラを預って欲しいと頼む。初めて会うソラという少女に見覚えのあるヘインは、残像で見た少女がソラだと気がつく。
その頃、捜査に戻ったオスの前に、ソラの母親が姿を現し、テシクの殺人に関わった容疑者として逮捕される。
ヘインに呼び出され、教会を訪ねたオスは、ヘインとともに教会にいるスンハの姿に驚きを隠せない。何故、スンハがソラを連れているのかを疑問に感じるオスに、スンハもまたオスがなぜソラの母親を探しているのかを問い詰める。オスはソラの母親はテシクの殺害事件の容疑者であることと、凶器であるガス銃から彼女の指紋が出たことを伝える。オスの問いかけに対し、ソラに出会ったのは偶然だ、というスンハ。オスはこの事件に偶然などなく、全てが緻密な計画のもとに進められていると怒りをあらわにすると、スンハは驚いたような表情でヘインの前で話を続ける。
−カン刑事も確信してらっしゃるんですね?今回の事件が12年前の殺人事件の報復だと確信されてるんですね、カン刑事さん。
眉をひそめるオスに対し、スンハは飄々と続ける。
−これはすみません、殺人事件ではありませんでしたね...悪く思わないでください。
クァンドゥとパン班長から12年前の話を聞いたこと、そして二人を誤解しないでくれと伝えるスンハにオスは疑問をぬぐえずに、なぜスンハがこの事件に関わり続けるのか知りたいと再び問いかける。
−私が事件の背後にいる人物だとお考えですか?
−ソラと出会った理由が知りたいだけです。
クァンドゥが推測する内容(犯人は12年前の事件を再現していて、スンハをも利用している)について、オスに伝えるスンハの話にもオスは全く納得できず、弁護士さんを利用しなくても他に方法はあるでしょう、なぜ弁護士さんを選択したのでしょう、とさらに続ける。弁護士なら利用した人を助けられるという犯人側の配慮ではないかと答えるスンハ。それを知りながらチョ・ドンソプの初公判でなぜ言及しなかったのかと問い詰めるオスに、犯人の意図がどうあれ、この事件の実証的な事実に従うだけ、と淡々と答えるスンハ。
−公判を延期することも出来たはずです。
−それでは依頼人に不利です。
−カン刑事も、同じ理由で正当防衛の判決を受けたのですから、他の誰より私の言葉がお分かりいただけるかと…。何かまだ聞きたいことが?
何か思い当たることがないかと言うオスに、厳しい表情のスンハが続ける。
−12年前の事故について真実を一番よく知る人物は、カン刑事だけです。したがって真犯人に一番近い人物はカン刑事だけということです。
黙って聞いていたヘインが、ふと思い出したように、ソラはその人物の顔を見ているはずだと、犯人は見せたい証拠だけ選んで残していると話し、まるで犯人が自分にたどり着くように道をひとつづつ用意しているようだと不安な表情を浮かべる。
−誰かと一緒だったとソラが言っていましたか?
−優しいおじさん」と一緒だったと。
事情を全て知ったヘインは、家まで送ってくれたスンハに、ソラはしばらく預かりますと伝える。
−怖くないですか?殺人事件に関わるのが怖くないですか?
−怖いです。..ただその人をとめたいんです。その人もつらいだろうから、自分がこれ以上犠牲者を出さないようとめて欲しいと思っているだろうから...その人も暗いトンネルでもがいているから。その人も誰かに救って欲しいと願っているはずです。私にできることは何なのか私もまだ分かりませんが、止めてあげたいんです。
一方差出人不明の荷物の中に、自分とナヒの写真が入っていたことで不安になったソクジンはオスに電話で何故自分とスンギが狙われるのか、と尋ねるが、オスはただ会って話そうと言うばかりで詳しい事情が聞くことができないソクジンの不安は募っていく。
ソラの母の取調べを進める中、パン班長は、ソラの母がテシクにソラのことで脅しを受けていたことを知らされる。ソラのぬいぐるみがテシクの事務所にあったことで、ソラを連れ去ったのがテシクだと思い込んだことも打ち明けたソラの母は、殺すつもりなどなく、ガス銃で脅すことでソラを取り戻したいだけだったことが明らかになる。そしてガス銃は「誰か」から送られてきたもので、送ってきた人物は誰なのかと問い詰めると、夫からのものだろうと話す。ソラの母キム・ジョンヨンに銃を送ったのは、夫ではなく、別の人物だということを、オスも班長も確信する。
一方、ソラのぬいぐるみに触れたヘインは、ぬいぐるみに残った残像からオスの高等学校で誰かから逃げるようにおびえた様子で走り続ける男子学生の残像を見る。
キム・ジョンヨンの弁護を引き受けたスンハに、クァンドゥは、テフンの家族の消息を伝え、事件の背後にいる人物はその弟ではないかと話すが、まだ弟の消息はつかめずにいた。
キム・ヨンチョルに対して疑いを抱いたオスは、スンハに容疑者の1人であるキム・ヨンチョルの顔をソラに確認させたいと願い出る。
オスは事件の核心に近づけば近づくほど、12年前の事件と全てのものが繋がっていることを思い知らされ、学生時代、苦しい思いをさせた同級生のヨンチョルを尋ねていく。 |