ムン・ソッキョンの別荘で意識を取り戻したチェ・ウニョクは、自分の存在を利用して、ソッキョンがイ・ドンウとキム・ヘギョンの婚約を阻止しようと考えていることを知る。ヘギョンを連れて北へ行くようにというソッキョンの言葉に、傷ついた体を引きずるようにして立ち上がり、別荘を出ようとするウニョク。しかし銃弾で受けた傷は深く、動いたことで傷口が開き、その場に倒れこんでしまう。その時、パク・チャンジュがソッキョンの別荘に現れる。ソッキョンが入浴中だとチョンジャはパク・チャンジュを外で待たせると、二人はウニョクを抱きかかえ布団に連れて行く。ソッキョンは放送局に送ってほしいとパク・チャンジュを何とかはぐらかすが、袖口に付いた血を見られてしまう。ソッキョンは咄嗟にワインがこぼれてしまったと言い訳をするが、パク・チャンジュは何か様子がおかしいことが気にかかる。
一方トンウの家を訪れトンウの父母から大礼服を贈られたヘギョンだが、トンウの母にウニョクと結婚の日取りまで決めていた仲だったことが知られたことで、結婚は再検討しなければと言い渡される。過去のことだと必死で訴えても、今すぐ大礼服を脱ぐようにと冷たくされ、ヘギョンは気を落としてしまう。気落ちしているヘギョンの前に現れたソッキョンは、つらいから、もうたずねてこないで欲しいというヘギョンに、“チェ・ウニョクさんが死のうが死ぬまいが関係ないというの”とヘギョンにウニョクを匿っている事を話し、彼女をウニョクがいるソッキョンの別荘へと連れて行く。
意識の朦朧とする大怪我を負ったウニョクはうなされながらヘギョンの名を呼んでいた。そんなウニョクの姿を見てヘギョンは泣き崩れる。「どうしてここまで来たんですか...
オラボニの人生があまりに哀れではないですか...
どうして他の人が行かない道を選んで、痛みも苦労も背負うのですか...」
ソッキョンは、自分の出来ることはここまでで、ウニョクを連れて北へ行くようにヘギョンに話すが、ヘギョンはウニョクを見なかったことにする、ときっぱりとソッキョンに断る。すでにウニョクを過去の人だと言い切り、出て行こうとするヘギョンにソッキョンは“行くのならこれを持って行きなさい”と1枚の写真を取り出す。それはウニョクとヘギョンが婚約前に撮影した二人の幸せそうな写真だった。ウニョクが大切そうに胸に抱いていたことを聞かされるが、本人に渡してくれとヘギョンは受け取ろうともしなかった。本当に愛している人にどうしてこんなことが出来るのか、明日まで時間をあげるから良く考えるようにとソッキョンはヘギョンを必死で説得しようとする。
チョンジャはヘギョンに対してこんな選択を押し付けることは残酷だとソッキョンを非難するが、ソッキョンは生死をさまよっているウニョクを見捨ててトンウと結婚するヘギョンをどうして否定しないのかと虚しそうな表情を浮かべる。少なくともヘギョンには真心がある、ウニョクに対しても、トンウに対しても真心を尽くしているとのチョンジャの言葉がソッキョンの胸に突き刺さる。
一方息子の身が心配でたまらないウニョクの父母はたまらずヘギョンの元へやってきて、半島ホテルでウニョクに会わなかったかどうかと不安そうにへギョンに尋ねる。二人の悲しそうな様子にヘギョンは“元気そうに見えました。北で元気に暮らしているそうです。オラボニは無事に戻れるでしょう”と思わず嘘をついてしまう。
ヘギョンを疑うパク・チャンジュヘギョンがトンウの婚約者となっても決してあきらめようとはしなかった。ウニョクと会ったのではないかとヘギョンに尋問するが、ヘギョンは堂々と会ってはいない、とパク・チャンジュの脅しに屈することなくウニョクを守る。
そんなヘギョンを待っていたトンウは思い立ったように車の運転をヘギョンに教え始める。これからイ一族の嫁となるヘギョンの不自由さを心配したトンウは、せめてもの息抜きになるようにとヘギョンに運転を勧めたのだ。どんなことも我慢できると話すヘギョンに、辛いときは頼るようにと優しい言葉を掛けるトンウ。トンウの優しさにヘギョンはますます心が痛む。ヘギョンはトンウのために生きていくことを決意し、これ以上ウニョクの事に関わるつもりはない、とソッキョンに電話を掛ける。お嬢様がされた事はご自分で解決してくださいとのヘギョンの言葉に、ソッキョンはヘギョンの言うとおり、自分で解決するということはパク・チャンジュに連絡するということだと伝える。ヘギョンが見放した重罪人をこれ以上どうすることもできないと言うソッキョン。
ウニョクは何を言われても北へはヘギョンを連れては行かないこと、そんなことをしてもトンウの気持ちは戻らないと、自らの欲心のためにヘギョンを巻き込まないでくれとソッキョンに伝える。そのとき、ウニョクがパク・チャンジュに引き渡されることを恐れたヘギョンは別荘に駆け込んでくる。
「むしろパク・チャンジュを呼べ!
民族が統一される日を見られないのは残念だが...
あの時38度線に置いていってくれたら
少なくとも私のために泣く人は居なかった...
そこで死んで誰の目にも触れてはならなかった。
ヘギョンの前に再び現れてはいけなかった」
ドアを開けてヘギョンが入ってくると、ウニョクは何をしにきた、帰れ、とヘギョンを突き放す。死ぬという言葉がそんなに簡単に口にできるのですか、お母さん、お父さん、ウンヒ、ソンヒ、家族の心にどうして悲しみを残すのかとヘギョンは泣き崩れてしまう。
家に戻ったヘギョンは心が痛み、涙が止まらずに夜も眠ることができずにいた。そんなヘギョンを心配した妹のヨンギョンは毎晩うなされているヘギョンの様子からウニョクが南にいることを敏感に感じ取っていた。隠し通すことができずに、ヘギョンはヨンギョンにウニョクがいることを話してしまう。ウニョクを助けなければ、とヨンギョンはトンウの車を借りて38度線までウニョクを送ろうと提案する。トンウの車なら軍事顧問団ナンバーがあり、無事に越北できる、そしてヘギョンも北に行くわけでもないからと...。
トンウには父の誕生日にかつて父が暮らしていた開城(ケソン)までヨンギョンと行きたいと話し、ヘギョンは翌日トンウの車を借りることになる。国会のメンバーとの会食を予定していたトンウは一緒に行けないことを残念そうにするが、ヘギョンとヨンギョンのために、翌朝秘書に車を持ってこさせることを約束する。
別荘で徐々に動くことができるようになってきたウニョクだが、まだ傷口は塞がってはいなかった。ソッキョンがいくら止めても、無理をして出て行こうとするウニョクを“朝食だけでも取っていってください”となんとか引き留める。ソッキョンはコップの水の中にそっと睡眠薬を入れウニョクを眠らせてしまう。
ヘギョンとヨンギョンが運転手として同行しようとするトンウの秘書を強引に降ろし、二人で別荘にやってくると、ソッキョンから電話が入る。ウニョクを連れて行くときに、検問所で捕まることがあっても、決して自分の名前は出すなということ、そして二度と二人には会わないことを願うと話すソッキョンにしっかりとうなずくヘギョン。
38度線に向かう途中の道で突然車を止めるヘギョンはヨンギョンに戻るように、と一人でウニョクを見送ろうとする。一緒に行くと言うヨンギョンに、もしうまくいかなかったとき、あなただけでも母さんの傍にいられるように...と戻るように言い聞かせるヘギョン。車に乗り込み、一人車のハンドルを握りしめるヘギョンにトランクの中のウニョクが目を覚まし、降ろせと叫ぶ。
「ヘギョン、そこにいるのか?
降ろせ!早く降ろせといっているんだ!」
「待ってください。38度線に着いたら...降ろしてあげますから...
ずいぶん遠くまで来てしまいました。もう戻れなくなってしまったんです」
ウニョクを救うため危険を冒して38度線に向かうヘギョンの目の前に見えたのは、トンウの姿だった。
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