【川辺】
車から投げ出され、川辺で意識を取り戻したトンウは大怪我を負い身動きひとつ出来ない状態だった。周囲は怪我を負った人々や命を落とした人で埋め尽くされ、その間を人民軍の兵士たちが行き来しているのを目にしたトンウは身の危険を感じ、死んだようにじっとうずくまっていた。
【ヘギョンの家】 ウニョクからトンウの車が見つかったことを知らされたヘギョンは、“あの人は死んではなりません”と制止するウニョクの話も聞かずに探しに出ようとする。ウニョクはヘギョンを車に乗せ、トンウを探しに川辺に向かうがトンウの姿を見つけることはできなかった。“こんなにも虚しく行ってしまったのですか?”とトンウを想いながら泣き崩れるヘギョンを前に、ウニョクもまた苦しんでいた。
【オ・チョルヒョンとウニの再会】 一方オ・チョルヒョンの帰りを待ち続けていたウニョクの妹ウニは、堂々と南へ戻ってきた
チョルヒョンを目の前に、今までの切ない想いが溢れだす。
「お兄さんもあなたも同じですね。置いていかれた女の気持ちなど分かっていないのよ!やっとオラボニが望んでいた世界が来たのだから、私の側にいてください。愛しています....」
長い間会うことの出来なかった自分を待ち続けていてくれたウニをきつく抱きしめるチョルヒョンだった。
【川辺】 一方、イ・インピョンらはソウルから逃げ出そうと船を捜す中、秘書に助けを求め、大切な金を渡すが、秘書が連れてきたのは人民軍の兵士たちだった。こうしてトンウの父イ・インピョンは人民裁判がはじまるまで自宅軟禁となってしまう。
【半島ホテル】 ソウル臨時人民委員会の置かれたかつての半島ホテルでは、チョルヒョンがウニョクを嬉しそうな表情で出迎える。新しい事務所の準備が出来たことを聞かされたウニョクが向かった部屋は、かつてトンウの事務所として使われていた部屋だった。複雑な思いで胸を痛めるウニョクに
チョルヒョンはこれで良かったと冷たい言葉を突きつける。
「トンウは俺たちを助けようと...全てを投げ出した我らの友達だ!」
「すべて過ぎ去ったことだ。理念の異なるものは敵で、友達にはなれない」
ムン・ドンギを始めとする人民軍の幹部たちにより、粛清対象者名簿が発表されると、ウニョクは反対の声を上げる。人民裁判は重要ではなく、今はソウルに潜んでいるパク・チャンジュが率いる国防軍を壊滅させるのが一番の課題であると主張するウニョク。このままではソウル市民に食糧不足によるパニックが起こるであろうこと、そしてソウル市民の衣食住の安定が最優先だと強く訴える。ムン・ドンギは革命戦争の最優先は市民の安定であるが、民族の罪人を断罪することも思想武装の一環であり、前後を問う問題ではないとウニョクをたしなめる。配られた粛清対象者名簿の中には、イ・インピョン、イ・ドンウの名前、そしてムン・ソッキョンの名前もあった。ソッキョンを侮辱されたムン・ドンギは“死んで当然のムン・ソッキョンが私の姪です”と席を立つ。
「あなたの共産主義の思想が父を殺したのよ!」
ソッキョンの言葉を思い出し、胸を痛めるムン・ドンギにはもはやどうすることもできなかった。その頃ムン・ソッキョンは漢河爆破の混乱でパク・チャンジュとはぐれ、空腹に耐えられず民家に忍び込み死に物狂い食料を探していた。
【ヨンギョンとの再会】 38度線で母と別れて以来、行方が分からなかったヨンギョンは北朝鮮の野戦病院で命を救われ、無事にソウルへ戻ってくる。ヨンギョンの無事を願っていた母はヨンギョンの姿を見て涙を流し再会を喜び合う。ヨンギョンは姉ヘギョンの無事を知り、姉妹は互いの無事を心から喜びあった。
ヨンギョンに同行した女性同盟の副委員長はヘギョンに対し、命をかけてチェ・ウニョク同志を救ったことに感謝していると伝えると、女性同盟の一員として人民大会で闘争談を伝えるべきだとヘギョンに演説をするように持ち掛ける。“党のおかげで命拾いした党に恩返しをしなければ”との言葉に、ヘギョンは人演説を引き受ける気持ちが沸いてくる。
米軍の軍納を手伝っていたホンドゥは、罪を逃れるのはやめて、自我批判をするべきだと妻とヨンギョンに説得されるが、トルと口をそろえて共産主義を否定する。
【トンウの行方】 命からがら逃げ出したトンウは食べ物を捜し歩く中、ヘギョンが人民大会で演説をすることを知る。行方の分からないトンウのことで気を落とすヘギョンの身は、今はウニョクが気遣っていた。
「仕事をしながら心の整理をするのはどうだ。ホテルに戻るか?」
ウニョクの言葉にも“今は何も考えられない”と答えるヘギョン。人民大会は無理をするなというウニョクに、副委員長のいうことは正しいし、避けたくはないと演説を引き受けることを伝えるヘギョン。
「オラボニが望んでいた世の中がどんな姿なのか見守るつもりです」
「お前にも、南朝鮮の人民達にも、恥ずかしくない解放祖国の世の中を作っていく。 見守っていてくれ」
【人民大会】 人民大会当日、イ・スンマン政権で死刑宣言を受けてからも屈せず激烈に争ってきた同志キム・ヘギョンと紹介され、ヘギョンの演説が始まる。
「キム・ヘギョンです。皆様の熱い歓呼には感謝しますが....私には“人民英雄”という称号を頂く資格はありません。今ここにいらっしゃる市民の皆さんと同じく一生懸命生きるただの平凡な女でしかありません」
かつて暮らしていた咸興での出来事から話し始めるヘギョンの姿をウニョクは温かく見守っていた。
【ソッキョン宅】
その頃空腹に耐えかねたソッキョンは、変装し、かつて暮らしていた家に忍び込むと水や食料を流し込むように食べ始める。ちょうどその場へソッキョンの身を案じるムン・ドンギが現れ、チョンジャと再会する。パク・チャンジュがソウルを抜け出せなかったことを知ったチョンジャはソッキョンの行方が分からないことに動揺する。ムン・ドンギもまたソッキョンの不在に驚き、その場に座り込んでしまう。水を取りに慌てて厨房へ向かったチョンジャが物音に気がつき、ソッキョンを発見する。物音を聞きつけてムン・ドンギがソッキョンの前に現れる。
「生きていてくれたんだな」
「ええ、残念ながら...。私を殺しにきたの?共産党が優勢になるということは私が死ぬということでしょう!怖くはないわ...」
【ウニョクの家】 ウニョクの父は息子の助けになればと人民委員会の班長となり、腕に誇らしげに腕章をつける。そこにウニョクがウニと共に帰宅する。
「ただいま帰りました。母さん、ご飯ください」
「私の息子ウニョクが私に“ご飯をくれ”と言う日が来るなんて...」
喜び、感激の涙を流す母を抱きしめ、“このように暮らしてもいい世の中になったのです”と微笑むウニョクとウニ。母も女性同盟に入ると話し、これに喜ぶウニョクだが、一人表情を曇らせたままのソンヒに女性同盟で歌を教えてみないかと声を掛ける。共産主義を受け入れようとしないソンヒは頑なな姿勢を崩さない。ソンヒの頑固さに嘆く父と母をウニョクは安心させようとする。
「私を恨んでいるのでしょう...私が戻りましたから、これからは私がしっかり面倒を見ます。元々やさしい子ではないですか、大丈夫ですよ」
【ソッキョン宅】 ムン・ドンギに国防軍の進出を報告にきたチョルヒョンはソッキョンを発見し、思わず「ムン・ソッキョン...」と声に出してしまう。
チョルヒョンを外で待たせ、ムン・ドンギはソッキョンを家から一歩も出るなと説得する。
「お前を人民裁判に立たせない手はない...あれほど言っただろう!イ・スンマンには関わるなと....モダンクラブを解散しろと...」
「人の下で静かに暮らすのはムン・ソッキョンの人生ではありません」
ソッキョンの心の中にあるムン・ドンギへの怒りは消えることはなかった。
【国防軍】 パク・チャンジュらはソッキョンが人民裁判にかけられるまでの間、自宅軟禁されていることを知り、ソッキョンを救いに向かう。そして邸宅前は人民軍と国防軍との銃撃戦となる。
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