【テハ一行 宿で】
無事に海を渡ったテハ一行は、安全な場所へと身を寄せる。疲れきったまだ幼い王孫はヘウォンの膝で眠りについていた。部屋の前を守り続けるハンソムに声をかけるテハ。
テハ:風が冷たい もう中へ入ろう
ハンソム:どうして将軍様と同じ部屋で眠ることができましょうか
テハ:この状況で上下の区別などあろうか
ハンソム:こんなときこそ、軍律を守るのです
テハ:頑固なのは相変わらずだな
ハンソム:はい、頑固です この意地がなければとっくに死んでいました
涙をうかべるハンソムの表情に何かを察するテハ。
テハ:何かあったのか?
ハンソム:いいえ
テハ:誰かを..置いてきたのか?...想い人がいたのか?
ハンソム:いえ、ただ冗談を言い合ったりする女性がいました。(溢れる涙をこらえながら)ぜいたくさせてやりたかったのに、約束すら守れず、男として情けないです
テハ:少しだけ待とう...いい時代が来たら、また迎えに戻ればいいではないか
ハンソム:…二度と行きません。チェジュには…
テハ:ずいぶん長い間一人にして…すまない…
ハンソムはテハの言葉をかみ締めながら涙を流す。
【テハ ヘウォンの元へ】
テハがヘウォンのいる部屋へと入ると、朴訥とヘウォンに語りかける。
テハ:私はこれまで戦場で生きてきました...
ヘウォン:(うっすらと微笑みながら)分かります
テハ:男に囲まれて過ごしていたので、優しい言葉のひとつも良く分かりません
ヘウォン:それもよく分かります。今までそばにいたではありませんか
テハ:部下たちにはどう接したらいいのか分かりますが...女性には…どう接したらいいのか、分かりません
ヘウォン:女性は、多くを求めません。ただ1つ望むだけです。男性が、変わらない気持ちでいつもそばにいてくれること...
テハはヘウォンを見つめ、彼女の手を握る。
テハ:生涯…あなたへの義理を守り抜きます
ヘウォン:“義理”は男同士の言葉でしょう?女性は、他の言葉を聞きたいものです
黙ったまま戸惑う様子のテハに微笑を浮かべるヘウォン。
ヘウォン:義理、忠誠、そんな言葉しかご存じないのですね
テハ:そんなことはないが…
テハの手からすっと自分の手を離すヘウォン。
ヘウォン:もうお休みください…
不器用ながらも誠実なテハへの愛が次第にヘウォンの心をあたため始める。
【テギルとソルファ】
オンニョンがソン・テハと夫婦になったと知ったテギルは、酔いつぶれるほど酒を飲む。そんなテギルの話に耳を傾けていたのはソルファだった。
【オッポク 両班狩り】
オッポクは“ある方”の命令でふたたび二人の両班を殺すことになるが、相手が誰かも分からないまま計画に加担することに躊躇し始めていた。オッポクが殺していたのは、全て左議政一派の忠僕だった。左議政イ・ギョンシクは誰かが自分たちを妨害する勢力がいるとの疑心を抱く。
一方、テハの行方を追えと急かされているオ補校は、無実の馬医を捕らえて拷問し、行きつけの宿の女主人らも捕らえてしまう。
【テハ一行 雲住寺へ】
テハはかつての部下に会うため雲住寺へと向かっていた。王孫を抱きながら歩くハンソムに声をかけるヘウォン。
ヘウォン:あの...坊やをこちらへください
ハンソム:無礼だぞ!王孫様に“坊や”だと?
ヘウォン:こちらへください。私が抱いていきます
ハンソム:ソッキョン様に誰もがお仕えできるとでも?
ヘウォン:こんな通りで誰に聞かせようと“ソッキョン様、ソッキョン様”と仰るのです?行く道行く道で噂を広げることになりませんか?それに、男性が子供を抱いていては人目につくので危険です。子供は女性が抱いてこそ自然というもの。こちらへ...
戸惑うハンソムに、テハが“そうしろ”と声をかける。
ハンソム:はい?はい、将軍…
ヘウォン:人目の多い場所で“将軍”と呼ばないでください。この服装でその呼び方では、よけいにおかしく映ります。
ハンソム:将軍!この女性は一体誰です?
テハ:“将軍”とは呼ぶな!
ハンソム:はい…兄貴…
テハ:物分りがいいな。行こう
ヘウォンの毅然とした態度と、テハの様子に驚くハンソム。
ハンソム:兄貴の奥様になられる方ですか?…すでに奥様でしょうか?
テハ:(ハンソムの質問には答えず)この山さえ越えれば雲住寺だ。2日以内に山を越えよう...
山道に差し掛かると、ヘウォンを案じたテハが振り返る。
テハ:ソッキョン様は私がお連れします
ヘウォン:いいえ、大丈夫です
テハ:女性の身で山道を登るだけでもおつらいでしょう
ヘウォン:ひとつだけでも何かさせてください。何かひとつ助けになることがしたいのです...
【テギル チェ将軍、ワンソンと再会】
テギルとソルファはチェ将軍とワンソンに再会する。チェ将軍はテハと出会ったイム・ヨンホ邸で見つけた軍の密使についてテギルに話す。密使の内容から、テハの行き先が雲住寺であると察したテギルは、理性を失った状態で官軍を襲撃し、軍馬を強奪してしまう。テギルの行動に驚いたチェ将軍は、ソルファから事情を聞き、急いでテギルの後を追う。
【雲住寺】
王孫ソッキョンを連れたテハ、ハンソム、ヘウォンが雲住寺に到着し、部下を待っていると、彼らの目の前に6人の部下たちが次々と姿を見せる。再会に胸を熱くするテハと部下たちは、互いの額に刻まれた“奴”の刻印を見て熱い涙を流す。
テハ:王孫様もいらしている。ご挨拶を…
テハと部下らはヘウォンの抱く王孫に体を向ける。
テハ:ソン・テハと、訓練院の武官…王孫様にご挨拶いたします
跪くテハに続き、部下たちも跪き、王孫の無事に感謝しながらら深々とお辞儀をする様子を見つめながら、ヘウォンは志を共にする彼らの再会を共に喜んでいた。