チニとの婚姻を決意したウノは、いいなずけだったカウンの父、ソン長官を訪ねていく。
−この婚姻を認めてください。そのために国法と戦わねばならぬなら、戦います。
−こいつ!目の前でその妓女を捕らえ、首をはねてやる!
−罪の無い民を殺めることは王であっても許されることではない。それでも殺すと仰るのなら、私の命を先に終えて下さい。
かつて見たこともないウノの様子に、ソン長官はチニを傍に置くことは認めるが、婚姻は娘のカウンとすることを条件に出す。この条件を迷わずきっぱり断り、妻に迎えたい人はチニ一人だけだと答えるウノの意志の固さに、ソン長官は言葉を失う。
ペンムとの約束の宴のその日まで、ウノに会うことを禁じられたチニは、教坊へ何度も足を運ぶウノに会おうとしなかった。タンシムにチニへの伝言を話すウノの声に、そっと門の向こうで耳を傾け、チニは涙を流していた。
−ただ...手を一度、愛情深く握ってあげたかった。二人で手を握っていれば、握ってみれば...どんな逆境も、心労がどれほど辛いものであっても、耐えられるだろう。真情は必ずやそなたへと続く道となり、そなたから私への道となる。そのときまでどうか、勇気を失わないで欲しい。その言葉を、伝えたかった。
事を荒立てぬよう、チニを処分する決断を下したソン長官。チニは修練中、突然ソン長官の送った官軍に捕らえられそうになるが、これをペンムが毅然とした態度で
止めると、自分を斬ってから行け、と官軍らを遮る。
ソン長官を訪ねたペンムは、チニの命を絶つことは賢明なことではないと言い、かつてのソン長官とウノの父である判書の縁を持ち出し、
ソン長官を牽制する。ペンムに命を救われたチニは修練を重ねる中、日に日に芸を体得していく。
髪上げを前に、教坊では童妓たちに休暇を与える。
チニは寺を久しぶりに訪ねてウノへの愛を胸に三千拝を始める。この日、チニはかつて世話になった僧侶から、妓名「明月(ミョンウォル)」を授かることになる。
−妓女として生きることは楽なことではないだろう。しかしその生がいかに険しく厳しい道であっても、傷ついてはならぬ。欠いては満ちる月のように強く、明るく生きるのだ。そしてお前の芸が、月が万物を光で照らすよう、悩みを抱えて生きる人々の心を癒してあげなさい。
同じ頃、家へ戻ったソムソムは病の母の看病をしていた。ソムソムは母がチャンイを目障りに感じていることを知り、三年も一緒にいてもらって世話してもらってありがたくないのか、とチャンイをかばうが、母はチャンイの目当てはソムソムだけだと言いチャンイを侮辱し続ける。髪上げを前に心が揺れているソムソムの胸の内を察することもない母親を前に、ソムソムはますます気持ちが重くなる。
嘆願書に対する答えを聞くため訪ねてきたウノに、ソン長官は2百年も続いた国法に背くほどの事を、独断では処理できないと言い、中央に嘆願書を出すことで影響を受けるウノの父にまず相談しなさいとウノを説得する。髪上げのための宴が5日後に開かれることを知ったウノは父の承諾を受けるため、都城に向かって松都を離れる。ウノが都城に向かったことを知った
ソン長官は、ウノが不在の間、宴の日程を繰り上げる策をペンムに伝える。
修練に打ち込むチニの元へ、ソムソムがやってくる。ソムソムはチニとウノの恋に未来は無いといい、芸の道を捨てるのは無謀すぎるとチニに訴えるが、チニは誰にどう見られても気にしない、と自分の感情に身を任せ、堂々と生きたいと答える。この世で一番のバカね、私はそんな生き方はしない、と強い口調で伝えるソムソムだが、心の中はチニの素直な生き方に憧れを抱いていた。ソムソムの初めての宴のために赤いテンギを準備してくれたチャンイの優しさにも、素直に答えることができないのは、髪上げを前にした悲しみで心が埋めつくされているためだった...。