Beethoven Virus  第5話

カン・マエにソロパートを担当することを告げられたコヌは、署長の許可がもらえなかったことをカン・マエと団員達の前で打ち明け、公演は出演できそうにないと話す。コヌの言葉をじっと聞いていたカン・マエは、毅然とした態度で団員たちに伝える。

−公演のレパートリーは予定通りで行きます。

コヌの方へ目線を移すカン・マエ。

−万が一、私たちの公演が上手くいかなければ、お前のせいだ。ここにいる大勢の人たちは睡眠も十分にとれず食事もままならない状態で2ヶ月も練習してきたのに、お前が全てダメにするんだ。...公演の日に会おう。待っている。

コヌの答えを待たず、カン・マエは練習を再開する。黙って出て行ったコヌが心配になったルミは、練習が終わると、焼き鳥を手にコヌの家へと向かう。コヌを励まそうとやってきたルミに、コヌは本心を胸の奥へ隠し、音大も出ていない自分にとっての夢は、妻と子供と穏やかに暮らしていくことだ、それが最高だと話す。

コヌの代わりのトランペット奏者を探すルミの元に、コントラバス奏者のヒョッコンが沈んだ表情で近づいてくる。ヒョッコンは公演当日が勤め先の移転作業にあたる日であるため、公演は出られないとルミに申し出る。心の内では音楽を優先したい気持ちがありながら、家族を養う身であるヒョッコンにとって職を失うことはできないと考えていたためだった。

公演当日、会場には続々と観客が足を運んでいた。ところが観客の中に小学生の姿が多いことに驚いた団員達は、キム係長の話から、市長が小学校にチケットを配ったとの話を聞く。

一方カン・マエは、公演会場に向かう前、ある人物を訪ねて行く。復職したばかりのコヌが交差点中央で交通整理をしている姿を見つけたカン・マエは、迷わずコヌの元へと歩み寄ると、公演時間を告げ、コヌの心の奥に眠る音楽への情熱を呼び覚まそうと語りかけると、公演会場へと向かう。 (*詳しい会話は an impressive performance 5へ)

会場に市長をはじめ、チョン・ミョンファンらの来賓が揃い、いよいよ公演の幕が開く頃、ヒヨンは一人控室で練習を続けていた。時間が迫っていることに気付いたヒヨンが慌てて移動していると、ヒヨンの夫が突然現れ、ヒヨンを連れ去ってしまう。事情を見ていたペ・ヨンギが急いでルミに伝えに行くが、すでに団員達がステージへ向かう時間となってしまい、団員たちは不安を抱えたままステージに向かって歩き出す。そんな中、頭痛が続いていたルミに突然異変が起こる。観客が拍手をする中、舞台の上で突然耳が聞こえなくなり怯えるルミに、カン・マエがスッと手を差し出し、ルミの手を握りしめ、事情を悟る。

1曲目の演奏曲、Gabriel's Oboeの調べがゆっくりと会場に流れ始める。ところがルミの耳は聞こえないままで、ルミの不安が徐々に増していく。指揮をしながらルミの様子に気を配っていたカン・マエは、心でルミに“信じてついてこい”と語りかける様に、ルミの目を見つめながら指揮を続ける。カン・マエのリードでようやく心が落ち着いてきたルミは、自分を信じて演奏を続ける。演奏中に聴力が戻ったルミは、1曲目の終了後、カン・マエと再び手を握る。

−マイクテスト...闘鶏、犬ころ、ばか、間抜け。

−もう、聞こえます...

ルミの笑顔に安心したように頷き、カン・マエは再び指揮台に戻る。2曲目の演奏曲、Light Cavalry Overtureの演奏が終了すると、一旦舞台から引き上げ、カン・マエと団員たちは控室に戻る。カン・ゴヌの姿を探すカン・マエは、Astor Piazzolla-Liber Tangoのソロパートをチョン・ヒヨンに任せると宣言し、ルミの携帯電話を取り上げると、チョン・ヒヨンの電話番号を押す。夫の運転する車でカン・マエからの電話を受けたヒヨン。

−チョン・ヒヨンさん?ご主人に連れ去られたとか...今どこですか?

−...ええ...それが...トンシンの交差点を過ぎたばかりで...

−近いですね...ソロ、ヒヨンさんに任せます。早く走っていらっしゃい。

−ええ?

−戻ってソロを演奏してください。たまったものを晴らす機会を上げます。

一旦切ろうとした電話を再び耳に当てるカン・マエ。

−素敵な名前ですね...チョン・ヒヨン。

突然舞い込んできた大きなチャンスに言葉を失ったままのヒヨンの様子に、運転中の夫が振り返った瞬間、ヒヨンを乗せた車の前に人が飛び出してくる。急ブレーキで止まった車から迷わず飛び出したヒヨンは、会場に向かって全速力で走りだす。その頃、カン・マエの言葉に我に返ったコヌと、職場の移転作業中にもオーケストラのことばかり考えて上の空だったヒョッコンもまた会場へと向かっていた。

一方、公演は中盤を迎えていた。穏やかな曲調に退屈し始めた小学生の観客たちが騒ぎ出し、会場がざわめき立ってきたことに気付いたカン・マエは、ヒヨンがもうすぐ到着することをルミから聞かされると、一旦指揮台から降り、ピアノの前へと向かう。子供たちにも耳慣れた曲を演奏し、子供たちの関心を引くと同時に注意を促すと、会場は魔法にかけられたかのように、ふたたび静寂に包まれる。

ヒヨンが舞台に上がり、いよいよAstor Piazzolla - Liber Tangoの演奏が始まる。堂々たる姿でチェロを演奏するヒヨンの表情と、チェロの素晴らしい音色は、ヒヨンの後を追ってきたヒヨンの夫にも、そして何より団員らの心にも美しく響き渡る。

公演のメイン曲、William Tell Overtureが始まる直前、ようやくコヌが姿を現す。カン・マエに促され舞台に上がるコヌは、団員たちに歓迎される。ヒョッコンを除くプロジェクトオーケストラの団員が揃うと、カン・マエが観客へ語りかける。

−最後の曲となりました。今から演奏するウィリアムテル序曲は、オペラの序曲として14世紀にオーストリアがスイスを支配した時、それに対抗した農民たちの反乱を描いた作品です。私たちの公演も同じです。何も持たない人々も、ここまでできる!反乱をお見せいたします。

団員の方へ振り返るカン・マエ。

−十分にできると...私は.....信じています。

一流の指揮者カン・ゴヌが率いるプロジェクトオーケストラが最後の曲の演奏を終えると、観客たちは立ち上がり、彼らの素晴らしい演奏に拍手喝采する。

公演が想像以上に素晴らしい結果を生んだことで、団員たちはもちろん市長は感激し、ソンナン市響を立ち上げることになる。当然カン・マエに指揮を依頼する市長だったが、カン・マエはできないと即答する。その場に同席していたミョンファンの助言で心が動くカン・マエだったが...

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Information

  • :::베토벤 바이러스:::
    韓国MBCドラマ18部作
    (韓国放送日:2008.9.10〜2008.11.12)

    企画:オ・ギョンフン/演出:イ・ジェギュ/脚本:ホン・ジナ.ホン・ジャラム/主演:「白い巨塔」「不滅の李舜臣」キム・ミョンミン.「ファン・ジニ」チャン・グンソク.「太王四神記」のイ・ジア。
     

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