宴席からピョク・ケスの部屋へ向かったチニのことが頭が離れないキム・ジョンファンは、自分の居所へ戻っても気持ちが落ち着ず、眠ることすらできずにいた。そんなチョンファンの部屋を深夜に尋ねたプヨンは、自分の居所に酒膳を用意したと言いチョンファンを誘うが、チョンファンはプヨンの申し出を拒否し、外へ出ると、馬に乗り川岸へと向かう。チョンファンは川の流れの音に耳を澄ませ、心を静めようとする。
その頃、チニはピョク・ケスの前に座り、厳しい表情でピョク・ケスに花代を差し出していた。
−今夜の花代は私が出します。私が郡主様を一晩買います。
チニの言葉に屈辱感を味わったピョク・ケスは、部屋を出ようとするチニを呼び止めるが、チニは容赦なくピョク・ケスを侮辱し続ける。
−まさか4百両程度でご自分を私に売るつもりじゃありませんよね?覚えておいてください。財物や権勢では動かせないものがあるということです。
ピョク・ケスはチニの態度に怒りを感じながら、ますます興味が募り、チニへの執着を強めていく。
ソン長官は、松都と都城の妓女たちを呼び集め、3ヶ月後、メヒャンに修練を受けたチニの剣舞が優れていて評価を受けることができれば、ペンムを退妓とすると公言する。その際、ペンムはチニの剣舞がつなたければどうするか、と問いかける。
−舞譜にのせられないだけでなく、師匠としての資質も問われる。そのときは(メヒャンに)女楽行首の立場を降りていただく。
この言葉を聞き、ペンムはさらにチニを官婢にしてほしいと申し出る。ペンムの申し出に、ソン長官はチニに今からでも勝負をやめて師匠の命令に従うなら今回のことは無かったことにすると話すが、チニは堂々とこの勝負に挑むことを宣言する。
この日から、剣舞のために身支度を整えるチニ。そんなチニの前に母ヒョングムが現れると、この勝負を止めようとチニを説得し始める。母の言葉に耳を貸さないチニの前に、ヒョングムは鏡を差し出す。
−見てごらん。あなたの顔がどんな風なのか、しっかりと見なさい。
チニの顔にふれるヒョングム
−何てざまなの。この顔は…毒気の他には何も残っていない...
−お母さん...
−あなたのこんな姿、亡くなったあのお方が何と言うかしら。
−あの方の話をしないで。
−あなたがこれまで舞をまわなかった理由は何?単にペンムに復讐したかっただけ?違うでしょう?違うじゃない。あの方が一番好きだったのは、あなたの舞でしょう。とても美しくて他の人には見せたくないといったからでしょう?なのにあの方がそれほど好きだった舞を武器に人々を踏み潰そうとしているのよ。やめなさい。あの方も悲しむはず。他人を踏み台にし、自分の身を削るような復讐など望まないはずよ、あのお方は。
−手遅れよ。すでに矢は弓から放たれたの、母さん。
部屋から飛び出したチニは、ウノの言葉を思い出しながら涙を流す。
−舞をまわねばならぬのか?
−私の舞がそれほどつたなかったですか?
−そうではなく、あまりにも美しくて…
修練を始めたチニが舞う5年ぶりの舞のつたなさに、松都妓女らは失笑するが、このときメヒャンはチニの持つ天性の才能に気がついていた。メヒャンはチニに一対一の修練を始める。メヒャンがチニの修練に夢中になる様子にプヨンは焦りを感じ、常に注目を集めるチニに対し激しい嫉妬心を抱く。ひと月の間、メヒャンとチニは教坊を離れ修練していたが、この間に驚くほど上達したチニの舞と、メヒャンのチニを見つめる幸せそうな笑顔を見たプヨンらは大きな衝撃を受ける。
修練から戻ったチニは、ピョク・ケスから贈られた祝儀をトクパルに全て返してくるようにと命じる。トクパルがピョク・ケスの元へ祝儀を返しに向かうのを、キム・ジョンファンが偶然目にすると彼も事情を知ることになる。この際、チニが芸を見せたり詩歌を吟ずるだけの妓女だと知ったチョンファンは、驚くと同時に安心したような表情を浮かべる。
両班への復讐など子供じみたことはやめるようチニをたしなめるチンファンだが、チニの心は固く閉ざされたままで、決してチョンファンに心を開かない。そんなチニの修練の様子をそっと見守っていたチョンファンは、チニに仕掛けられた罠に気がつき、彼女を守ろうと我が身を盾にするが...