プヨンの策略により一人舞台に残されたチニは、思いがけない危機に陥り、手にしていた剣を落としてしまう。周囲が
静まり事態を見守る中、チニはこの危機を逆手に取るようかのように、武官の携えていた剣を引き抜くと、これまで誰も目にしたことのないような、素晴らしい鶴の舞を咄嗟に披露する。その瞬間、チニは舞うことの喜びを実感しながら、この世を去ったウノを思い出し、舞をウノへと捧げる気持ちで踊り続ける。
その場を見守っていた誰もがチニの実力を認め、拍手を送り、ピョク・ケスもまたチニの舞を賞賛するが、キム・ジョンファンは冷静に結果的に群舞とは言えないと言い、淡々と宴の幕を閉じる。
プヨンとチニへ事の真相を問うキム・ジョンファンに対し、プヨンは舞を変更したのは事前に打ち合わせたものであり、師匠であるメヒャンも了解していたと嘘の証言をする。メヒャンは自己保身のため、戸惑いながらもプヨンの嘘に頷き、プヨンとともにチニを追い詰めることになる。プヨンとメヒャンの虚偽に反論しながらも全く取り付くシマのない様子にチニは悔しさを飲み込むように押し黙る。その夜、ピョク・ケスとキム・ジョンファンらは話し合いを重ね、チニとプヨン、それぞれの師匠の前で結果を言い渡す。メヒャンは女楽の発展に貢献したことが認められ留任となるが、チニは宴を争いの場にしたこと、師匠と仲間の信頼を裏切ったことの罪を問われ、ペンムの門下に戻れと命じられる。師匠と心をひとつにし、未完成の鶴の舞を舞譜を完成させよとのキム・ジョンファンの命により、チニは最も避けたかった事態に向き合うことになる。
自己保身のために偽りの証言をしたメヒャンの部屋、チニは師匠を前に一言も話さず、じっと悔しさを噛み締める。
−恨めしいだろう…私までも真実に目を背けたからな。これもまた処世術だ。お前と私の二人が共倒れになってはならぬということだ。だがお前もペンムを打ち負かす方法など一生かけても探せぬことだ。違うか?いい勉強をした、そう考えろ。
部屋に戻ったチニは、プヨンから行首ペンムが過去のチニの恋をキム・ジョンファンにあえて打ち明けることでチョンファンの存在さえも利用したことを聞かされると、すぐにペンムの部屋に向かう。亡くなったウノを利用したのかと問い詰めるチニに、ペンムは惑わされるチニに問題があると冷たく言い放ち、チョンファンの真意を歪め、チョンファンがチニを権力を得るために利用しているとあえて誤解させるように伝える。ペンムの言葉に深く傷つき、チョンファンを誤解したチニが呆然と歩いていると、チョンファンが姿を見せる。
−師匠を尋ねたのか?
−礼判様がこちらまでどんなご用件ですか?
−行首ペンムに言付けがあって来たのだ。一緒に来てくれ。そなたにも聞いて欲しいと思っていたのだ。
−理由は何ですか?
−まだ意味が分からぬか。罰が重すぎると思っているのか。誰が何と言おうと、そなたと行首ペンムは最高の師弟ではないか。二人で力を合わせれば、朝鮮の礼楽の発展はもちろん…
−礼判様も権勢を得るからですか?
−おい、ミョンウォル…
−国の領議政の座を得たいのですか?ならば王命である今回の任務を立派に成し遂げてこそ、殿下に認められるということでしょうね。その任務を遂行するためにも、鶴の舞の舞譜がなくてはならないのですね。
−ミョンウォル…
−違いますか?それほど、それほどまでに権力が欲しいのですか?卑しい妓女の初恋を利用するほど、権勢が、それほど大したものなのですか?
ペンムとミョンウォルを良い師弟関係を取り戻したかっただけのチョンファンは、思いがけないチニの態度に驚くが、肯定も否定もしない間にチニが姿を消してしまう。チョンファンはペンムに何故自分の真心をゆがめたのかと事情を尋ねる。二人が惹かれあうことに気がついていたペンムは、チョンファンの真心にチニの心が再び惑わされるのを望まないと話し、ミョンウォルの人生から消えて欲しいと考えていること、そしてチニを芸人としての人生を送らせたいとの真意をチョンファンに伝える。
チョンファンの真心に心を寄せていたチニは、チョンファンを誤解したまま大きく傷つき、ピョク・ケスの宴席で酒を過度に飲みすぎてしまう。さらにピョク・ケスのコムンゴの演奏を聴き暴言を吐いてしまい、ピョク・ケスを怒らせる。どうしようもない気持ちのまま母ヒョングムの元へ向かったチニは、ウノを思い出しながら母の胸でチョンファンへ抱く特別な想いを口にし始める。
−初めて、あの人が亡くなって以来初めて….あんな人に会えた。心遣いがあの人にどうしてこんなに似ているのか…良くこんなことも想像してみたわ。あの人が大人になったら、あんな姿だったかしらと…その心を利用したペンムが許せないの。亡くなったあの人の話までして…でもね、自分でもおかしいのよ、母さん。そんなペンムより、ペンムの私への執着よりも、もっと腹が立つのはあの人なの。否定しなかった…そうじゃないって、弁明すらしないの。大人だからそうなの?そうよね…真心なんてもの、そんなものは妓女に渡すものではないと、妓女などと心を通わせてはならないと、あまりにもよく知っている。大人だもの、大人…そこが違う…あの人と、そこが一番違うのよ...
次の日、鶴の舞の修練に向かうチニの前に、チョンファンが現れる。
−あの日のそなたの問いに答えられなかったから、待っていたのだ。そなたの問いかけの通り、採譜の任務は命より大切だ。成功させて殿下の信望を得たい。そう心得て修練に励むがいい。至難の舞を舞譜にまとめるために一刻も無駄にはできぬ。そうではないか?
−肝に銘じます。
チニへ恋心を抱いたことにはっきりと気づいたチョンファンは、彼女を今以上に傷つけることを恐れ、あえてチニへ真意を伝えず、彼女の前から去る決心をする。
一方、タンシムは自分が利用されていると知りながら、ピョク・ケスを愛してしまい、チニの心をピョク・ケスに向けるための術を教えて欲しいと涙ながらにチニの母に訴える。タンシムの様子から全て悟ったヒョングムの脳裏にある考えが浮かぶ。ヒョングムはタンシムの願いを聞き入れ、タンシムとともにピョク・ケスを尋ねると、その日からチノが好む繊細なコムンゴの音色をピョク・ケスに教えるなど、チニの心をピョク・ケスに向けるための努力を始める。ヒョングムの胸の内には、ペンムの執着からチニを自由にすることができるなら、いっそピョク・ケスの妾として楽な人生を送らせたいという母心があった。ヒョングムの真意を知ったオムスはタンシムが哀れだと話すが、ヒョングムは聞く耳を持たない。
ある晩、ヒョングムにコムンゴの修練を受けたピョク・ケスの前に、ピョク・ケスが贈った詩を受け取ったチニが姿を見せるが...